二十九話 終わり

「駄目だったか」


なんもと悲しい気分だが、梅立河さんと戦かったからわかるが、彼女は何かを出し渋っていたから負けた。煙の後、彼女が日里士の後ろにいたのはそれが理由だろう。ならば、あれは負けても仕方ないだろう。


「日里士君負けちゃったね…」


「仕方ない。梅立河さんはとても強かったし…」


「そうだ…!日里士君のところに向かわないと」


「そうだな」



――――――――――



「ナイスファイト、よく頑張ってたよ!」


「だから…勝った奴に言われても…」


「お前は最後に負けても4位になるだ。他の参加者と比べて、充分上だろ?」


「嫌味か…!?言うようになったな!この!」


一発殴られる。大分軽い。


「少し前まで死んだようにいたくせに…!」


「今は大丈夫なんだよ。もう…終わった事だからな」


「そ、それより!二人は表彰台に立つんだろ」


「そうだな。表彰っていっても学校のみたいにかったるいモノじゃなくて、簡素なことしかやらないそうだ。すぐに終わるらしい」


意外なことだと思っていたが、妖里さんに話を聞いて俺らは納得した。どうやら妖怪斬りは世間には隠されたものだ。それがバレることのないよう、特殊な立場である俺達に配慮した故のことだそうだ。


「へぇ…?じゃあ徹の家で待ってるか…」


「そうかなら、鍵を渡たしとくぞ」


「お、ありがとよ。旨い物…二人は何か食べたい物あるか?」


「私はお寿司…かな」


「俺は…そうだな。ハンバーグ頼めるか?」


「わかった。お寿司にハンバーグだな。先に行ってるぞ〜」


日里士はそう言ってどっかへ向う。やっぱりこういう事の興味はまったくないみたいだ。


「あ、そろそろみたいだよ。行こう?」


「そうだな」


やっぱり…いや、なんでもないだろう。そうだ。気のせいだ。

…今はあっちに向うとしよう。

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