九話 一方その頃
徹君達とは別で基礎の訓練を、未瑠華さんに色々と教えて貰っていた。
「どう?柚香、何か掴めそう?」
「は、はい!大体分かってきました!」
「そう!物分りがいいわね。貴方はみたいな子良いわね〜」
「あ、ありがとうございます」
今は未瑠華さんに、基礎を教えてもらっている所だけど、どうしても留学しているお姉ちゃんと重なって、話すのが…辛い。
別にお姉ちゃんが嫌いとかじゃないけど、お姉ちゃんには何故か苦手意識を持っちゃてる。
「さぁ、ここまで円滑に終わったし、次行くわよ!私と同じ波動型なんだから手取り足取り説明するわ!」
「は、はい!」
「まず、波動型は名前の通り波よ。海の波みたいなものね。基本的に多くの敵を相手するのがやり易い範囲攻撃よ。まぁ、その分気力を多く消費しちゃうけどね」
「そうなんですか」
「えぇ、柚香は気力が人よりもかなり多いんだから、心配するようなことじゃないと思うわ。だからそこは安心しても良いわよ」
「でも、消費が多いと、不便が多いんじゃないんですか?」
「えぇ、多いわよ。でもそこは他ので補ってるわ。私だと剣術、他の人は体術とか斧術、盾だけ使ってる変わった人も居るわね」
「それじゃあ私も何か武術を身に付けた方が良いんですか?」
「そうねぇ。ここで教われるのは剣術と体術だけね。体術はミネちゃんだけど、妖里さん、実は並の体術型の人よりも強いのよ」
「そうなんですか!?」
「まぁ、剣術が主だけどね。でも、それじゃ体術型の人は涙目ね!」
「それは、可愛そうですね…」
「そうだけど、妖里さんの場合は同期も凄いのよ」
「どのような人達なんですか?」
「えっと、一人は悪食の子好き姫って呼ばれる人よ。彼女は最も位の高い零級の人よ。ちなみに、妖怪斬りの位は六つあってね。上から零、壱、弐、参、肆、伍よ」
「そうなんですか。それで悪食の子好き姫ですか?」
「そうそう、何でも食べるのと、子供の事が、超が付く程好きだから、そう言われてるらしいわよ。でも本人の前じゃあ言ってはいけないらしいわよ」
「そうなんですね」
「それでもう一人なんだけど、人間兵器って呼ばれててね。さっきと同じで零級の人よ」
「人間、兵器ですか…」
「一つ先に言っとくけど、何をしてそんなんに言われるようになったのか、私にもわからないわ。人間兵器なんて巫山戯てるようにしか思えないもの」
「それなら妖里さんは何か呼ばれているものってあるんですか?」
「あるわよ。稀代の剣王っていう、特別格好良いものがね。あの人の見てくれや能力は凄いからね。それじゃあこのへんでお喋りは一旦終わりにして訓練を再開しましょうか!」
「わかりました!」
――――――――――
訓練を再開してからかなり経って、一旦休憩にするように未瑠華さんから言われた。
「柚香…頑張るのはいいけど、体を壊しちゃったら駄目よ?せっかく可愛いのに…」
最後は何を言っているのかが聞き取れなかった
「すいません。何かと熱中しちゃうと…色んな事、忘れてやり続けちゃって…」
「まぁ、気を付けるようにしてくれればいいわ。ほら、ここに座って。それより柚香、貴方剣を握った事でもあるの?やけに上手かったわね」
「ありがとうございます!実は、姉に憧れて剣道を通っていたんです。県の大会にも出たことはあるんですけど、色々あって辞めました」
「そうなの、それならこれも納得ね。それじゃあ次は、波動型としての力の制御を学びましょうか」
「わかりました!」
「あぁ!ちょっと待って。まだ休んどきなさい座ったばっかりでしょ!」
無意識に立ってしまい、行く気になってしまっていた。少し恥ずかしく思いつつ、未瑠華さんの言葉に従った。
「そうでしたね。すいません気持ちが先走ってしまって…」
「はぁ…柚香。ここではゆっくりして…こっちが持たないから」
その時に、自分の体調しか考えていなく、未瑠華さんの事を考えていない、という事に気が付いた。
「あ!ごめんなさい。自分の事しか考えていなくて…あの二人と居ると、私が一番遅れることが多いから…」
「え?じゃああの二人は柚香よりも凄いの!?」
「はい!」
何故かはわからないけど、未瑠華さんが顔に手を当てて、座りながらもふらふらしていた。
「ミネ、あなたでは大変なんだろうけど…頑張って…」
そう言って、徹君達の方へと向いていた。
「でも二人と一緒に行動をすることになるだろうし…」
未瑠華さんはブツブツと何か言って、考えに耽てしまった。
――――――――――
「はぁはぁ…まだいけるのか、随分と化け物じみた体力…してるね。君達…」
「はい!毎日鍛えてますから!」
「俺は、日里士の無茶振りに応えている内にこうなったな」
「疲れた…ひどまず休憩!!俺が疲れたから、休憩!二人は…自主練してて」
「「わかりました!」」
これ、一人じゃキツイな。体がこれじゃあ持たないな。妖里さんさっさと手伝ってくださいよ。これ本来は妖里さんの仕事なのに…うぅ…
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