第47話 誕生会の話、真式と人間の話。

ミチトは昼食の場でカラーガの誕生日会に呼ばれた話、3日間ずつの訓練でロゼは細やかな術制御が得意だとわかった事で指輪を作るようになったり、水人間を作ってマアルのトレーニングをしてみた事を言い。ジェードは教え上手な事が判明してウシローノとのコンビネーションはライブを本気にさせた事を言った。


家族達は情報交換はして居たものの改めて聞いて驚く。


ロゼは秘密の指輪と水人間をミチトがバラした事に困った顔をしたが「マアルとの話に必要だからだよ」と言われて我慢をした。



「それで、今度誕生日会をやって、それがお披露目会も兼ねてるんだって。ロゼはマアルさんのパートナーとして出る事になったんだ」

ここでトゥモが「ロゼ?俺は?」と言うとメロが「ローサお婆ちゃんがトゥモはマアルちゃんに合わせられないからダメだって」と話す。


「メロ姉様?タシアではなくていいの?」

今度はラミィが疑問を口にする。


「タシアは剣は強いけど術を嫌うだろ?マアルと仲良くしたい連中はスティエットを術使いと思ってるから剣でくるタシアはダメだってさ」

ロゼの説明にブチギレたミチトは「何それ?俺のタシアをバカにするの?誰が言うんだろう…一度よく話しておかないと」と言う。


「ほら、パパがこうやって怒るからタシアじゃダメでパートナーの俺が選ばれたんだよ」


ロゼの説明にジェードが不満げに「えぇ?俺は?」と聞くとロゼは「ジェードは喧嘩っ早いからダメだってさ」と説明をした。


口を尖らして「ええぇぇぇ?ちゃんとやるよ?」とジェードが言うのだが、メロは「ジェード?コルゴ・メイラン様を殺しかけたでしょ!」と注意をするとジェードは何も間違っていないという顔で「あれはアイツがメロの足をジロジロ見てたからだって」と言う。


「だからメロもお呼ばれしてるからメロがそんな目で見られたりマアルちゃんをそんな目で見る人が居たらジェードは何しちゃうの?」

「ボコボコにする」


「だからだよぉ。それでコードはまだ小さくて背が低いからダメなの。パパも機嫌直してね。当日そんな奴らが出ないようにロゼがバッチリやってくれるよ」

ミチトは改めて「ロゼ?やれる?」と聞くとロゼは「うん。余裕だよ」と返す。


「じゃあ任せるからね」


ここでメロが「それで今度はアルマ君のパートナーの話ね。カラーガの時期当主だから色んな子達が近寄ってくるけど守ってあげてほしいんだよね」と言う。


「メロ?」

「一応そこはママと繋がりのあるラミィかフユィにお願いしようって話になったの。頼める?」

ここでミチトは不満げに娘のシアを見た後で「シアは?」と聞くがもう顔は怒っている。


「パパ、呼ばれても呼ばれなくても怒るよね?」

「勿論だよ!シアはリナさんに似て笑顔が魅力的なんだよ!」


「でもアルマ君と並んで微笑みあってたら?」

「後でアルマ君に特別訓練をしながらよく話すよ」


もうそれは暗に娘と慣れ合う男は容赦しませんと言うミチトの発言でメタクソに痛めつけると遠回しに言っている。

リナが「ミチト…、ダメダメだよ」と呆れて、アクィが「あなた自分の発言を理解してる?」と突っ込んでいた。


ここでライブが「でもそれならラミィとフユィは?」と聞くとミチトは「ラミィとフユィはアクィに似てキチンと貴い者としてやり切るから任せられるよ」と言ってラミィとフユィをニコニコと笑顔で見る。


「パパ!その通りですわ!ラミィにお任せください!」

「私もやれるよ」

この返事にメロが「うん。よろしくね。当日の流れで2人のどちらかになるからね?」と言った後で「それで招待客でマアルちゃんと踊りたかった子達と剣術大会をやるからロゼはそれに出て貰うの」と言った。

この流れにトゥモとジェードが「ズルい!俺も出たい!」「俺が勝つよメロ!」と手をあげて立候補してくる。


メロは困り顔で「話がこじれるからダメだって…。それでその後で親善試合をして貰いたいんだけど…」と言った所でロゼはジェードを見て「ジェード、俺と戦ってよ!」と言い、ジェードは突然の話に「ロゼ?」と聞き返す。


「俺はマアルと組む。ジェードはアルマと組んで2対2だ」

「…へぇ、トゥモになら勝てるかも知れないのに俺でいいのか?」


「うん。パパに聞いた。ジェードは吹っ切れて強くなったし、ウシローノさんと組むと強いって言ってた。トゥモは1人なら強いけどアルマと組むのは向いてない。だから俺がマアルと組んでジェードとアルマと戦うんだ」

「よーし!やろう!アプラクサスおじさんもシックおじさんもモバテおじさんも見に来てくれるよね?」


「ああ、行かせて貰うぞ」

「はい。楽しみにしていますよ」

「心躍る戦いを期待しているからね」



この後は各々のミチトと過ごした休日の話になる。リナやミチトは散策や食べたご馳走の話になるがどうしてもアクィが訓練の話にしてしまう。


「ミチト!ロゼがパテラ兄様とやった水人間を見せて差し上げて!」

アクィは我が子の訓練よりもロゼの訓練を自慢してイブは「それならフユィちゃんがミチトさんに一撃掠った時の方がいいですよー」と言うがリナは「それならジェードとウシローノ君がライブを本気にさせた時の方が見たいよ」と言う。ライブは「それ言ったら皆だよ!コードの無限機関も見たいしシアのレイピアも見たい!タシアの無限斬も凄いんだよね!」と言って結局ミチトが時系列で全部を見せる。

