リナとの野獣の日。

第20話 リナとの野獣の日01。

メロは連泊になると申し訳ないと言いながらも連続した訓練だと言う事でリナ達との1日目も参加する事になる。


ライブ達をトウテに連れて帰るとライブはミチトに抱き着いて「すごく楽しかったよミチト、またやろうね」と言い、ジェードとベリルも「パパありがとう」「楽しかった!」と言うとさっさとリナ達と代わって「ロゼ!何したか教えるからちゃんとメモ取れよな!」と始めていた。


リナはニコニコとミチトの横に来て「昨日、凄かったね」と声をかける。


「あれ?リナさん見てたの?」

「うん。アクィが見せてくれたよ」


結局不在時に他の妻達が覗いてくる状況にミチトは「まったく…」と呆れるが、リナは「ジェードはずっと気にしてたから良かったよ。さあ今日はコレでもかと訓練でタシア達をヘトヘトにしていいからね」と言ったリナは横に居るメロに「メロもよろしくね!」と微笑みかけるとメロも「任せてお母さん!」とガッツポーズをとっている。


この会話の後で出かけるミチトは朝一番だと言う事で第二騎士団ではなくサルバンへと行く。


サルバンでは朝練が行われていて、ナハトとナノカはパークンから追いかけ回されていてパテラが「はっはっは!いいぞ!頑張れナハトぉぉっ!」と言いながらその後ろを猛追していた。


しかもよく見るとナハトは四つ腕魔神の剣まで持たされている。

剣に慣れろというパテラの指導だろうが四つ腕魔神の剣は相当な重さがあるのでミチトは「良くやるなぁ…」と呆れながらメロに頼むとメロは「集合!」と言った。


地響きと共に現れるパテラは「おお!メロ!スティエット!それにタシアにシアにコードではないか!これは天の祝福か!俺をどこまでも楽しませるとは流石だなスティエット!」と喜びに震える。


パテラの喜びようにミチトは「マジですか?」と呆れるとパテラは「ああ!何をする!何が出来る!?何をしていい!?」と言って手をワキワキさせながらミチトに迫る。


「…とりあえずスカロさん達に挨拶するから待っててください」

「くっ!焦らすとは流石だな!」


なんでも好意的に捉えるパテラを放ってスカロに挨拶をする。「ナハトを見にきました。後はタシア達の訓練日なのでお邪魔しました」と言うとスカロからは昼ご飯や夕ご飯の話をされる。

実際、スカロは「食べていくか?」と聞いてはいるが正しくは「食べていけ」なので断る方が嫌がられる。


「んー…まだよく考えてませんが多分タシアだと第二騎士団を壊滅させても物足りないんですよねー」

この発言にスカロは「何?タシアは12歳だぞ?」と言うがミチトは即座に「俺とリナさんの子ですよ?」と言う。

普段見せないミチトの顔にスカロは「…そ、そうか…」とだけ言った。



ここでメロがとんでもない事を思いつき提案をする。

「スカロお兄さん、夕飯をサルバンにして、一度訓練をしたら出かけてきても良いですか?お昼ご飯はその時の流れで決めるね」

「うむ。メロに考えがあれば構わぬぞ」


「ありがとう。でもこれはパパとメロの頑張りだからパパが頑張ってくれるかな?」

「俺?」


「うん。あのね…、最初にサルバンで訓練して身体を温めたら第二騎士団で、その後が…で、最後にサルバンなの」

「マジか…良いっていうかな?」


「うん。平気だよ〜。頼まれてるもん」

「マジか」


横で聞いているリナにミチトは心配そうに「リナさんには退屈な一日かも…」と言うとリナは首を横に振って「そんな事ないよ。ミチトと居れるんだから連れて行ってね」と微笑む。


話がまとまった所でスカロが「よし、ではスティエットとリナは最初はティータイムにしよう。メロ!基礎訓練を頼む!」と言うとメロは「はい!」と気持ちのいい返事をして外に出ると今日の訓練内容を説明する。


