イブとの野獣の日。
第31話 イブとの野獣の日01。
ミチトがリナ達を連れてトウテに帰るとイブが「さあ!イブとロゼの番ですよ!」と言ってロゼがモジモジしながらミチトに抱きついてくる。
ミチトは優しくロゼを抱きしめて「お待たせ。コード達とは何があったかはメロから聞いた?アクィが見せてくれたかな?」と聞く。
この言葉にロゼは「うん。見たよ」と返す。
「よし、メロは今日にする?明日にする?」
ミチトの言葉にリナが「メロは明日だよ」と言い、メロも「うん。明日ね。ロゼ、今日は思い切り楽しむんだよ」と言う。
それは早い方がいいと言う事でミチトは頷くと「ロゼ、最初は俺の行きたいところで良いかな?」と言う。
「お父さん?」
「イブもいいよね?」
「はい!お任せしますよ!でもプリンは食べたいです!」
「うん。食べようね」
「じゃあ行ってくるね」
ミチトが消える時、アクィ達が「タシア!あの無限斬を見せて!」とやっているのが聞こえてきて笑ってしまった。
飛んだ先は天空島でロゼが「天空島?落ちる訓練?」と聞く中、ミチトは少し待たせて紺色に海底都市の上まで天空島を移動させる。
「さて、移動中に少し話そうか?」
「お父さん?」
「マスター?」
「隠し事を無しにしようと思ってね。ロゼ、もう一人のイブは知っているよね?」
ロゼはイブを見てミチトを見ると首を縦に振る。
ミチトは優しく頷いた後でイブを見て「アイリス」と呼ぶ。
アイリスは「…うん」と返事をする。
その顔は同じなのに明らかにイブとは違っていた。
「ロゼ、あなたのお母さんはイブだけど、イブになる前の記憶もあるの。でもそれを知っているのはお父さんのミチトさんとローサさん達おばあちゃん達、後はリナさん達、タシア達は知らないの。その名前はアイリス」
「アイリス…」
「本当はロゼが大人になるまで秘密にしようとアイリスとは話して居たんだけど、家族で秘密は無しにしたくてね」
「うん」
この流れに順応するアイリスだったが「ミチトさん?急にどうしたの?」と聞く。
ミチトは「秘密を無しにしたい。だから俺はロゼも隠し事は無しにしようと思ってね。ロゼ、君は自分がラミィ達と同じ無限術人間真式だと自覚しているね?その上でジェードとフユィに詰め寄られてタシア達と同じだと答えて能力を隠してきた」と言った。
それは親達の中では共通認識だった。
子供達が隠れたつもりでも親は見ている。
自分はただの人間として思い詰めたジェードとフユィは敏感に真式を探す。
ラミィとトゥモの真式としての感覚的な話にロゼは無意識に同調してしまい怪しまれる。
そして家族仲を優先して嘘をついた。
ロゼはその日を思い出して「…うん」と言った。
心苦しそうなロゼにミチトは優しく微笑んで「まあロゼは俺とアイリスの子供だからね」と言う。ロゼは思っていた返事と違い「え?」と聞き返す。
「ロゼ、アクィとアイリスとライブとメロと俺やラミィが違う事はわかる?」
「うん。わかるよ」
「アイリスは本当なら1番強かったんだ。でも俺が無理矢理アクィを究極の無限術人間に作り替えた。だからアクィの子供達も真式になった。それはロゼにも言える。アイリスは1番強かったからその息子のロゼが弱い訳はない」
「ママ…お母さんは1番…」
これはロゼには驚いていた。
ロゼはアイリスが一番だとは思っていなかった。
「ロゼ、パパママでも好きに呼べばいいさ。今フユィもジェードも迷いは晴れた。でもロゼは家族仲を優先してこれからも知らぬフリをするよね?」
「うん」
ミチトは「わかった。じゃあアイリスと俺、後はメロやアクィ達だけの日、子供のいない日は本気で過ごすんだ」と言う。
「本気で?」
「ああ、できないフリをしていると本当に出来なくなるからね」
ここで紺色が到着した事を告げるとミチトは「ありがとう、終わったら言うからそれまで天空島はここに置いてもらえる?」と紺色に頼む。
「さてロゼ。ここから落ちて海底都市に入るから見ててご覧。行くよアイリス」
「うん。ロゼ、ママと手を繋いで」
アイリスは自身をママと呼んでロゼと手を繋ぐ。
