お誕生日会。
第50話 お誕生日会01。
ロゼの指輪が六号まで出来上がった頃にアルマとマアルの誕生日がやってきた。
サンクタはこの日のためにカラーガの宿屋を建て替えたり新たに宿屋を建てたりと赤字覚悟で投資をした。
それでも何とかなったのはサルバンが破格でミチトから貰っていた魔物の素材をカラーガに売ったりしたからだった。正直ノルアも救われ、パテラも救われた。
王都の素材屋だけは油断したカラーガからの売却に白目を剥いていたがサンクタは必死だったので押し切って売ってしまう。
だがそれでも宿屋は前乗りした貴族達で満室になり、店々も土産物から飲食店まで潤った。
だがここで新たな問題に直面する。
「…ライブ様に感謝ですわね」
ナイワが引き気味に言ったのは集まった貴族と護衛の騎士達だけでカラーガ騎士団を超えてしまい格好つかない事で、「これ貸すからさ、何か困ったら言ってよ」とライブから貸して貰った念話水晶(ヒュドラから新規で借りた)を使い、頭を下げられたミチトは「はぁ!?バカかよ」と言いながらもアクィと協力してサルバン騎士団と第三騎士団をカラーガに移動させて第二騎士団をサルバンの抜けた穴に配置した。
人員配置にミチトが「これって帰りもだろ?」と不満を口にするとアクィが「まあやってあげましょう?ここでうまくいかないとイシホさん達が困るもの」とミチトに言う。
それでもミチトは「超やだ」と言って不機嫌になったのだが、アクィが「じゃあサルバン騎士団と第三騎士団は突き落としていいわよ?私も手伝うし」と言うと目の色を変えたミチトが「やろう!頼んだよアクィ!」と言い、アクィはニコニコと「任せなさい」と言った。
普通に連れて行く方が楽なのにわざわざ通気水晶を作って渡して天空島に行くミチトはやれば出来るのだろう。
そして次々に天空島から突き落とし、午前中の剣術大会が行われる訓練場に降り立って行く。
「あれは闘神!?ミチト・スティエット!?」
「あれはサルバン騎士団と第三騎士団!?」
気絶をした騎士団員を起こしたり震える騎士団員休ませながらミチトは「アクィ、ちょっと面白いモノが見られるよ?」と言う。
「何?」と返すアクィに「心眼術、悪意を赤だ」と指示を出すとアクィは「あら…、真っ赤な連中ね。何かしら?」と口にした。
それはマアルにパートナーを申し込んで断られた連中が徒党を組んで大群でカラーガを尻込みさせてやろうと言うものだった。
騎士団員の配置等でミチトの機嫌は悪くなっていて「サンクタさーん、ある程度好き勝手やるから心苦しくなったら言ってくださいねー」とやり始める。
アクィはそのミチトを見て嬉しそうに「ふふふ。正義の悪魔の本領発揮ね。楽しみ」と言ってミチトに抱き付いて夫婦仲をアピールをする。
ミチトはアクィに抱き着かれたまま「第三騎士団!聞くんだ!」と指示を出す。
第三騎士団のスレイブ達は「はい!マスター!!」と言ってミチトを見る。
「シヤはシーシーがヨンシーとシローを産んだ事で不在だ!シヤの分までやり切るんだ!」
「はい!」
空気が震えるように返事が返ってきてこれだけでも悪意を持った連中の気勢は削がれるがミチトの機嫌はまだまだ悪い。
「まだまだやるよ。イブ、ライブ、メロ?聞こえるね?ロゼ?作戦変更。君も転移術を使って。アクィ、迎えに行くんだ」
「あら、私はお屋敷まで行けば良いかしら?」
「ああ、頼んだよ」
アクィは嬉々として消えていき、サンクタの顔色は悪いがナイワからは「闘神様のご加護がありますよ」と言われて何も言えなくなる。
「さてと、少しやるか。イイヒートさん!ナハト!来い!」
「はい!お呼びでしょうかスティエットさん!」
「はい!来ました!」
「これだけの人数だ。トラブルが起きないように…トラブルを起こさせないように目を光らせろ!イイヒートさんはやり切れたらご褒美をあげましょう」