「まずはサルバンで基礎訓練、それで王都の第二騎士団に行って勝ち抜き戦、そしたらサンクタ様のカラーガで勝ち抜き戦をして最後はサルバンでサルバン第一騎士団と勝ち抜き戦!その後はパパとの特別な訓練で最後はサルバンでご馳走だよ!」


正気の沙汰とは思えない訓練内容なのだがパテラは目の色を変えて「何!?羨ましいぞメロ!俺も行きたい!」と言い、ノルアも「私も!行きたいです!」と言う。

ここで最後尾のナハトとナノカも「え?じゃあ僕も!」「あの!カラーガなら両親に顔を見せたい…かな…」と言った。


カラーガに行けるなら行きたいナノカの気持ちも珍しい訓練にパテラが参加したい気持ちもわかるメロは「あー…、そうなるよね。順番変えようか?パパ?」と言ってミチトを呼ぶ。


呼ばれたミチトはキラキラした顔つきのパテラ達を見て物凄く嫌な顔をする。


落とし所として娘のシアがミチトに飛びついて「お父さん、ナハトおじさんとも仲良くなりたいし、ナハトおじさんの彼女のナノカお姉さんとも仲良くしたいからなんとかしてくれる?」と聞くと「…うん。やるよ」と目尻が下がり切ったミチトが笑顔で「スカロさん、お土産のケーキ追加です。今すぐ焼き上げてください」と言う。


ケーキを今すぐ焼けという無理難題にスカロも嬉しそうに「何!?お前と言う男は!」と燃えるが「だが1時間はかかるぞ?」と言われたので「じゃあ先にタシア達と連斬の訓練するかな」とミチトは言った。


タシア達もフユィから連斬の訓練内容を聞いていたのでやりたいと言って訓練が始まる。


ちなみにリナはばあやが用意した席でいつ来客があってもいいように準備をしてあるスカロスイーツとヒノおすすめの紅茶を楽しみながらパークンを撫でる。


タシアの二刀剣術は速さよりも重さ重視で連斬自体は十八と大人しめだがとにかく重い。ミチトですら「くっ、やるなタシア!」と言うほどだった。シアはタシアを抜けば子供達の中でも群を抜いていて連斬が起点から何からが速く鋭い。

そしてコードは速さや重さよりもタイミングが恐ろしく、練習だと言っているのにミチトの嫌がるタイミングを狙える様になっていた。


一人20分で訓練をするが全員やり切り、皆等しく腕が紫色になっていた。


ナハトはミチトが訓練を終えた子に狙いを定めて「僕にそれを放ってくれないかな?防ぎたいんだ!」と頼み込むとタシアに沈められ、シアに殺されかけていた。


それでもコードに「全部終わって時間があれば頼めるかな?」と言い、パテラは「見事だナハトぉぉっ!」と褒められている。

ナハトもミチトの弟だけあってしつこい事がここでもよく分かった。



ケーキが焼きあがるとメロがそれを収納して王都に顔を出す。

一日の流れをモバテ達に伝えると不服そうに「私達は行けないではないか」と言う。


「タシア君の訓練を見たいんだぞ」

「勿論シアさんやコード君の訓練もです」

「本当、素晴らしい子達だから見たいよ」


ミチトはチョロい。

子供達を平等に愛しているが、殊更タシアには甘い。

女児で甘いのがメロで男児はタシアだったりする。

モバテ達の言葉を聞いて嬉しそうに「タシアを見たいんですか?」と聞く。


「ああ、我が孫のように応援している」

「本当です。あの剛腕から繰り出される剣撃」

「それなのに驕ることも溺れることもない心、爵位を授けたいくらいだよ」


この言葉に簡単に乗せられたミチトは「仕方ありませんね。行きますか?」と誘ってモバテ達も今日の旅に連れて行くことにする。

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