第36話 イブとの野獣の日06。
ミチトに言わせれば、何故か変なテーブル分けをするナイワとメロとイブによって子供チームと大人チームが分けられてしまう。
少し困惑するロゼに「訓練のお話とかしましょう!」とマアルが言い、アルマが「…なんか熱心じゃない?」と聞く。
「何あれ、なんであんなに仲良くさせようとするの?」
ミチトはマアルの目に気付いていない。
それはサンクタも同じで「ふむ。確かに訓練をする仲としてはありがたいが、無理矢理仲良くさせようと感じてしまうな」と言っている。
「ロゼくんは何が好きですか?」
「何が?」
「お肉やお魚、お野菜なんかです!」
「んー…好き嫌いはないよ。まあ好きなのはナスとトマトとミートボールのパスタかな。パパが作ってくれるんだ」
これが聞こえたミチトはニコニコ顔で「今晩は山盛り沢山のパスタ作ろうかなぁ〜」とか言っている。
「まあ!闘神様には敵わなくてもカラーガでも訓練後に召し上がってくださいね!」
「…そんなに訓練楽しかったの?別にこっちも助かってるからそんなお礼とかいらないよ?」
この返答にはマアルは「アルマも助かってるからです!」と力説する。
「アルマは俺で良かったのかな?タシアのが良かった?」
「ううん。彼は背が大きいから少し低いくらいのロゼ君の方が今の僕にあってるよ」
「ロゼくんは好きなスイーツなんかはありますか?」
「スイーツ…アクィママやスカロおじさんのスイーツも好きだけど、メロのマドレーヌが好きかな。メロのは手作り感があるんだよ」
この返しにマアルはすぐに横のテーブルのメロに「メロお姉ちゃん!」と言うとメロはニコニコ笑顔で「いいよー、今度教えてあげるよー。でもマアルちゃんは偉いねー、水人間の訓練の為にちゃんとお礼を用意するんだね」と言う。メロは妹同然のマアルの気持ちを理解していて応援をする。
メロが自分たちのテーブルの方に顔を戻すとイブが「メロちゃん、どうもですよ」と言い、ナイワは「本当、メロ嬢にはいつも助けられてます」と言う。
「いえいえ、パパには敵いません」
そのミチトは未だに展開が読めずに困惑の表情を浮かべる。
子供達は楽しさからか早く食べ終わってしまい、殊更遅く食べるナイワとメロの為に待つ羽目になる。イブは遅いとミチトに怪しまれるのでギリギリの遅さで食べたが、メロたちは限界まで遅く食べていた。
手持ち無沙汰のロゼは「ねえ、お行儀悪いけど訓練してていい?」とアルマとマアルに聞く。
「席を立たれるのですか?」
「ううん。ここでやる」
ロゼは指輪と銀の塊を出して「パパみたいに術で形を作る」と言って指輪を作る。
マアルはそれを真剣に見て「わぁ」と驚くとロゼは「照れるなぁ」と言いながら指輪を作る。
初回よりマシになった指輪に「んー…まだまだだな」と漏らすとマアルがを「その指輪を今日の記念にください!」と言う。
「えぇ?だってマアルはお嬢様だからもっといいの買ってもらえるよ?」
「これがいいんです!」
「えー…ええぇぇぇ?」
困るロゼにマアルは「ご迷惑…ですか?」と言って泣きそうになる。
ここで見かねたイブが近づいて「ロゼちゃん?何が嫌なんですか?」と聞く。
「えぇ?不格好だから笑われたくないし、あげたらパパから貰った銀が減っちゃって訓練できなくなるし…」
「ふふ。それはパパにお願いしてみればいいんです」
イブはそのままマアルに「マアルちゃんは笑ったりしませんよね?」と聞くとマアルは眩しい笑顔で「はい!大切にします!」と言う。
「ふふ。じゃあイブからお願い追加ですね。貰ったら全部保管してくださいね。そうして溜まったらロゼに見せてあげてください」
イブはそのまま「4個も5個も集まったらロゼちゃんはそれを見返してどれだけ上手くなったか見るんですよー?」とロゼにも言う。
「見返すの?」
「そうですよ。ロゼちゃんはパパに頼まないでずっと塊に戻して指輪にしてをやるつもりでしたよね?」
「うん。勿体無いし」
「ふふ。パパにお願いするといいですよ」
ロゼは席を立ってミチトの横に行くと「パパ、マアルが作った指輪を保管してくれるって」と言う。
ミチトは何も考えずに「ええぇぇぇ?いいのかな?邪魔じゃないのかな?」と返すとマアルとメロが「邪魔じゃありませんわ!」「邪魔じゃないよパパ!」と言った。
「お前達、恥ずかしいだろ?指輪くらい買うから…」と止めに入るサンクタは「あなたは黙って素振りでもしていてください」「父上はアルマと走り込みでもしてください」と言われて睨まれる。
