二十七話 二人の決勝
徹君が勝った。やっぱり普通じゃないような動き方をしているなと思う。梅立河さんが何故か不自然な動きもしていたし、徹君がなにかをしてたんだろう。それはよくわからなかったけど…。
「まだまだ時間はあるけど、徹君は来てないの?」
「知らね。どっかほっつき歩いてんだろ。気にしなくていいって。どうせ時間には来るだろうしな」
「そうだね。日里士君の方は怪我とかは大丈夫なの?」
「腰が痛いくらいか?でも大分引いてる。明日には完治してるだろうとさ」
「良かった…」
「吹き飛ばした本人から聞くそういう言葉が一番心に刺さるって知ってるか?」
「あぁ、ごめんね。日里士君に怪我させちゃたって考えると少し…ね」
「はぁ…。まぁ、いいか。頑張ってこいよ」
「そうだね。頑張ってくる」
――――――――――
「決勝戦、両者準備は?」
「大丈夫です」
「問題ありません」
「それでは、決勝開始!」
徹君は一気に私の方へ攻めてくる。今までとは違った動きで少し驚く。でも、負けられない。私も攻めよう。
「ちょっ!」
徹君のことだから、私が徹君の剣を受けたら焦ると思ってた。力じゃ私はまったく敵わない。だから、私は大きな怪我をしちゃう。でも、徹君は焦って力を緩める筈だろう。
「ごめんね。徹君」
徹君の横に行って、徹君を吹き飛ばそうとする。その瞬間、私の足が爆発する。
「きゃ!」
「罠を張らせて貰った。横に来た用に…」
もしかして、梅立河さんが変な動きをしてたのって…。つまりは、下手に動けないってことになる。なら、とても面倒かも…。
「…徹君が動いたのは真っ直ぐだけ…なら今がチャンス…」
早くしないと今のが沢山張られてしまう。なら、これが最初で最後のチャンスと言えるだろう。
さっきみたいに真っ直ぐ来られるのと同時に張れるなら、動きながら罠を増やすことができるだろうし、最悪動けなくなる…。
「早く終わらさないとじゃないのか?」
「そうだね…。でも、近づけないなら…」
波動型の本領は大きな範囲攻撃。でも、その範囲を一つの方向絞ったならどうだろう。
「波剣…!」
徹君のあの攻撃は、徹君が動かなければどうにもならない。なら、遠距離攻撃で徹君の行動を制限する。そうすれば、徹に近づかなくて済むから、あの攻撃は受けないし、一方的に攻撃ができる。
「そうなったら面倒なんだよな…。でも、準備は終わってる…」
徹君は地面に手を当てる。模龍が来る…。
「模龍!」
模龍はとても厄介。純粋な質量攻撃がとても速い動きで迫ってくるって考えると恐ろしい話。
やっぱりこうなってしまった。その為に最初、攻めに入ってたのに…。対策としてはやっぱり甘過ぎた。
模龍に対抗するために、ある技を練習してたけど、練習では一度しか成功しなかった。でも、ここで決めないと負ける。
「ふぅ…剣に気力を集めて…」
ギリギリまで気力を溜めて…溜めて溜めて、構える。この技はかなり強力。でも、とても不安定でしっかりとできるかわからない。失敗すると自分も危なくなっちゃうけど、
「私が勝つ…津波!」
その一撃は波動のように広がる。それは全てを無慈悲に破壊していく。まさに津波のように。
模龍もボロボロに壊され、徹君の周りにあった罠もついでとばかりに爆発していく。
あとは…
「これで終わりだね」
「…負けました」
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