第37話 イブとの野獣の日07。
食後にロゼはいよいよサルバンに降り立つ。
イブの来訪にスカロが喜び、パテラは「今日はロゼかぁっ!何処までも俺を喜ばせるとはさすがだぁっ!」と興奮をする。
ノルアはメロからマアルとロゼの話を聞いて「え?マアルがロゼくんとですか?」と目を丸くする。
そのロゼは「パパ、繋がらせて」と言ってミチトに繋がると強力な水人間を生み出して「パテラお兄さん!俺の訓練に付き合ってよ!殴り合い!」と言う。
パテラはロゼの水人間を見て色めきだつと「うおおおお!何という才能だ!戦おう!ロゼよぉぉっ!」と言ってズンズンと水人間に向かって進み、強力な一撃を入れると水人間の頭は弾け飛んだがすぐに形が戻ってパテラの顔を殴る。
パテラの左頬が赤く腫れて血の混じった唾を吐きながら「たかが水とは呼べないな!」と言って喜ぶとこれでもかと殴り合いをしていく。
「パテラお兄さんが強すぎる!水人間の維持がキツい!」
「ロゼよ!人間ならば100は死んでいるのにこの力!無敵の兵士を用意するとは恐ろしい奴だ!」
最終的に午前中のカラーガでの訓練もあってロゼがダウンして勝負がついたが見守っていたミチトは「ふむ」と言うと怖い顔をして「パテラさん、傷を治したらサルバン騎士団と俺で訓練してくれません?」と聞くと普段ミチトから訓練を申し込むことが無いのでパテラは「おおう!スティエットがそう言うとは!勿論だ!」と言って血だらけの顔で喜んだ。
そんな喜ぶパテラを見ながらイブが「あの顔はまた異常な事を思いついた時の顔ですよ。パテラさんはそれなのに喜ぶなんて危険です」と漏らす。
「ロゼーっ、こっちきてお茶にしなよ。少し回復したら術以外の訓練しようよ!」
「うーん。疲れたー。水人間作るのに頭使うから頭だけ疲れたよー」
ロゼがテーブルに行くとちょこんと座るマアルが居る。
「あれ?マアルが居る。どうしたの?」
「ノルア姉上が指輪を見たいと言ってくれたのでメロお姉ちゃんが連れてきてくれました」
「訓練は良かったの?」
「はい。アルマは父上と訓練なので私は気分転換です」
「あ、でも弓は持って来たんだ。後でノルアさんに見せてあげなよ」
「はい」
ミチトはパテラを治すと集合をかけさせる。
「スティエット何をする気だ?」
「いやぁ、大軍と訓練したいんですよ」
そこにはナハトも居るがミチトに声をかけるでもなくキチンと整列をしていて驚くとパテラが「ヒノが怖いのだ。ナハトはこれでもかと怒られた。今もヒノが目を光らせておる」と言う。
ミチトはヒノを見つけると「ありがとうございます!」と伝心術で礼を言い、ヒノも「任せなさい」と返す。
ミチトはメロたちとお茶を飲むノルアに「ノルアさんも入りませんか?」と聞く。
ノルアは先日の訓練で遠慮されたこともあり「私もいいのですか!?」と聞き返すとミチトは即答で「はい!死なないでくださいね!」と言った。
「……は?」
ノルアが引きつった顔で聞き返すがミチトはそれを無視して「ナノカさんも、敵前逃亡は恥だけど命懸けでも命より大切なものはないから危険だと思ったら逃げてくださいね!」と声をかける。
「え?闘神様?」
ナノカはこの段階で涙目になっていて、普段のミチトからは出てこない言葉達にパテラが「す…スティエット?」と聞き返す。ノルアは律義に剣を装備すると訓練場に出てきて整列する。
ミチトは人差し指を天に向けてクルクルと回しながら「いやぁ、パテラさんとロゼの訓練見てたらやりたくなったんですよ。ほら…タシアが生まれる前にスカロさんからも俺の大軍指揮とかダメダメって言われて気にしていましたし…」と言った時の顔はとても恐ろしい顔、剣を打ったり術を思案したり、ソリードが昔言った「あの子ハマるとシツこいのよ」やライブが言う「スイッチの入ったミチトは効率重視になる」時の顔をしていた。
イブは「うわ、ミチトさんってばヤバそう」と言って紅茶を一気に飲み干す。
「ママ?」
「ロゼちゃんはここで見てて回復したらノルアさんの援護です。マアルちゃんは弓でロゼの援護を頼みますね。ママはナノカちゃんを助けに行きます」
