第46話 新たなる禁術書。

ミチトは事情を話して蒼色とザップを国営図書館に連れて行くと真式と金色がアプラクサスとエーライと待っていた。


「モバテ殿達は朝の別荘の件で会議が早まりましたので私と陛下」

「僕はエーライ・カーターだよ?」

アプラクサスは慣れたもので「はい。エーライ氏が同席です」と言って話を始める。


ミチトは万命共有を行うザップに国営図書館の中央室で禁術書を正しく伝える仕事を頼みたいと言う。

ザップはいつもと変わらない穏やかな微笑みで「ありがとうスティエット。やらせて貰うよ」と言う。


「蒼色、ごめんね。この形でしかザップさんを守れないと思ったんだ」

「はい。ありがとうございますミチト様」


こうしてミチト監修で禁術書を作るがザップが呆れながら「スティエット、方言を混ぜたり一行ずつ古代語と古代神聖語に置き換えるのは意地が悪すぎだよ」と注意をする。


「シューザさんの手記なんて所々だし同じ単語も毎回さまざまな方言でしたよ」

「徹底してるねぇ」


そんな話の中、ミチトが「確定術は書くなよな真式」と言うと真式は「わかってるよ。でもさミチト君。少し話さないかい?」と言い出した。


「何?早く光線術を書いちゃえよ」

「それは書くよ。見せてもらってたけど水人間をよく25体も作ったよね。あれ維持が辛かったでしょ?」

無駄口を叩くなと注意するミチトだったが話題が水人間だったのでミチトは「本当、辛かったよ」と言った後で真式の言葉の意味に気付いて「ってあれ?真式もやった事あるのか?」と聞いた。


「うん。僕は水人間ではなかったけどね。質問させてよ。ミチト君の水人間はどうやって維持の軽減を考える?」

「まあ、やるならある程度の自我を持たせて指示に合わせた最適解を求めさせるかな?」


この回答に真式は笑顔になって「僕と同じだね。ちなみにだけど僕は土を使ったんだ」と言った。


「土…?…っ…!?まさか!?」

「そうさ、水人間はそこでやめた方がいいよ。進化させるとまた新しい受肉術になる。ミチト君なら負担軽減の目的から確定術に行き着くよ。そもそも受肉術の前身は土人間だったんだ。僕が身を寄せたオオキーニは貧しい土地だから何もかもが弱くてオオキーニの王はいつも攻め込まれる事に恐れていて軍備増強をしようとしてた」


「それで土人間を作って身体の欠損を補い、最後には死者の蘇生を願われたのか」

「うん。だから進化する前に会えて良かったよ」


ミチトは素直に真式に礼を言うと「残りの術をさっさと書くけどさ、超熱術よりインフェルノフレイムのほうが使いやすいって書くんだけど、サンダーフォールってどうする?」と聞く。


「じゃあ私の方で降雨術を書くかな」

「あれ?書いてない術もあるのか?」


「うん。1000年間、世界の根で暇だったからね。思案だけしたんだよ。サンダーデストラクションを覚えたいならまずは降雨術で雨雲を作れって書いておくよ。氷結結界は代替え術は無しでいいと思うよ?アースランスもだね」

「わかった。そうするよ」


ミチトは筆が速く、さっさと術に関して書いていく。


「弾菌術は書いて、滅菌術は辞めたいんだよなぁ…」

「そうだねぇ。でもきっと後世の人達なら正しく使ってくれるよ」


「じゃあ書くかな…。やった!もうすぐ終われる!」

喜ぶミチトは左目が金色になっていた。


「スティエット、君の目が金色だけど?」

「はい。アクィ達は第三騎士団だからいいけどリナさんとフユィとシアはショッピングしてるから合流したいです」

これにはザップがニコニコと「…いやはや、すごい愛だね」と言った。


「ミチト君、心眼術で不埒者を先に見つけて牢屋に入れるのは言わないの?未遂だと本当はダメなんだよ?」

真式の言葉にアプラクサスが「ミチト君?そんな事をされたのですか?」と聞くとミチトは「はい!家族の為です!」と言って笑った。


滅菌術を書き上げたミチトは「終わった!」と喜んで「あ、そうだ。エーライさんとアプラクサスさん達ってアルマとマアルの誕生会に行きますか?」と聞く。


エーライ達が聞き返す前に「ああ、行ってもらった方がいいよね。きっとミチト君は頭に来て暴れたくなるからね」と話して金色が「オルドス様、口には気をつけてください」と言う。


ミチトが何かを言う前に誘われた意味を気にするアプラクサスにカラーガの誕生日会、お披露目会に呼ばれてロゼがマアルのパートナーになったりする事を説明した。


「はあ、それはそれは…。まあリミール派は戦争で疲弊しなかった連中が戦争準備をするアンチ派に入るのを拒んでシックの傘下に加わった卑怯者が多いですし、最近はノルア・サルバンとイシホ・モブロンとの繋がり目当てで何かしらあるかも知れませんね」


「アプラクサス、主観が酷いな」

「いえ、間違いなく愚かな連中が湧いて現れます」

エーライに言われても頑として譲らないアプラクサスにミチトが驚いていると「だがトーシュ王は参加が難しいね」とエーライが言う。


「は?」

「王の立場で参加をするとモメるからね。サンクタ・カラーガにも迷惑がかかるし、後継者のアルマが代替わりの時にリミール派から突き上げを食らうかも知れない」


ミチトはエーライの気持ちをさっさと理解して「じゃあエーライさんは来ます?」と聞くとエーライは「呼んでくれるかい?」と言った。


「ええ、直接見た方が良いですよ。アプラクサスさんはジェード達の剣術大会を見に来ます?」

「ええ、シックに一言声をかけてからお邪魔させてもらいます」


ミチトはお昼に合流すると言ってさっさとリナの所に合流をした。

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