【冬022】Twinkle Snow Powdery Snow【GL要素あり】
今日はクリスマスイヴ。
恋人と一緒に過ごす、とてもとても大切な一日。
私は憧れの未来先輩と二人、地元の高級ホテルで抱き締め合っていた。
暖房があっても肌寒さを感じる中、お互いの体温を感じられる事を凄く幸福に思える。
夢見るみたいな気分で、私は今日子先輩の耳元で囁いた。
「今日はありがとうごさいます、今日子先輩。私、すっごく幸せです」
「私だって幸せだよ、あかりちゃん。クリスマスにあかりちゃんと一緒に居られるなんて、夢にも思ってなかったから」
「今日子先輩の事、ずっと好きで、それを伝えたくて、でも勇気が出なくて伝えられなくて、本当にクリスマスギリギリまで掛かってしまいました。ごめんなさい……」
「ううん、謝る必要なんてないよ、あかりちゃん。私の方だってあかりちゃんの事はずっと気になっていたんだもの。私の方から誘えばよかったんだよね。でも、あかりちゃんがビアンだって確信が持てなくて、言い出せなかったんだ」
「私の方こそ……今日子先輩がビアンじゃなかったらどうしようって、ずっと怖くて……、でも勇気を出せてよかったです」
「ふふっ、二人とも最後の一歩を踏み出せてなかったんだね。でも、どうにか今日に間に合ってよかったよ。せっかくのイヴなんだものね。大切な人と過ごしたいよね」
「そうですよね、イヴに一人ぼっちなんて寂し過ぎますもんね……」
二人で顔を合わせて微笑む。想いが繋がった喜びを感じて心が温かくなる。
心臓の鼓動が大きくなって愛しさが溢れ出しちゃいそうなくらい。
美人で柔らかい髪質をしていて、男勝りに見えるけどその心は誰よりも乙女な今日子先輩。
そんな先輩だから、イヴの日に一緒に過ごしたかったんだよね。
目を閉じて今日子先輩の唇に自分の唇を重ねようとした瞬間、今日子先輩は窓の方向を指差した。
「見て、あかりちゃん」
「えっ? あっ……雪ですね。何だかロマンチックで嬉しいです」
「今はまだ粉雪みたいだけど、夜にはもっと寒くなるって言っていたから明日の朝には積もっているかもしれないね」
「そうなるといいですよね。でも……」
「でも?」
「今は私の心に降り積もる先輩への想いを受け止めて下さい!」
言い様、私は今日子先輩の唇を奪って舌を絡め始めた。
今日子先輩は驚いたみたいだったけれど、抵抗したりはせずに私の想いを受け止めてくれていた。
ぎこちない舌の動きを見ると意外に私とのキスが初めてなのかもしれない。
そんな事はどうでもよかった。
これから私と今日子先輩は情熱的なクリスマスイヴの夜を過ごすんだから。
それが何より大切な事なんだから。
よかった……、と心の底から私は思った。
本当に良かった。せっかくのクリスマスイヴに一人ぼっちで過ごす事にならなくて。
瑠美の奴、私と付き合ってるくせに、よりにもよってクリスマス直前に浮気するなんてふざけてるよね。
謝るなら許してあげなくもない気持ちはあるけど、少なくとも今年のクリスマスは一緒に過ごしたくない。
後輩の女の子四人全員に手を出してるとか本当にふざけてる。今年のクリスマスは二人で奮発するつもりだったのに。
瑠美と今年のクリスマスを一緒に過ごしたくはない。
でも、クリスマスイヴを一人ぼっちで過ごすのも嫌だった。だから私は憧れの今日子先輩に声を掛けたんだ。今日子先輩が私の方をよく見てるのは知ってたし、瑠美と付き合ってなかったら間違いなく私の方から言い寄ってたと思うから。
瑠美だって四人も浮気したんだもん。私だって一人くらい浮気したっていいじゃない。逆に一人で許してあげるだけ寛大じゃない?
私はこれから今日子先輩と熱い熱い夜を過ごす。
朝になったら粉雪の積もった輝いた雪面を見ながら更に熱くて濃い朝を過ごす。
経験が少ないはずの今日子先輩を私のフィンガーテクニックでメロメロにする。
そんな私たちの姿をさり気なく瑠美にメールで送ってやるんだ。
その後、瑠美がどんな反応を見せるか楽しみだよね。
そんな幸福でロマンティックなクリスマスイヴ。
降り積もる粉雪を横目に私は今日子先輩とそれはそれは熱い夜を過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます