これからの日々。

第45話 別荘との別離。

ロゼの最終日は詰め込み過ぎの失敗でウシローノとの訓練は出来なかった。

だが代わりに平和な日々を過ごし、ロゼも上手いのは昼ご飯後にメロが帰ろうとするとアルマとマアルの名前を出して引き留める。


夕飯時になっていよいよアクィがヤキモチを妬くからと言う話で帰っていく。


それも楽しくてミチトとイブは「3人も楽しいけどメロが居ると楽しいよね」と言っていた。



「またしましょうねミチトさん」

「本当!新しくなったらまたやろうよ!俺また最終日!」

「本当だね。ロゼはまた詰め込むの?」


「おう!ってパパ、ソリード婆ちゃんを連れて帰らないと」

「あ!」


慌てて迎えに行くとソリードは「ふふふ、やっと思い出したのね?」と言って笑っていた。




4日目、日常の復帰日はアクィに頼んで皆を王都に連れてきてもらう。

そこにはシヤ達とイイヒートも居て「ようやくトウテに慣れたのに」「本当…、アメジストさんともう少し居たかった」と言うがシーシーが「…騎士団より大変だったのに慣れたの?アメジストは王都に誘ってくれるの待ってたよ?」と突っ込んでいた。


ミチトは子供達に別荘を消し去る話をして「モバテさーん、別荘を今から消滅させますよ?」と声をかける。


「おいおいおい!待て!見届けに行くから待て!」

「ミチト君!私も行きます!」

「私にも見せてくれよ」


そう聞こえてくるとすぐにエーライを含めた4人がやってきて、エーライは「来ちゃった」と言って笑っている。


「パパ?」

「何年も別荘にはお世話になったんだからお礼とサヨナラを言うんだ」


「そうだね。ミチトは別荘の外は怖いからって何年も外には出ないようにしていたけど別荘はずっと皆を待っていて皆と生きてくれたんだよ」

リナの言葉にタシア達もわかったと言うと口々に別荘にありがとうと声をかける。


その間にミチトは一階の玩具達を収納して家具に関してはモバテ達から「思い入れのある奴だけ取れば消して構わない」と言われた。


ミチトは消滅の準備が整った所で子供達を一列に集めて「さあ…仕事だよ」と言った。

タシアが「お父さん?」と聞き返すとミチトは優しい笑顔で「子供達で手を繋いで術をシェアしながら10人でインフェルノフレイムを放ってごらん」と言う。

トゥモが「パパはやらないの?」と聞く。


「うん。アクィもライブもイブもやらないよ。それに皆との訓練で全員が放てる事はわかったからね。フユィはジェードからインフェルノフレイムを教わったよね?」

「うん。パパのは撃てないけどジェードと考えた奴なら撃てる」


「コードは?」

「僕もジェードが教えてくれた」


「タシアとシアは嫌でも今日は撃ってよ」

「うん」

「でもおかしかったら止めてね」


「ベリル、頑張ってね」

「うん!アクィママに見せたら褒めてくれたよ!」


「ロゼ?訓練したからいいよね?」

ミチトはそう言いながら「俺はロゼの本気が見たいよ。アクィ達に見せてあげて」と伝心術を使う。


ミチトは少し意地悪い顔で「手抜きしないように心眼術で誰が放ったか色分けするから頑張ってね」と言うと子供達の中からは「ええ!?」と聞こえてくる。

正直自信の無いシア達はラミィやトゥモに任せてしまおうとしていた。


「あはは、メロも怖がらないで全力を出してみなよ」

「…別荘の敷地だけで済むかなぁ…」


ミチトはイブとライブとアクィはそれぞれに任せて自分の心眼術をリナに見せる。


「私も見たいぞ」

「私もです」

「ミチト君、イケズは良くないよ?」

「僕も見たいなー」


ミチトはわかりましたと言いながらもロゼの分だけはジェードと同じくらいに見えるようにした心眼術をシェアさせる。


「さあ、手を繋いで」

子供達は手を繋いで顔を見合わせた後で「せーの…」と言ってタイミングを合わせると「インフェルノフレイム!」と言った。


直後にありえない量の火炎柱が天高く巻き上がり別荘は一瞬で消滅する。


ミチトの横でリナが嬉しそうな声で「ミチト、見えるよ。綺麗だね。タシアの炎も綺麗。後は一際大きな炎が見られて良かったよ」とロゼの力を見て感動している。

ミチトは「はい。俺達の子供はこの力で幸せになってもらいたいです」と言った。


ここで我慢できなかったライブが「イブ!アクィ!」と言って手を繋ぐ。


「そうね!」

「イブ達もお世話になりました!行きますよ!」


「せーの…インフェルノフレイム!!」


「うおっ!?」

「おお、子供達の火炎柱よりも強大だね」

「あわわわわ」

「いやはや、良いものが見られたね」


慌てるモバテ達を見てミチトが笑っているとアクィが「ミチトは?リナさんも!」と言い、ライブが「そうだよ!私達は家族だよ!」と呼ぶ、イブも一緒になって「早く来てください」と言う。


ミチトは頷いてから「リナさん」と声をかける。

リナは「えぇ!?もう別荘無いよ?」と言って困った顔をする。


「パパ!本気で放ってよ!」

「トゥモ君!?ミチト君の本気ですか!?」


「アプラクサスおじさん怖いのですか?パパなら平気ですわ!」


「そうだよ!この機会にパパの本気を見ておこうよ!」

「ジェード君は恐ろしい事を言うねぇ」


「ミチト君、人災はやめてくれよ?」

「やりませんって、でも本気か…出した事ないから出すかな?リナさん、手を貸して目の前の炎を自分も出すってイメージしてね」

「やるんだね。別荘さん、お世話になりました。インフェルノフレイム!」


リナの出した炎は単独でアクィ達の炎を上回る。


そして「じゃあ本気で撃つよー。トゥモ?ジェード?見てどうにかできると…いいよね?インフェルノフレイム!!」とミチトが言うと天高く雲を突き破って巻き上がる火炎柱。


ミチトが暢気に「おお、結構高くまで燃えるなぁ」と言うとモバテが「やめろ、やめろ、やめてくれ!」と言い、アプラクサスは真っ青になって「あわわわわ…この世の終わりです」と言う。エーライは「ミチト君の本気は凄いね」と言って笑い、シックも「いやはや、恐ろしい力だよ」と言った。


後日天空島の紺色が「ミチト様、真式様から天空島を王都周辺にと言う事で近づけて居ましたが天空島からも火炎柱が視認できましたからね?」と教えてくれて居た。


「じゃあ建て替えよろしくお願いしますね」

「…やっとくよ」


モバテの暗い声が気になってミチトが「モバテさん?」と聞くとモバテは「今日の議題は近隣諸国との連携についてじゃなくてミチト君一家になったって話だよ」と言い、アプラクサスが「まあ若干6歳のコード君とベリルさんでも第一騎士団と戦えますのでそれも含めての会議です」と言った。


「は?俺達は無害一択ですよ?」

「まあそうしておくよ。昼は出すからそれまで奥さん達と子供達は散策でもなんでもしてくれ。書状は出すから好きに使ってくれ」


「俺は?」

「ザップ氏を呼んで国営図書館に来てくれ」


「あー…了解です」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る