ミチトはイブに「カラーガおっかない」と呟くとイブは笑っていた。
「ですが保管用となるとマアルもそろそろ指輪を殿方から貰っても良い頃」とナイワが言い出して「マアルはまだ10…」とサンクタが言うが軽く無視されて「ロゼくん、良かったらマアルが普段着けられるような指輪を頂けないかしら?」とロゼは迫られる。
「俺?貴い者のあげ方とか知らないよ?トゥモの方が良くない?」
「マナーや様式は気にせずに訓練仲間のロゼくんが良いんです」
「さっき始めたばかりだからまだ下手っぴだよ?」
「それでも…とお願いしてもよろしいですか?」
「んー…いいのかな?良ければ良いけど、何が良いんだろ?マアルが好きな指輪持って来てよ。それを作ってみるよ。あ、でもさっきのより複雑なのはやめてね」
この言葉にマアルは顔を真っ赤にして喜ぶとナイワの手を取って左手の薬指にハマっている金と白銀が交差した指輪を指して「母上、これをお貸しください!」と言う。
「あらあら、お父様からいつか貰うと言っていた指輪ね」
「父上からも成人の時に貰います!でも今はロゼ君から貰います!」
ナイワは「ふふ。ちょうど良いわね」と言って嬉しそうに指輪を外してマアルに貸す。
「これが欲しい指輪です」
それを見たロゼは「うわ…金と銀ってどうすんだろう?パパ?」と言ってミチトに見せる。
「あー…まあやり方があるけどロゼはどう作る?」
「パパなら?」
「こうするよ」
ミチトは左手に金と白銀の塊を出すと右手で術を流して左手でそれを即座に混ぜ合わせて作る。
「まあこれは何工程も飛ばしているからロゼはやり方が別だけどね。とりあえずこの指輪を金と白銀に戻して「ちょうどいい量だからこれを使うといいよ」と言ってナイワの指輪と共にロゼに渡す。
「ロゼ、説明をすると俺のやり方は金に流した術と白銀に流した術は別なんだ。言うなら金はファイヤーボール、白銀はアイスボールだ。それを混ざらないように出したから素の塊にも戻せたんだよ」
ミチトは「でもロゼにはまだ厳しいから一個ずつ作ってから二個を…」と続けようとしたところでロゼは「2種類を使って作る」と呟くと術を流し始めた。
驚くミチトが「やる気か!?」と聞くとイブが「ミチトさん、見守ってあげて!」と言う。
ロゼは必死にミチトのやったものを見ていた。
真式として理解をして真式として作ろうとしていた。
そしてまだ細部は甘いがナイワの指輪に近いものは生み出す事が出来ていた。
「もう一段…」
「ロゼ?」
ロゼは集中を切らさずに前に出るとマアルの手を取って「指…、この指につくサイズ。パパの手甲みたいに合わせる」と言いながら指輪のサイズダウンを行うと「出来たけど疲れた。しかもなんか少し歪…」と言い、出来た指輪をナイワに見せながら「返すね」と言って指輪を戻す。そしてマアルには「先にパパに見せさせてね」と言ってミチトに見せる。
「なんか歪」
「最初だからね。でもサイズダウンなんて良くやれたね」
「え?やれないの?」
「成程、可能性を捨てなかったからか。良くやれたよ。その形はマアルさんの指の形に合わせたからだよ。多分普通の円形より綺麗に指にハマるよ」
「本当?じゃあハメてもらおう」
ロゼは指輪を持ってマアルの前に行くと左手を取って「はい。作ったよ。キチンとハマるかやらせてね」と言って人差し指にあてがうと身体の一部のようにハマる。
「ありがとうございますロゼくん!」
「ううん。いい練習になったし貰ってくれる人が居たから気を抜かずに作れたよ」
ロゼは「ありがとう」と返しながら照れ笑いをしている。
その姿を見たミチトは「あー、その為にイブ達は熱心だったの?」とイブ達に聞いた。
「パパ?」
「ミチトさん?」
「ほら、モンアードさんの所で練習した時もイブ達に渡す事を考えて上手くなったからさ、気が回らなかったよ」
「パパ…マジ?」
「この顔はマジですよ」
これにサンクタも「成程、男には気付きにくい女性ならではの視点か、マアルが役に立てて良かった」と言ってからナイワに「そうならそうと言えばいいのに」と言っていた。
アルマはマアルの気持ちに気づいてメロに「メロお姉ちゃん…、いいの?」と聞く。
「何がダメなの?トウテが遠いから?」
「ううん。マアルは相応しくないとかならない?」
「ならないよぉ。それにずっと続くかわからないんだから気にしないんだよ」
「うん」
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