閑話 大変な妖里

どうも!妖里だよ!

なんやかんやでメンタル復活!やったね!


……でも今はそんなの関係無し。何故なら猛ダッシュで逃げてるからだ。

誰からだって?

師匠からだよ!あのヤバい師匠から逃げてるんだよ!!



――――――――――



「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……」


師匠のシゴキから逃げるような生活をして早十年。彼は今や齢三十となっていた。

僕…これ、生きれるのかな?60は超えたいな。その時は田舎で隠居…できないな。立場が凄くなっちゃったし…などと考えながらも急ぎ足で静かに逃げる。


「取り敢えず今は現世に逃げるか…」


そして捜索している人達の目を掻い潜って、通常界へ行ける筈のゲートへ来た。

結論から言うと、門番が珍しくいたために通れなかった。多分だが、彼を捕まえる為に師匠が手配したんだろう。



――――――――――



ということで施設の外に逃げて来たのはいいものの、亜空界の空はいつもの暗い曇り空ではなく、晴れだった。


「これそろそろ雨が…降ってくる頃じゃ…」


亜空界はとても危険な場所なのだ。いついかなる時でも油断してはいけない。

これは徹達にはもう説明してあるが、この亜空界では不定期で黒雨コクウという雨が小一時間程降る。

黒雨はその名の通り、黒い雨で、その雨に触れた者の命を奪う雨なのだが、これがかなり厄介なのだ。

唯一の救いは、建物などには無害であることと、妖怪達にも有効であること。

そしてこの雨は、どうやら特別な成分が入っているらしく、それが人体に悪影響を及ぼし、死に至らせるようだ。


「どっか隠れられる洞穴は…あった!」


結構急ぎ目でその洞穴に入り込む。


「こんなところに洞穴があるなんて知らなかったな?まぁいいか。さ〜てと雨が止むまではここにいるか」


妖里は不思議そうにしながら、更に奥に入り、腰を下ろす。


「はぁ〜師匠のおかげで強くはなれてるけど、凄い疲れるんだよな」


妖里はそう愚痴りながらも、とても楽しそうに笑う。


「『人は交わって生きていく』か、確かにそうだな。あの三人はどうなるのか、楽しみだ。それと、戻ったらどうしようかな?」


一応言っておこう、彼は何一つ解決できていない。

つまりはそう、このあと戻った妖里が彼の師匠に捕まり、ボコボコにされたという…

ちなみに、弟子の件を理由に解放はされた。

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