第54話 お誕生日会05。

シアはメロに怒った後、そのまま「スカロおじさん!ヒノお姉さん!卵足りなくなったらどうするの!?」と怒鳴りながら語りかける。


スカロとヒノは立ちあがると「構わん!サルバンのスイーツに合うような鶏の千や二千!育ててみせる!」「ええ、だからやってしまいなさい」と声を張る。


スカロとヒノの言葉に遠くからは「アンチ派が」とか聞こえてくるがパテラが「言いたいことがある奴は名乗り上げてハッキリと言えぇぇっ!!アンチだ?リミールだ?この場はアルマとマアルの誕生日会だろうが!祝う気持ちが有れば派閥なぞ関係ないわぁぁっ!」と言いながら前に出てくるとミチト達を華麗に巻き込む。



「スティエット!鶏だ!お前の言う拡張したサルバンの土地でニワトリを育ててやる!ジャックス殿!隣接のよしみだ!サルバンに畜産や養鶏の知恵をお貸しください!」


パテラの申し出にジャックスも「闘神には大変世話になった。リミール様のお陰で隣接するサルバンともガットゥーとも縁が生まれたから喜んで援助をする」と言い出す。


内心困った事になったのは当主のマブツ・ルクッドでサルバンに卸していた鶏卵がなくなるとルクッド家の大口収入は無くなってしまうし、サルバンを当て込んだ鶏舎の拡張が無駄になる。


マブツはすっ飛んできてリルバの頭を押さえて謝って済まそうとする。


だが若干手遅れすぎる。

怒ったシックは味方をしない。

目すら合わせない。


ここでジェードとロゼが落とし所で「メロ、パパが出てくると大変?」と聞くと「バカ、メロに聞くまでもないだろ?下手したらこいつの領地はもう既にこの世から消えてるかもしれないんだぜ?」とジェードが代わりに答えてドヨメキが起きる。



「エーライさん?モバテさん?シックさん?アプラクサスさん?俺は前に言いましたよね?俺の家族に害をなす者を徹底的に排除するって、超法規的活動の許可を貰いましたよね?俺まで出る前に落とし所を考えてくださいね」


ミチトは本気のブチギレでリナとライブが必死に抱きついて「ダメだって」「殺すのも領地消すのもひよこもカエルも全部ダメだって!」とミチトを止めている。


「うわ、パパが本気でキレてる。アレって僕たちは見てないけどオオキーニを破壊した時の顔なんじゃないか?」

「あーあ、メロ姉様はパパに愛されてるから…」

「うん。見せしめだよね」


ここで末娘のベリルが「パパ格好いい!」と言うとトゥモが「ベリル!?やめなって…あ、パパ一瞬ニコニコした」と言う。

確かにミチトはベリルに格好いいと言われてニコニコとしていた。


ロゼが「メロ?」と聞くとメロは「そうだよ。パパまで出てきたらアルマ君とマアルちゃんのお誕生日会が台無しだよ…」と困り顔で言う。


「よし、落とし所を決めた!」

「ロゼ?」


「ジェード、俺とトゥモだったらどっちが心眼術上手いかな?」

「は?そりゃあトゥモだろ?」


「よし…トゥモ。心眼術でさメロの事をやらしい目で見てる奴らを見つけて訓練場に呼んで対決しよう!俺とジェードとトゥモで倒したら終わりにしようよ」

「それだな!メロ、今なら子供同士の喧嘩で済んでこのオッサンの家の卵はまだ買うだろ?」

「…うん。多分」


この言葉にロゼが「良いよねパパ?」と聞き、ジェードが「いいよねスカロおじさん?」と聞く。そして返事がないので「あ、サンクタさんもいいかな?」「良いよね?早くパーティーにしようよ」と話を進めて行く。



子供達主導で話が進み皆が答えに困る中、エーライが「それが良いね。頼めるかい?」と言う。


「よし!トゥモ!」

「任せた!」


「うん!心眼術!うちのメロをいやらしい目で見てる奴らは赤!」

こうしてトゥモに「お前、後お前、そこのお前も」と呼ばれて私兵から貴族達まで訓練場に集められてしまいその数は40人になった。


「…多くね?」

「俺はちゃんと見たよ!」

「そうじゃなくてさ、メロってやっぱり可愛いんだよな」


「確かに」

「メロ姉様は可愛すぎる」

「それなのに優しいから俺達で守らないとな」

子供達の分析にメロは顔を真っ赤にして「恥ずかしいよ!」と言う。


「よし、1人8人にしよう。タシア、コードも来いよ」

腹に据えかねていたのだろう。タシアとコードも「メロ、守るからね?」「メロ!任せてね!」と言って前に出る。


私兵達はまさか6歳のコードがヤレるなんて思っていないので我先に8人が集まったが「よろしくお願いします!」の声の後には1人が殴り飛ばされて次々に蹴散らされて「ありがとうございました!」の挨拶で訓練場を降りると「メロ勝った!マドレーヌ!」とやってマドレーヌを食べると「お父さん!1回だけパンって音出たよ!」とミチトに手を振る。


勝ち目はない。

今もタシア達は「コードもやるようになったよね」なんて言っている。

数人の貴族が逃げようとした時、タシアがキレた。


「逃げるな!サンダーデストラクション!」

まさかのタシアが嫌いな術を放つ。それは訓練場を覆うような雷で「逃げるなら当てます」と言う。


「ラミィ!フユィ!シア!ベリルも!逃げる奴には当てて構わない!撃つ用意だ!」と言うとさっさと8人を決めて剣だけで蹴散らしていく。最後は「イライラする」と言いながら無限斬を放ち続けて私兵達の剣を粉々にへし折っていた。


その姿に観客席からは歓声まで聞こえてきてしまい、ジェードたちは「タシアが出ると俺達見劣りするよな」「術まで撃たれちゃうとな」「じゃあ、残りの24人は一切に倒そうよ」と3人で話し合う。


「何する?」

「3人でサンダーデストラクションか?」

「殺すと怒られるからウインドブラストだよ」


トゥモとジェードとロゼは「せーの」でウインドブラストを放つと24人はなす術なく吹き飛ばされて決着が着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る