第23話 リナとの野獣の日04。

メロとパテラの訓練。

メロはイタズラをするような顔で「パテラお兄さん、疲れてるならハンデあげようか?」と聞くとパテラは「ぬぅ!?甘いわメロ!このパテラ・サルバンは正々堂々メロ・サルバンに勝つ!」と言い放つ。


この瞬間パテラの頭に雷が落ちて「メロは俺の娘!スティエットですよ!」とミチトが怒る。

頭から焦げた臭いを出しながらパテラは「ズルいぞスティエット。メロを独占するな!」と言い返すとミチトは「本気の俺と殺し合いたいですか?」と言ってパテラを睨んだ。


訓練場の気温が下がる中、リナとメロが「それだけメロを大事にしてくれてるって意味だよミチト!」「そうだよパパ!メロはパパの娘だよ!」と慌てて止めるとミチトは機嫌を直して「じゃあ、2人合わせて300人、よーいドン!」と言う。


同時に前に出たメロとパテラは次々に兵士を薙ぎ倒すとお互いムキになって「5人同時に来てください!」と言うメロと「俺から行く!」と言って襲いかかるパテラ。

パテラに至っては「剣が邪魔だぁぁっ!」と言って素手で千切っては投げを始める。


最終的にメロは149、パテラは151と言う僅差の結果になる。


まあ最後の1人はメロと戦う所だったのにパテラが首根っこを抑えていたからパテラの相手だった。


2人で訓練場に座って「ふー…、術がないとパテラお兄さんに勝てないや」と笑うメロにパテラは「よく言う、18でそれだけ動ければ敵なしであろう」と言う。


「楽しかったねパテラお兄さん」

「おう、今度は王都で第一から第四までの騎士団で競うか?」


「いいね!やろう!」

「おう!楽しみだな!わはははは!」

盛り上がる2人を見ながら紅茶を飲んだリナが「…やるってよミチト」と言うとミチトは「マジか…」と言った。


その横でタシア、シア、コードも「お父さん、僕は?」「私は?」「僕は?」と聞いていて、ミチトは呆れ顔で「こっちもかよ…」と言う。


そんな事を言いながら話しているとナノカが両親を連れて挨拶に来る。

ミチトはナハトの兄として挨拶をするとナハトもボロボロの格好で挨拶をする。


ナノカの両親もミチトが闘神だと知っていて「前の終戦宣言を聞きました!感激です」「なんでも弟さんに迷惑がかからないように関係を断たれていたそうで」と挨拶をしてくる。


褒められなれていないことでタジタジの中困ったミチトはサンクタに落とし所を頼むと領主とあってナノカの両親は大人しくなる。


ここでサンクタが「では、レイカーの両親と会ってみればどうか?」と提案をしだした。


「げ…」


ミチトが「やだ」と言う前にナハトは「お兄さん、お願い出来ますか?」と言う。


「…長くなるし気を使うから呼びたくない。ナハトと皆さんで会ってくるといいよ、俺…戦いばかりで話題持ち合わせてないしさ」

ナハトはやや不服そうだったが落とし所としては間違っていないとしてサンクタが6人分の食事を持たせてくれてミチトが送り届けることになる。


ミチトはスティエット村に到着するなり、面倒なメロの生みの親マロを眠らせてドアをノックする。

マロが昼食を求めてきたのだと思い出てきた母エスカはミチトとナハトを見て「来てくれたの!?」と喜びミトレを呼ぶ。


ミチトは以前の都合が良くてミチトを利用しようとしていた母も苦手だったが、自分で処置をしてミチトに対する変な執着を取り除いた母も苦手で取り繕うように「あの…今日はナハトとナハトの彼女さんと両親を連れてきたんです。俺はまだやる事とかあるので一度カラーガに戻ります。2時間くらいしたらナハト達を迎えに来ますから今日は顔合わせをしてください」と言ってそそくさと料理をテーブルに並べる。


「え?ミチトはダメなの?」

「はい。すみません」


ミチトはよそよそしく謝ってさっさとカラーガに戻って「死ぬかと思った」とボヤいてリナに「お疲れ様」と言われていた。



昼食の場ではパテラが「スティエット!午後はサルバンだな!日暮れまで休まずに戦わせてくれよな!」と言いながら肉を食べる。

案外パテラはマナーを学んでいるのでサルバン等の縄張りではだらしがないがリミールやキチンとやらなければならない所ではキチンとしている。

そんなパテラの言葉にミチトは「アンタ…ヒールも使わないのになんて体力してるんですか?」と言って呆れかえる。


モバテ達は呆れるミチトを見ながら「それにしても物凄いものが見られたな」というとアプラクサスが「はい、きた甲斐があります」と言い、横に居るサンクタに「サンクタ・カラーガ、これからは気兼ねなくアンチ派の会合にも顔を出してくださいね」と声をかける。


やはり派閥は大事だが、派閥以外の貴族と繋がりを持てると言うのはありがたい。

サンクタは「は!ありがとうございます!」と返事をした後で「イシホから聞きましたがイシホとウシローノが3年がかりでチャズ様、アンチ様、リミール様のお仕事も携わらせていただけるとか!ありがとうございます!」と言って立ちあがって礼を言う。


「いやいや、それはミチト君と奥さんの1人ライブさんのお膳立てがあればこそさ、我々も後継者問題があったから助かったよサンクタ・カラーガ」

シックの言葉に「俺…特になんもしてません。お礼はライブまで言ってください」と言ってミチトはコソコソとパンを食べながらタシア達に「カラーガのパン美味しいね。沢山貰いなよ」と渡していく。



サンクタは向かいに座るパテラに「パテラ君、サルバンの訓練内容を教えてくれないかな?」と言う。


「ノルアの実力はカラーガにいた時を遥かに凌駕している。それにレイカーも強くなった」

「お任せください!サルバン第一騎士団は朝から朝食までひたすら走り込みと筋肉トレーニングを行います!その後は総当り戦を行い、昼食までの自由時間には各々が技を磨きます!昼食後は領内の巡回を行なったり訓練に励みます!」

サンクタはその状況をイメージしてカラーガの騎士団に当てはめてみるが強さの秘密がいまいちわからない。怪訝な表情で「あまりカラーガと違いが無いようだが…」と返すサンクタにメロが「サンクタ様、回数や走る距離が倍から3倍近く違います」と口を挟む。


「…メロ嬢?」

「3倍です。それを時間が足りないと言ってカラーガと同じ時間に詰め込んでいます」


「一応言うとそこに熊との相撲とかも含まれますよ」

「く…熊!?熊とはあの…熊か?」


「はい。パパが飢えて迷い込んだ熊をサルバン騎士団の一員にしてくれて一緒にトレーニングをしています」

「…か…改…いや、参考にさせて貰う」

当初は改善案に使おうとしていたサンクタだったが、改善とは言えずに参考に言いなおしていた。

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