三十一話 旅行

明日からは夏休みだ。高校生だが、長期休みはしっかりと楽しまなくてはならない。


「よし。片付け終了!」


やっぱり家を出る前は、部屋の隅まで綺麗にしてからに限る。どこに行くかなんかはその場の思い付きだ。


さて、家を出よう。


「やぁ!日里士君。お出かけかな?」


目の前にいるのは妖里さんたち五人。玄関を開けたらすぐにいて心臓が止まるかと思った。


「びっくりした…。ど、どうかしたんですか…?」


「こっちの世界でみんなでどこかに行ったりしたことなかったなと思ってね。暇だったらみんなを集めようと!」


「そうなんですか…」


まぁ問題はない。元々遊びに全部使うつもりだったのだ。誰かと遊んだ方が楽しいだろう。


「丁度どこか行って見ようかなと思っていたので!付いてきます!」


「よし。全員回収!なんだけど、これから向うの川だけど大丈夫そうかい?」


「川ですか?」


「そうそう!師匠との修行のときに行ったんだけど、凄い綺麗だったんだよね!ピクニックには丁度いいよ!」


は取っておいたから必要な荷物があるなら今取っておいで」


「いるのは何日くらいですか?」


「う〜ん。移動で往復一日、近くの宿で二日っていうの予定してるよ」


思ったよりも長かった。ていうより、計画を始めたのはいつからなんだろうか…。長期休暇に入ったのは昨日とかだけど、もしかしてその辺とかじゃないよな…?


「わかりました。ちょっと必要な物入れ直してきます!」


ひとまず急いで服とかを用意しないと。



必要な物を準備し終えて、妖里さんにみんなで付いていく。


「さぁ〜て、大分時間かかるけど、安全運転で参りま〜す」


「妖里さん、本当に安全運転でね…!前みたいのは嫌よ」


「あれからしっかりと練習したから…!もう、あれほど酷くはならないから…!」


「何があったんです?」


「一つ言うなら、縦の360度の回転は車でもできるんだなって…」


竜峰さんはそっぽを向きながらボソッと言った。もしかしたらとんでもない車に乗ってしまったのかもしれない…。とても強い後悔が残った。

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