イブの話し方がいつもと違う事に青くなったスカロが「…イブ?」と聞くとイブは「あー、一応流れ弾は無いと思いますけどヤバ目の時はスカロさんとヒノさんはイブのスイーツを守ってくださいね」と言ってテーブルの上にあるスイーツたちを指さす。
「待て、スティエットは何をするつもりだ?」
「多分、とっても怖い事です。マアルちゃんは本気で射ってくださいね。下手するとロゼちゃんも大怪我コースです。ロゼちゃん、本気で回復して本気で攻め込みますよ。メロちゃん。いざとなったらイブとロゼと3人でミチトさんを止めますよ」
メロもこの状況が理解できずに「え?イブお姉ちゃん?」と聞き返すがイブは多くを言わずに「準備はしておいてください!皆!臨戦体制です!」と指示を出した。
ミチトはイブを見て「あ、イブ達もやる気だ!まあとりあえずサルバン騎士団分に合わせよう。レオとナハトとナノカさんの分もだから25体の水人間!」と言って屈強な水人間を25体生み出すと「さあ、サルバン騎士団…勝負です。行け!水人間!」と言ってけしかけた。
突進してくる水人間達にパテラが「ぬぉ!?サルバン騎士団!密集陣形!レオを中央に配置して各自対応!水人間共を駆逐するぞ!レスタ!」と指示を出す。
レスタが「了解であります!」と言って槍を撃ち込むと水人間は弾け飛んだがすぐに次の水人間がレスタを殴る。
「あ!一応一定以上のダメージで水人間は今みたいに弾けますからねー」
そして水人間は倒されて終わりではなくまたすぐに復活をする。
「ぬぅん!パテラスラッシュ!」
「パテラさん!ウインドブラスト!」
「レオ!私が斬り込みます!ズンバ!フォローです!」
「了解です!チャップ!」
「わかってます!団長を守ります!ナハト!」
「はい!ナノカ、気をつけて!」
「うん!」
「へぇ、サルバン騎士団はいい動きをするなぁ。でもこれ良いな。全員が思った通りの動きをしてくれるし損害を気にしないで済む!一斉攻撃!」
最早悪魔の群勢に見える猛攻に訓練場の外で見守っていたスカロが「…スティエット…恐ろしいな」と言う。
「多分ミチトさんはずっとスカロさんに言われた事を気にしていたんです」
「…何年前の話を引きずるんだ?」
「ミチトさんはそう言う人なんです。メロちゃん、壊滅前に入りますよ!」
「うん!ロゼとマアルちゃんは?」
「マアル、援護を頼める?」
「はい!ロゼくんを狙う攻撃を阻止しますね!」
「ママ!メロ!俺も行く!」
「じゃあ3人である程度助けてサルバン騎士団が立て直したら一気にミチトさんをやっつけますよ!」
「パパって戦い嫌いなのに何でああ言うの思いつくんだろ?後で教わろうっと」
「レオ!息整えて!ノルアさんも一瞬下がって!」
そう言いながら二刀剣術で割り込んできたのはロゼで、「ナハト!ナノカは守るから前に出なさい!」と言いながらメロはナノカに向かっていた水人間を蹴散らすとナハトは前の水人間を斬り裂く。
「もう!ミチトさんってば!八連斬!」
イブはパテラに迫る水人間の群れを一気に切り裂く。
「イブ!」
「パテラさん!撤退行動です!訓練場の外には水人間は来ません!」
イブが来て形勢逆転を期待したパテラだったが、イブの言葉に目を丸くして「何!?サルバンに撤退だと!?」と聞き返す。
イブは真剣な表情で「ミチトさんは全滅させるまでやりますよ?ノルアさんもナノカちゃんも顔に何発も攻撃貰っていて鼻血でてますよ!」と言い、パテラが周りに目を向けると屈強なサルバン第一騎士団達が半壊していた。
ここから立て直す事は無理に等しい。
「くっ…、撤退する!レスタ!前を行け!ノルア!ナノカ!レオを守りながら撤退!レオはヒールを行いながら撤退だ!順次撤退!俺とナハトが殿だ!ここはメロとイブとロゼに任せる!」
「流石イブだね。そうそう。キチンとパテラさんは撤退のできる人になってくださいね」
「くっ…スティエット…この屈辱は忘れないぞ!」
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