【冬002】猫来りなば春遠からじ
「にゃあ」
「いい子にしてた、マオ?」
「ご飯にしよっか」
「──ねぇ、マオ」
「寒いね」
「ごめんね。暖房つけたいよね」
「もうちょっと我慢して。今月の電気代もピンチでさ」
「だーめ」
「身体に悪いんだよ。あんたは吸い込んじゃダメ。あたしはいいの。こんな身体、もう大事じゃないし」
「ねぇ、マオ」
「……あたしが死んでも、あんたはちゃんと生きてゆける?」
「嘘だよ。冗談だってば。ギリギリの暮らしが続いてちょっと卑屈になってるだけ……」
「ごめんね」
「もう死にたいなんて言わない。だからそんな悲しい顔をしないでよ」
「ねぇ、マオ。冬が終わるまできっと生き延びようね。あたし頑張るからさ。バイトも何もかもしんどくて死にたくなるけど、あんたのためなら頑張れるからさ……」
「ふたりで一緒に春を見ようね」
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