二十八話 3位決定戦

「よし…全快!いくか!」


この通路を抜ければ、そこは舞台、闘技場。徹と柚香の試合は、柚香の勝利で終わったらしい。俺も見たかったが、まぁいいとしよう。


「ふぅ…。ここから目指すは3位…。ここで負けたら笑われちまうよな。なら、勝つしかないな!」


気合いは入った。糖分の補給もしてきた。準備万端だ。


「3位決定戦、準備は?」


「大丈夫です」


「いつでもどうぞ」


「それでは、始め!」


ジャブ変わりに一発撃つ。その背後に、見えないように隠したもう一発も交えて。


「危ないですね」


「…対応したな」


俺は医療室にいて、徹との試合を見れてなかったが、今確信した。やはり、アイツは感知型だ。つまりは刀意外は問題ないと考えていいだろう。受けに回れば時間も稼げるだろうし、その分チャンスもできるだろう。そこを狙うとしよう。


「どうしたのですか。変術型の真価はその変則的過ぎる物量の攻撃、と聞いてましたが?」


「生憎、それができないんだよ!」


少し嘘を混ぜる。できないと相手に思わせるためだ。本当はできる。だが、敢えてやらない。テンプレをやるのもいいが、それを知ってる者が相手なら、対応が狂うように我流でいくとしよう。


「貴方といい、徹さんといい…。変な戦い方ですね…」


「ひん曲がった人間なんでな!」


言ったら変術型が剣を持っているのもおかしい話だ。どう考えても遠距離支援、自衛とはいえこんな大きな剣じゃなく、小さなナイフなどのほうが移動も楽だろうし利点が多いだろう。

今考えると、持つ武器間違えたかもしれないな…。


「やっぱ…狙うなら移動した先の足場だな。そこでバランスを崩したところを狙うしかない」


チャンスは一度と考えても良いだろう。相手の動きは完璧だ。一度見せたらすぐに対策してくるだろう。それまではゆっくりと時間をいっぱいに使って絶好の機会を探る。


「逃げるが勝ちとはこのことだな…!そこ!」


「あ…ッ!」


チャンス!体は大きくね横にずれた。あとは…とにかく速い球を撃って決めきる!


軽い爆発のせいで砂埃が舞い上がる。あまりよく見えない…。足音は聞こえないし、勝ったはずだが…いかんせんなにも見えない。



「危ないところでしたね。私の勝ちです」


突如として、後ろから彼女が現れる。確かに命中もした。避けれる状態ではなかったはずだ。どういうことか、何か隠し玉を持っていたらしい。それを見抜けなかった時点で負けていたようだ…。

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