フユィがジェードに「私にも術を授けて!」とせがんでロゼはコードから「パンって音の訓練しようよ!後は水人間とやりたい!」とせがまれる。


新たな形に子供達は全員が笑顔になり皆がよろこぶ。

最後にロゼとマアルが手を合わせてミチトをひかせた訓練を見て妻子達はロゼとマアルの戦いを見て沸いたがモバテ達は違っていた。

ミチトの水人間に恐怖をした。実戦派のサルバン騎士団が死屍累々に近い状況、イブとメロ、ロゼとマアルが手を出してなんとかなっていた。

王都に攻め込まれたら騎士団達はエーライを逃すために盾になるしかない。


「ミチト君、あの水人間は…」

「最大何体生み出せるんだい?」


「え?」

「また午後の議題が追加だな」

「ロゼ君の水人間ですらパテラ・サルバンと殴り合っていたね。普通の人なら死んでいるよね?」


「まあ産めと言われれば30くらいですけど精度が落ちるし疲れるから15体くらいですかね」

「それでも王都の入り口から陛下を倒してこいと言われたら?」


「まあ第三騎士団が居なければ三体も居れば討ち取れますよ」

「…対処法は無いのか?」


「3個ありますけど非現実的です」

「言ってくれ」


「一つは俺を探して倒す事。流石にトウテから水人間を動かすと3体はキツイのでダカン辺りから出しますかね」

「次は?」


「城全体を第三騎士団に術を使わせない術をつかって貰ってください。四つ腕魔神の剣とかで切りつければその場は消えますよ。ウシローノさん達にも昔装備をあげましたよね」

「あれか…了解だ。最後は?」


「俺が疲れて引っ込めるまで水人間を破壊し続けること。ロゼがメロとナハトに出した指示が正解です」

「…だがナハト・レイカーはやられていたな」


「まあナハトなんかにやられませんよ。俺の水人間を破壊したいなら俺の家族とロキさんとヨシさん、短期決戦ならスカロさんとパテラさんを連れてこないとダメダメです」

「…頼むからそれで攻め込んだりしないでくれ」


「やりませんよ」

ミチト達はモバテ達に礼を言うとトウテに帰る。



トウテではフユィはジェードに術を作って貰いながらロゼを呼ぶ。


ロゼは呼ばれて顔を出すなり「何?」と聞く。

フユィは真剣な表情で「ロゼ、あなたはどっち?」と聞いた。


これは真式か人間かと聞かれている。

ロゼは水人間と指輪を見られた時に覚悟を決めていた。


明かそうとして「俺は…」と言った時、ジェードが「ロゼは俺達と一緒だよフユィ。パパとの訓練で術の使い方がわかったんだよ。だからさっきのインフェルノフレイムも俺と変わらなかったんだろ?」と言った。


正直それはシアのインフェルノフレイムだった事はジェードにもわかっている。

だがジェードは馬が合って喧嘩をしやすいロゼが真式で良かったと思っている。

前に見た悪夢が形を成した。


これを打ち破ればいいだけで、タシアなら術を物ともせずに剣でミチトを追い詰めるようになる。なら自分もできる事をやり切って勝つと決めていた。


「そっか…。ジェードも術を使えるようになって帰ってきたし、作れるのよね」

「そうだよ。変な心配し過ぎだって。ロゼ、お披露目会では俺が勝つから負けたくなかったら指輪作りで術に強くなるんだな」


ロゼはジェードの気持ちがわかっていた。だからこそ感謝の気持ちを込めて「負けないよ。俺が勝つ」と言った。ジェードはロゼの気持ちを理解して「へぇ、楽しみだぜ」と言う。


「ウシローノさんと訓練出来なかったけどジェードの動きはさっき見せてもらったよ」

「俺ももっと速く鋭くなる」


「じゃあ頑張ろう!」

「おう!」


ロゼとジェードはハイタッチで別れると術で心配そうに見ていたミチトとアクィはホッと一息ついた。

ちなみにラミィはママっ子になっていて「ママ、パパと何を見ているの?」と胸に飛び込んでくる。


「別荘の跡地よ」

「ラミィが赤ちゃんの時から一緒だったからね」

取ってつけた嘘なのだが、ラミィは信じ込む。


「そう思うと少し寂しいですわ。ママ、抱っこでギュッとしてください!」

「ええ、いらっしゃい」


「ママ!」

「ラミィ!」


しばらくアクィに抱きついたラミィは「ママ、ごめんなさい。ゴツゴツしてて痛いから離れますわ!イブママ!!」と言ってイブの胸に飛び込む。


「はい!どうぞ!!」

イブは優しくラミィを抱きしめるとラミィはイブの胸に顔を埋めて「イブママはふわふわですわ!」と喜ぶ。


折角なついてきたラミィがイブに取られた原因は胸なのでアクィはイブの胸を睨みつけて「憎い!イブの胸が憎い!」と言う。

それを見ていたライブは「あはは、いいじゃんトゥモはママっ子なんだからさ。ベリルもアクィが好きだよ」と言うと聞こえていたベリルは「うん!ママと違ってお母さんとアクィママは怖くない!」と言う。


ライブは実の娘にハッキリと言われた事で暗い表情で「…ほら」と言う。

アクィは「…ごめんなさいライブ」と言ってアップルパイを焼いた。


ミチトは胸の話が出た時からさっさと逃げていて水人間を作り出しながら受肉術に成り掛けていたことに落ち込んでいた。

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