二十五話 負けは負け

「負けたな」


「…うるせぇ」


負けるのは別にいいけど、アレで柚香に負けるのか…。ここ最近で一番心にきたな。


「…そうだ。お前が俺に言った事返せないけど、勝てよ。俺に色々言っといて負けたら許さんからな」


「わかってるよ」


負けたら殴っとくか。


…立って見に行けねぇかな。試合。でも、腰とか色々と痛くてわけがわからなくてなってんな…。


「とにかく痛い…。それだけか」


思い切って立とうとしてみる。節々が痛い。


「ちょっと何してるんだ!」


「あ…。やべ」


「安静にしてろ!馬鹿者が!」


医師の方に見つかったか。流石に従うしかないな。上で見てたかったんだけどな…。

この体じゃなにするにしても厳しいか。


「はぁ、お前が上に行ってお友達の試合を観戦したい気持ちはわかるが。今は安静にしてろ。そんな姿を見せる方がみっともないだろう?」


「…そうだな。わかった。ここで寝てるよ」


「わかればそれで良い」


そう言って、医師の人は部屋を出ていった。結局見れず仕舞い。ここにまともに、電気が通っていれば…。

まぁ、無理だろうな。コストがかかるし、空には雲がずっとかかっているしな。

少し使えるだけでもマシですか…。


「あ〜。暇」


「そういうと思ってたよ。日里士君」


「え?あ!妖里さん!」


「や!」


「徹の試合は終わったんですか?」


「まだだけど、結果のわかりきってる試合なんて見なくていいからね。勿論、徹君の勝利で終わるだろうね」


「…そうですか」


「負けたのか悔しくて、すぐにでも練習したいっていう顔だね?」


「…そうですよ。負けて悔しくない奴なんていませんよ。それも、柚香に…」


「君の場合は仕方ないよ。嫌なら早く身体を完全に治して僕のところに来ればいいよ。幸い、骨折は無いんだろう?特別の訓練をしてあげるよ」


「それってなにか危なくないんですか…?」


「う〜ん。まぁ、僕の師匠の訓練を柔らかくしたヤツ…かな?キツいだろうけど、君なら問題ないだろうね。ま、その前に君の身体の治癒だよ」


「そうですね。寝てよ」


「元気になるのを待ってるよ。それじゃあね」


そう言って妖里さんは部屋を出て行った。さてと、寝てるか。

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