三十話 徹の家

「お!やっと来たか。色々と作っといたぞ」


「玄関からでも香るぐらい凄いいい匂いだね。日里士君は料理も凄いのか」


「あれ?妖里さんが来たんですか!?」


「後ろにいるよ。二人ともね!」


「あと、私達もよ。しっかりと言ってよ!」


「日里士君。今は何を作ってるの?」


「今か?生モノ系だな。あ、今回は座ってていいぞ。なんてったって優勝者様だからな。今日ぐらいは座ってな」


「…わかった。待ってるね」


「う〜ん…やっぱりお酒はないか…!」


こっそりと冷蔵庫を漁っていた妖里さんがポツリとつぶやく。それを聞いていた徹君は怪訝な顔をして言う。


「妖里さん。俺は一応16ですよ?」


「わかってるよ…さすがに冗談だよ!それはそれとして…少し買ってこようかな〜。なにか欲しい物ってあるかい?ついでに買ってこよう」


「ならアレね。あと、あの…」


「わかった。カレーパンとバームクーヘンだね。それなら、それらとお酒とオツマミとか買ってくるね!」


妖里さんはトコトコと外へ行ってしまった。


「徹、この家ってなにかパーティーで遊べる物ってあるか?料理が終わるまでみんなでやってよう」


「ありますよ。いくつか」


「一番わかり易いのは…これだな」


「これとか難しいのじゃなくていいの?あんたの脳トレになるじゃない」


「いや、いい。そんな難しいものは得意じゃないんだ」


「ふ〜ん。まぁいいわ。並べましょう」



そのボードゲームは簡単な物で、カードをめくってイベントを消化していくもの。最終的に買ったのは未瑠華さんだった。


「私の一人勝ちね!」


「お?盛り上がってるね。なにやっているんだい」


「これですよ」


「あぁ、これか。僕も子供の頃やってたよ。いつもあともう一歩のところで…。いや、いいか。今日は三人の素晴らしい功績に乾杯だしね!」


「酔っ払ってる…?」


「ほんのり赤いね。この分だと来る途中で飲みながら来たね」


「もう…大人なんだから…」


「いいじゃないか。普段は禁酒してるんだし、こういうときにぐらい好きに飲ませてよ〜!」



その後はみんなで騒いでいたのだった。

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