「ご褒美ですか!?」
「ええ、何のトラブルも無ければアメジストを1週間連れ回して良いですよ」
イイヒートは最愛の女神の名前を出されればすぐに「お任せください!!」と言った。
「ナハト!お前だけがカラーガ騎士団と第三騎士団とサルバン騎士団を行き来したんだ、全騎士団をまとめ上げろ!」
「はい!!」
ナハトが暫定で取りまとめになった事でカラーガ騎士団も第三騎士団もサルバン騎士団もナハトに「臨時総団長」と呼んで「頑張れよー」と応援している。
「じゃあ俺はちょっとお使いしてくるからここよろしくね。くれぐれも間違いなんて起こすなよ?いいなナハト。俺の機嫌は非常に悪い。一つのミスが命取りだぞ?」
「はい!」
「あ、ナノカさんも上手くいったら実家に帰省していいからよろしくね」
「はい!」
「サンクタさん、人増えますから席とかよろしくお願いしますねー」
「…ああ…。よろしく任せた」
ミチトはその場を見ながら次々に転移術で人を集める。
王都では「今日の俺、凄く機嫌悪いんで良いですよね?」と聞いて誰にも何も言わせずに人を集めるとトウテに向かう。
トウテには「ふふふ、呼んでもらえると思って居たわ」と言って喜ぶローサとロウアンがいる。
「アクィ、お使いありがとう」
「ふふ。人の割り振りってどうするの?」
「メロ、スカロさんとヒノさんを拾ってカラーガね。ライブがパテラさんとノルアさん。ロゼは俺が声をかけたらイシホさんとウシローノさんだよ」
ここでトゥモが目を丸くして「え!?パパ、ロゼって転移術…」と聞いてくる。
ミチトはごく普通に「うん。なんか使えそうだからやらせてみたら出来たよ」と笑いながら言うと誰もロゼが使える事をおかしいとは思わなくなる。
「なんで!?」
「術の使い方がうまいからかな?まあ俺も術人間になる前に使えてたし、普通の人でも使えるよ」
この言葉にジェードが「じゃあ俺やフユィも?」と聞く。
「うん。理解したら使えると思うから頑張ってね」
この言葉に転移術に憧れる子供達は「ロゼ、後で感覚を教えて」と言い、ロゼは少し照れながら「う…うん」と言った。
「ジェード、横にいてやり方を理解したらラミィに教えてください!」
「おう。俺も覚える」
「はいはい。それは後だよ。イブ、ロウアンさんとローサさんを頼めるね?」
「了解です!」
「アクィは子供達とイイーヨさん達をよろしくね」
「ミチトは?」
「モバテさん達とリナさんと行くよ」
ミチトは先に行くからと言ってカラーガに戻ると大した混乱もなく主にイイヒートが「この私!イイヒート・ドデモの誘導に従ってください!」と誘導をして、ナハトが「ズンバさんはそっちを!シヅさんはあちらの方を!シャーリーさん!シヅさんのフォローをしてください!ナノカ!ヨミさんとこちらの方をお手洗いまで案内して!」と指示を出している。
「ふむ。聞いた通りの混乱ぶりだがドデモの坊主とナハト君がやってるな」
「ええ、最初はあそこの塊がトラブル起こす気満々でしたよ」
「情けない。あれはルクッドとマプソン、それにミメイルとモメガだね」
「やはりですな」
ここで同席したエーライが「あれ?なんで僕がいるのに騒ぎにならないの?」と言った。
「ああ、認識阻害術をかけてあるからモバテさん達が見えてないんですよ。サンクタさんの所まで先に行きましょう。エーライさんはノリの良いところを期待してますからね」
ミチトはリナと歩きながら「忘れてた。アクィ、アメジスト確保しておいてよ」と言うとアクィは「もうやってあるわよ」と返す。
「メロとライブはチャージタイムがあるから延ばし気味にするから待っててね」
「了解よ」
ミチトはサンクタの前でわざと「呼びますね」と声をかけて認識阻害術を外すとまずはシックとモバテが現れる。
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