ロゼは不思議そうにアイリスを見て「うん。なんか初めてじゃないのに初めての気がするね」と言うとアイリスは感極まって「会いたかった。ずっとイブではなくアイリスでロゼを抱きしめたかったよ」と涙を流しながらロゼを抱きしめる。
「ママはなんで隠すの?」
「秘密の名前だからだよ」
「辛くないの?」
「もう10年以上だから慣れたよ」
「そっか俺も慣れるかな?」
「大変だよ?」
ミチトは話の途中だったが「よし。行こう」と言って落下をすると家族3人で抱き合う。
アイリスは「ミチトさん、ロゼ」と言って抱きしめてロゼも嬉しそうに抱きしめる。
「ロゼ、風の術で姿勢制御、そして浮遊術で落下速度の低下、海面に着いたところで風の術と水の術で身を守りながら海底を目指す」
この言葉の後で着水をすると「水は押し潰してくるから力を込めて、水の術で身体を前に進ませる。下に見える赤いのが海底都市だ」と説明をすると海底都市に到着をする。
海底都市の住人達がミチトに気付いて挨拶をしてくる。
ミチトはそれとなく挨拶を返した後で、「ロゼ、今度はロゼの力で海底都市まで来るんだ。転移術は使える?」と聞くとロゼは「うん…なんとなくわかるよ」と言った。
「ミチトさん?転移術は…」
「俺からは大人になるまで教えない。でも本人が理解をして使えるのなら止めない。思った通り…ロゼは使えると思ったよ」
ロゼは天空島に転移すると深呼吸をする。
その間、ミチトもアイリスも何もせずにただひたすらイチャイチャする。
「ロゼ、俺はアイリスと仲良くしてるから姿勢制御と浮遊術とかよろしくね」
「ふふふ、ママもパパと仲良くしますからねー」
そう言いながらアイリスに膝枕をしてもらって「天空島の膝枕っていいね」とミチトは言い、アイリスは「ずっとしていたいね」と返している。
「ええぇぇぇ?本当に俺だけなの?」
「そうだよ」
「そうですよー」
少しして準備の出来たロゼと手を繋ぎながら落ちるミチトは「あ、ちなみに普段の遠慮がちなロゼだと大怪我するから本気のロゼでよろしく」と声をかけてアイリスも「大怪我で残りの2日をベッドの上は嫌かなぁ?」と言って笑う。
「もう!ウインドブラスト!浮遊術!」
ロゼの本気はウインドブラストで上空に押し戻して浮遊術で落下を止めてしまう。
「ほら、普段から本気を出さないからいざ本気になるとこうなる」
「微調整だよロゼ!」
「うぅううう…。パパとママは黙ってて!」
無事に海底都市に着いたロゼ達は朱色に挨拶を済ませると代金代わりに小麦粉を渡して魚料理の美味しい店で早めのランチを楽しむと海で遊ぶ。
ロゼはコレでもかとはしゃいで楽しむが「お父さ…パパ、次行こう!時間が足りない!」と言う。これにはミチトは想定外で「は?ロゼ?」と聞き返す。
「アクィママにパパを見せてもらって、話を聞いたんだよ!タシアの無限斬も教えて貰いたいし、シアみたいに山の婆ちゃんに挨拶もして、コードみたいに無限機関を聞いて!それでジェードみたいにウシローノさんと訓練して双六して、お城でご飯も食べるんだよ!」
ロゼの話を聞きながらドンドンとんでもない事になっていくミチトは青くなる。
「…嘘」
「ふふ。ミチトさん、最後だから全部しようねってロゼと話してたんだよ」
「じゃあ山はやめようよ山は…」
「ダメだよ!」
「ええぇぇぇ?ここにいようよ、水着のアイリス可愛いよ?3人でのんびりしようよ」
「じゃあその服持って帰って別荘で着てもらいなよ!」
ミチトはアイリスを見る。
ピンクのビキニがとても可愛らしいが別荘で水着姿で居るアイリスを想像して「…それは変態だよ」と言うとアイリスは頬を染めて「ミチトさんが着てって言うなら着るよ?」と提案をする。その提案にミチトは真っ赤になって「アイリス!」と言う。
このやり取りにロゼは怖い顔で「パパ…俺はずっと待ったよ。帰ってきたトゥモの顔もジェードの顔も見たよ。2人とも楽しそうだったよ。今朝のコードは普段と変わらないけど…。待ったんだよ」と言う。とんでもない圧の中、アイリスが「ミチトさん、断れないって」と言い、ミチトは「マジか…」と言い、いよいよ諦めて実家に転移をして、会いたくないマロは眠らせると実家の戸を叩いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます