第51話 お誕生日会02。

突然シックとモバテが現れたどよめきの中、シックとモバテは「お祝いの席に呼んでくれてありがとうサンクタ・カラーガ」「祝いの席に来させて貰った」と言い、サンクタは恭しく頭を下げて「ありがとうございます」と言うとナイワが席まで案内をする。


「次ですよ」と言って現れたアプラクサスに向けて遠くから「アプラクサス・アンチ」「どの面を下げてリミール派の集まりに」等聞こえてくる。

これだけでブチギレかけるミチトにアプラクサスは「気にする程でもありません。私はミチト君が何をしてくれるか楽しみでなりませんよ」と貴い者の顔で言うと「おめでとうサンクタ・カラーガ。呼んでくれてとても嬉しいですよ」と挨拶をする。


「わざわざお越し下さいましてありがとうございます」

サンクタが丁寧に頭を下げると遠くからは「サンクタ殿は乱心したか?何故アプラクサスに頭を下げる?」なんて声が聞こえて来る。


ミチトはこれ見よがしに「へぇ、アプラクサスさんもシックさんもモバテさんも凄いや。俺なんてブチギレちゃいますよ。今日ってアルマとマアルの誕生日ですよね?祝う気のない奴とか居ません?」と言う。


観客席からはどよめきが聞こえ、急に声が小さくなる中ミチトは「手遅れだよ。今更声を小さくしても遅い」とわざわざ伝心術で全員に聞こえるように言い「俺の友達、まあシックさん達やサンクタさんの親友も来ててブチギレてるから呼んじゃおうかな」と言ってエーライの認識阻害術を解くとエーライは「やあ!久しぶりだねサンクタ!」と言って前に出るとサンクタを抱きしめて「息子さんと娘さんのお誕生日おめでとう!」と声をかける。

サンクタはアドリブに弱いがそこをシックが「遅かったね!エーライ!」と言いながら近づいて3人で肩を並べて「会えて嬉しいよ!」とやる。


真っ青で吐きそうなサンクタを見て少し笑いたかったがミチトは我慢して「お待たせしました。サンクタさん。アルマとマアルはまだですか?」と言うとナイワが「エーライ様は私がご案内しますからアルマとマアルを連れてきてください」と機転を効かせる。


アルマとマアルが訓練場に来るとミチトは「お誕生日おめでとう。今から皆が来るからね」と先程とは別人の顔で言う。

遠くから見て居たミチトはとても怖かったが今それはない。


言葉に困っていると「ミチトが怖いってさ」とリナが笑いながら前に出て2人の手を取って「お誕生日おめでとう。きっと幸せな会になるよ。ミチトだけじゃない。皆で頑張るからね」と言うと「スティエット夫人、ありがとうございます」「私達は幸せ者です」と挨拶をした。


「アルマ、マアル。スティエット夫人をこちらにお招きしなさい」

「はい。母上」

「こちらです」


ここで黙っていればいいものを愚かな貴族の1人が「あれが闘神の弱点か」と言った。


勿論ミチトが聞き逃すはずもなく殺気を振り撒いて「俺の家族を狙う奴は許さない」と伝心術で言うと数人の貴族は気絶をしてしまった。



「やっちまったよ」

「まあ仕方ないよね」

「ええ、命があって幸せですね」

だが内心ガクブルなのはシックで「あれはモタ・マグリー…忘れんぞ」と怒って居た。



「まあアイツは顔を覚えたから後でなんかしよう。とりあえず呼ぶか。イブ!」

この声でわざとサンクタの前に降り立つのはロウアンとローサで挨拶を交わすと席に行く。


その次がアクィでライブ、メロと続く。

全員ミチトから状況を見せて貰っていて機嫌は悪いがそれでもキチンとサンクタやアルマ達に挨拶をする。


「姉上!」

「お誕生日おめでとうアルマ、マアル。2人とも大きくなりましたね」


祝辞を貰って嬉しそうにするがマアルはソワソワと落ち着かない。

ライブが嬉しそうに「マアル」と声をかける。


「お母様?」

「ここでもそれで呼ぶの?まあいいや。ソワソワしないでももう来るよ。ミチト」


「うん。ロゼ!」

この声でわざとロゼは少し上空に現れると浮遊術でサンクタ達の前にフワリと降り立つ。


「本日はご令息、ご令嬢のお誕生日おめでとうございます」

「父上、母上。おめでとうございます」

「義父様、義母様、ご無沙汰しております」


ロゼはアルマとマアルの前に立って「お誕生日おめでとう。最後だったしなんかムカつくの居たからそれっぽく登場してみたよ」と言って笑う。


「ありがとうロゼ」

「ロゼくん!凄かったよ!」


これを見ていたリナが「あら、ロゼって結構やるもんだね」と言い、アクィが「本当、ミチトの息子とは思えないわ」と言うとイブが「イブがここ何日か格好いい登場を一緒に考えました!」と言った。


サンクタはなんとか踏ん張って子供達が11歳の誕生日を迎えられた事、そして故ナイライを亡くしたがミチトの力を借りて跡取りを授かれた事に感謝をする。

そしてダンスパートナーに手を挙げてくれたもの達には済まないと謝った後でカラーガらしく午前中は子供達だけの剣術大会を執り行いたいと宣言をした。


参加者達は口々にリミール派の子供達の実力をエーライに見てもらうチャンスだなんだと言っているし、1番若いのがロゼで上は恥ずかしげもなく二十歳のリルバ・ルクッドが名乗りあげて居た。



剣術大会の開始までにミチトに近づいて「ミチトさん」と声をかけた貴族が居た。


「あれ?ハーケイさんだ。ハーケイさんはリミール派なんですか?」

「ええ、まあミチトさんからしたら無意味な事ですが私達キャーラはリミール派ですよ。紹介させてください。この子は息子のソッデノです」


「はじめまして闘神様。ソッデノ・キャーラです」

「どうも。ミチト・スティエットです」


ミチトは挨拶を返しながら「あれ、もしかしてソッデノさんもマアルさんに?」と聞くとハーケイは「いえ、リミール派には合言葉のようなものがありますのでダンスパートナーを申し込みはしますが我が家が出したのは「いい相手がいない時には気兼ねなく言ってくれ」と言うものです」と答えてくれる。


「あ、そうなんですね」

「はい。それにパートナーはミチトさんの所のロゼ君に決まったそうですね」


「ええ、訓練仲間として気心も知れています」

「それではダンスを楽しみにさせて貰いますね。あ、一応ですがお嬢様のダンスパートナーは?」


ミチトは親バカの顔で「パスです」と言うとハーケイは笑顔で「はい。わかりました。嫌な流れの時は是非お申し付けください」と言う。

ミチトは「ありがとうございます」と返すとハーケイは息子と共に別の貴族の元へ挨拶に向かった。


ハーケイが居なくなると案外知り合いは多くて次はジャックスがメロと挨拶に来る。


「闘神様、ご無沙汰しております」

「あー、ジャックスさんだ。こんにちは。メロはどうしたの?」


「パパ、この前ママとお招きいただいた件の話だよぉ」

「ああ」


「闘神様、またジャックスに温泉が湧いたのですが熱すぎて湯治にくる獣達も入れないと報告を受けまして…もしよろしければ…」

「ん?獣?熊とか狼とか?」


「はい。後は猿や猪です」

「ジャックスさんて動物を拒まないんですか?」


「ええ、うちは畜産が主な収入ですがうまく共存しています」

「スティエット、知らなかったのか?割り込んで申し訳ないがこちらの方はジェリー・ジャン殿だ。ピュアクリスタルではお世話になっている」


「ああ!スカイタワーの!どうも!」

「はじめまして。ジェリー・ジャンです」


「あ、少し待ってくださいね。ジャックスさんは獣も入れる温泉が熱すぎるから街の温泉みたいに冷ませば良いんですよね」

「はい。それで出来ましたら奥様とお嬢様と御礼の席に出てくれましたら…」


「マジか…」と返すミチトの横でメロが「はい!パパとなら是非参加させていただきます!」と返す。

ミチトが慌てて「メロ!?」と言うとメロは「えへへ。ダメ?」と可愛い仕草で言う。


メロの可愛さに目じりの下がったミチトは色々と諦めて「スカロさんも来ます?」と聞く。


「何!?」

「ジャックスさんがスカロさんを嫌がったら行かないとか…」


「是非来てください。スカロ・サルバン!隣の領地同士親睦を深めましょう!」

「マジかよ」

愕然とするミチトにジェリー・ジャンも「ピュアクリスタルの売上が闘神様がご活躍をなされてからは止まりません。この御礼に是非!奥様やお嬢様と」と誘って来る。


「え?嘘…」

ここでメロが「天空島のお姫様が居ていいなら是非ともお招きいただきます」と言ってしまう。


しかも勝手に念話水晶を取り出して「紺色お姉ちゃん?ピュアクリスタルの領主様の所のパーティーには来れますか?」と聞いてしまう。


「パパ、是非とも聖地に行かせてもらいたいって!」

「…はい…。これだから王都とか貴族とかやなんだよ。トウテから出たくない」


そんな話を終えるとダンスパートナーに名乗りを挙げたが断られた中で剣術大会に出たいと言う子供達はロゼを入れて9人ほどいた。

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