第35話 イブとの野獣の日05。
メロはサルバンの前に行きたい所があると言う。
それはカラーガで「ロゼ、コード達は王都の騎士団に勝ち抜いてその足でカラーガでも勝ち抜いてサルバンだったんだよ」と説明をする。
この説明に「俺もやっていい?」と聞くロゼ。
ミチトは渋い表情で「ええぇぇぇ?3日間訓練するつもり?」と聞く。
「昨日は海に行ったよ!メロも海入る?」
「海底都市に行ってきたの?」
「うん。パパが浮遊術から海底都市の行き方を教えてくれたよ」
「凄いねぇ。まあメロはアルマ君が元気になれたか見れればいいから顔だけ出したらサルバンに行こうよ」
メロの言葉でカラーガ邸に顔を出すとアルマは痛む身体に顔を歪めながら走り込みをしていてマアルは遠く離れた的を射ていた。
メロがサンクタに挨拶に行く間にミチト達はアルマの前に出て「やあ、やっているね。偉いよ」と声をかけた。
「闘神様…。ありがとうございます」
そこにマアルもやってきて挨拶をするが手元を見ると厳しい訓練のせいで掌から血が出ている。
「パパ、治してあげていい?」
「んー…本当は2人の訓練だから良くないんだけど、ロゼのヒールも見てみたいからいいかな?」
ロゼはあっという間にマアルの掌を治してからアルマを見て「このままの方が良いのかな?でも骨は治した方がいいかも」といってヒールを使う。
そこにメロと共にサンクタとナイワが来て挨拶を交わす。
サンクタ達が道すがらメロに相談をしていたのだろう「パパ、アルマ君とマアルちゃんに何かないかな?」と言う。
「訓練内容?まあパテラさんが居ないから1人でやるには無理があるもんね」
ここでロゼが「今日だけの訓練、それもちょっとの時間だけの奴とかやってみたい!」と言い出した。
「ロゼ?」
「んー…パパに頼むのもやだから俺の本気訓練の一環でやってみたいんだけど…。ねえ、アルマとマアルはジェード達に内緒にしてくれる?」
何回か顔を合わせていることでロゼが気さくに話しかけてアルマもマアルも問題無いと言うのでロゼは「パパよりママにしよう。ママさ、俺のやりたい事って可能かな?」と言い、読心術で心を読んだイブは「んー…ママには難しいからパパにやり方を聞きましょう」と言う。
だがそれは悔しそうではなく嬉しそうな顔だった。
「パパ、水人間を歩かせたいんだ。やれるかな?」
「ん?水人間を?…かなりの術量を使うけど…ロゼならやれるかもね、やってみてご覧」
ミチトは嬉しそうに言うとロゼが「水人間!」と言って水人間を生み出す。
ミチトが出すより貧相ではあるが出来は悪くない。
「パパだとダメそうだからメロが殴ってみてよ」
「うん…いくよ?」
メロの拳に水人間はパシャっと音を立てて崩れたがすぐに元の形に戻る。
「良かった、崩れない。そのまま…歩け!」
ロゼは一歩ずつ水人間を歩かせると徐々に走らせていき最後には踊りも踊らせていた。
「自分で動くのの何倍もキツいけどいいや」と言ったロゼはマアルを見て、「俺の水人間は逃げるから頑張って当ててよね。少ししたら攻め込むから水人間にタッチされたら負けだよ」と言う。
確かに対人戦はありがたい。弓の殺傷力からすれば訓練は難しいがこれなら気にする事もない。
マアルは感謝を告げて弓を構えるとロゼは器用に水人間で挨拶をして構えを取った。
初めこそ当たらないマアルの矢も次第にロゼの動きを見て対応するし、更に風の術で加速も軌道修正もするので水人間に当たり始める。
ここで見ていたサンクタがムキになって「撃て!マアル!お前はカラーガだ!」と声援を送り、イブも「ロゼちゃん!3歳上のお姉さん相手でも勝ってくださいね!」と言う。
最後の最後はロゼが勝ったが後数分マアルが耐えていれば術限界を迎えてロゼが倒れていた結果だった。
肩で息をしながら「はぁっ…はぁっはぁっ…、ありがとうございました。対人訓練はかなり為になりました」とマアルが礼を言うとロゼも「俺こそいい訓練だったよ。ありがとう」と言ってマアルと握手をする。
ここでサンクタが前に出て「ロゼ君、嫌でなければこれからもその水人間を使った訓練を頼めないかい?」と聞く。
ロゼはマアルとサンクタ達を見た後で「んー…パパ、勝手に来てもいい?」とミチトに聞く。
ミチトも今の訓練はロゼの為になると判断をして「行く前にママ達の誰かかメロに言えば良いよ。後はフユィ達にはバレないでくれよ?」と言う。
「ママ、いいかな?」
「はい。ママは構いませんけど、どうせならサンクタさんにお願いをしましょう」
この会話で送迎の話が出ないことにメロはロゼが転移術を使えることに気づき「え?ロゼ?勝手に?え?使えるの?」と聞く。ロゼはシレっと「うん。やれるよ」と言って笑う。
驚くメロを尻目にイブはサンクタにロゼの置かれた状況を説明して本気を出してもいい場所を探していたからロゼ自身の為にも暴れさせてもらいたいと伝える。
サンクタはロゼの肩に手を置いて「成程、家族仲を気にして才能を隠しているのか…」と聞くとロゼも「うん。だから水人間とかも家では内緒にしたいんです」と言う。
「それならなおのこと来るといい。メロ嬢もコッソリと来て訓練をしていたよ」
ロゼは「ありがとうございます!」と言ってからアルマに「術切れちかいから水人間は出来ないけどさ、パパがよくアクィママにやる訓練をやらない?」と誘う。
それは剣を無手でいなす訓練でいくら練習用の剣でも手甲無しでは了承出来ない。
「サンクタさん。女性用の小さい手甲ってあります?」
「あるが流石にロゼ君には大きいが…」
ミチトは構わないと言ってそれを貰うと魔水晶を纏わせてロゼの手にフィットするようにしてさらに明石で強化をして渡す。
「直撃はしないでくれよ?」
「うん」
ロゼはアルマの前でキチンとお辞儀をすると構えを取って「無手の俺はそのうちパパみたいになる」と言って圧を放つ。
気迫に飲まれかけたアルマは「僕はアルマ・カラーガ!負けません!」と言って剣を振るう。
鋭い剣もロゼは「見えるよ」と言って次々に軌道を逸らしていく。
疲労から次第に剣が振れなくなって最後には倒れ込むアルマを抱えて「大丈夫?無理しすぎだよ。今度は元気になったら付き合ってよ。その時は俺からも攻撃するから防御を覚えてよね」と声をかけるとアルマは「参りました」と言った。
訓練が終わると時刻は昼時でサンクタは食べて行ってくれと言うがミチトは数日前も世話になったからと遠慮をしようとする。
だがそこにマアルが顔を赤くしてロゼに「食べて行ってください!」と言ってからメロにも「メロお姉ちゃん!お願い!」と言う。
メロとイブとナイワは何かを察して笑顔になって「そうだね。サンクタ様、お招きありがとうございます」「ありがとうございます。お邪魔しますね」「ええ、是非食べて行ってください」と会話を済ませてしまう。
ミチトはこの状況に「ええぇぇぇ…」と言って困った顔をする。
「パパ?何かあったの?」
「何遍も来たら悪いって…」
この返しにナイワとマアルが「そんな事はありません!」「そうですわ!」と言う。
ミチトはやや引き気味に「…なんかマアルさんってノルアさんとイシホさんに似てきたね…」と言った。
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