第19話 ライブとの野獣の日10。

コルゴ・メイランはボコボコの顔で「いやいや、メロ嬢の前でみっともない姿をお見せした。誠心誠意の謝罪は受け取った」と返して「この後お茶でも」と誘おうとしたところでジェードが「ごめんな。俺のメロに変な目をしてたからボコボコにしちゃった。メロは俺が認めたやつのところにしか嫁に出さない」と言うとメロの手を引いて「な!」言う。


「はぁ?ジェード?何言ってんの?」

「だってこの人メロの脚とかジロジロ見ててヤダ。さっきだってメロに格好いい所見せようとしてたからやったんだもん」


ここでイイーヨが落とし所とばかりに「甘ったれてるな」と言ってジェードの頭をグリグリしながら「でもキチンと謝った方が格好いいぞ。お前のお母さんはキチンとやるだろ?」と言うとジェードは昨晩のライブを思い出してハッとなって姿勢を正すとローサの教え通りに「コルゴ・メイラン様、訓練とは言え危険な行為をお許しください。私はまだまだ若輩者です。また機会があればご指導をお願いします」と言いながら詫びる。


ジェードの謝罪にメイランが何も言えなくなるとイイダーロがメイランの横に立って「8歳の子供のオイタだから許してやってよ」と畳み掛けて「も…勿論だ。メロ嬢、可愛い甥御さんをお持ちですな。サルバン当主によろしくお伝えください」と言ってジェードにも「勉強になった。感謝する」と告げて立ち去ろうとしてイイーヨとイイダーロがコルゴ・メイランの傷を治してくれた。



その姿を見たメロが「もう、ジェードは甘ったれなんだから」と困り顔になる。


「へへ、でもローサ婆ちゃんのマナー通りだろ?」

「うん。良く出来てたよ」


メロに褒められて気分が良くなったジェードが「にひひ」と喜ぶが、ウシローノが駆けてきて「ジェード君!それどころではありませんよ!」と言ってジェードを捕まえるとミチトとライブの前に連れ出す。そして「滑走十連斬を見て貰いましょう!」とやられる。


ウシローノの勢いを見て「はぁ?滑走十連斬?またなんか考えたの?」と呆れると、ミチトは「ふふ。ライブ、2対1、イケるね?」と言う。


「良いけど、ミチトは見てたの?」

「勿論、凄かったよ。本当にジェードとウシローノさんは相性バッチリだし、ジェードはライブの子だよ。スレイブ達との付き合い方が上手い。俺達以上だ」


「パパ…見てたの?」

「見てたよ。ジェードとウシローノさんの2人がかりならライブに一撃入れられるかもね」


ジェードはミチトが見てくれて居て力を認めてくれた喜びに震えながら剣を手に取ってライブを見る。

そして横に立つウシローノに向かって「ウシローノさん!」と声をかけるとウシローノも「いつでも!」と言って剣を抜く。



ライブは「…はぁ?アンタ達2人でやれんの?」と言いながら訓練場の真ん中に進んでいき、周りが下がるとジェードは「勿論!行くよママ!滑走術!軽身術!身体強化!」と言ってライブに向かって駆け出す。


滑り込んでくるジェードをダガーナイフでいなすライブの隙を伺ってウシローノが剣で斬りかかるがライブは「甘いんだよ!」と言いながら蹴り飛ばす。


ここからが違う。


蹴り飛ばされたウシローノは体制を整えて滑走術で滑り込むとライブの背後を取ろうとしてナイフに持ち替えて十連斬を放ってくる。


「ちっ!確かに今までと違うけど!」

十連斬を回避したライブの背後にはジェードが剣で十連斬の体制に入っている。


「くっ!十連斬!!」

ライブは撃ち返してジェードを吹き飛ばさせた所でもう一度ウシローノが十連斬を狙ってくる。


「しつこい!」

「ジェード君!」


「ウシローノさんはタイミングだよ!」

「はい!」

再度ライブの回避に合わせてジェードの放つ十連斬を撃ち返したタイミングで剣に持ち替えたウシローノの大振りにライブが対処出来なくなった時、ライブは「舐めんな!身体強化!」と言って本気になって一度距離を取る。


「調子に…のるんじゃない」と言って圧を放つライブの前にミチトが出て「そこまで、ライブを本気にさせたんだから今日はもう良いね」と言う。


ウシローノは自分がライブの本気を引き出せた事に喜んでジェードに「ありがとうございました!」と感謝を告げる。


「えぇ?俺の方こそ助けてもらったよ?」

「いえ!これからもよろしくお願いします!」


ウシローノがジェードの手を取って感謝を継げている中、ミチトが「それで?サンダーデストラクションを見せるんだよね?やってご覧」と声をかける。


ライブはジェードがサンダーデストラクションを撃てる事に驚いて「は?ミチト?ジェードが…」と聞き返すとミチトは「撃つさ、俺のサンダーデストラクションを真似ようとしたから出来ないだけでジェードだけのサンダーデストラクションなら撃てるよ。ライブ、ジェードは俺とライブの子供だよ。やれるさ。見ててご覧。ジェード、俺が受け止める。俺に当てて見せろ」と言いながらライブと変わって訓練場の真ん中に出て行くとジェードは「いいの?」と聞く。


「ふふ、当てられたら…いいよね?」

そのミチトの目は夢で見たトゥモの目に酷似していた。


その目を見て血が沸き立つ事を感じたジェードは「喰らえ!サンダーデストラクション!!」と唱えてごく小規模だが確かにサンダーデストラクションをミチトに向けて放つ。


「悪くない。アースランス」

ミチトはアクィ達のサンダーデストラクションを防いだようにアースランスで防ぐとラミィやフユィ達では損壊しなかったのにアースランスは傷ついて居た。


「そこまでやるか…」

ミチトはそう呟くと肩で息をしているジェードの頭に手を置いて「良くやったね。でも確実に人が死ぬ威力だから無闇に撃ってはダメだ」と言った。


「本当…?俺の雷はサンダーデストラクションだった?」

「ああ、人喰い鬼くらいなら簡単に倒せるさ」


これにはライブも驚いてジェードを見て「凄いよ!偉い!」と言って抱きついた。


それに不満なのはベリルで「お兄ちゃんズルい」と言う。


「…んー…」と言いながらベリルを見たジェードは「パパ、いい?」と聞く。


「え?ジェード?」

「ベリルサンダーデストラクションなら作れるかも。教えてもいい?」


まさかそこまでやれるとは思っていなかったミチトは「マジで?」と聞き返すとジェードは「うん。多分出来るよ」と言う。


「可能性の面ではジェードが1番かもね」

ミチトがライブと話しながらジェードを見るとジェードはベリルの手を取って「指先に雷出せる?」と聞いている。


ここで終わらないのがウシローノで「ミチトさん!僕のサンダーデストラクションも見てください!」と言うので見てみると確かにサンダーデストラクションでシヤ達のともジェードのとも違うウシローノのサンダーデストラクションだった。


「マジかよ、ウシローノの奴」

「マジでジェードに頼むと授かれんの?」


イイーヨとイイダーロはベリルの後ろに並ぶと「待ちます!」「俺用のサンダーデストラクションをお願いします!」とやり始めた。


ミチトは「ええぇぇぇ…自分達でなんとかさせようとしたのに…」と言うとライブは嬉しそうに「ふふ、ジェードの才能だねミチト」と言って喜んでいる。

そして気づけば最後尾にはイシホも並んでいてジェードは喜びながらも辟易としていた。



少々時間はかかったがベリルを含めた全員が各々のサンダーデストラクションを放てるようになると一度昼食になる。

ウシローノがどうしても御礼をしたいと言うのでステーキサンドの店に行ってジェードに何回でもお代わりをしてください!と言い出してジェードは照れて真っ赤になっていた。



午後の訓練はベリルがミチトとやった連斬をひたすら打ち続ける訓練でジェードはミチトに指南を頼み、ウシローノはベリルに頼む。


ライブはメロと組みながらイイーヨ達の連斬にひたすら付き合った。


ここで異常さを発揮するのはやはりウシローノとジェードでベリルが根負けすると2人してミチトに訓練を頼み込む。

ジェードに至っては連斬の放ち過ぎで腕は赤く光って居て傍目に折れている気もするが本人は気にして居られないと言う。


ミチトはやれやれと言いながら滑走十連斬にコレでもかと付き合ってあげる。


延々と終わらない訓練に第一騎士団だけではなくライブ達すら青くなると終わらない訓練を気にして見にきたモバテ達も呆れて居た。

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