第17話 ライブとの野獣の日08。

グローキから練習用のナイフを借りるとウシローノに基本動作を見せる。


だがウシローノの手持ちはイブ式で違っている。


「違うよ、ナイフだからママの動きだよ。それだと滑走術と相性も良いんだ!」

「はい!教えてください!」


「見てて!」

ジェードの放つ二刀剣術を見てウシローノも放てると「撃てました!」と喜ぶ。


その後は2人して馬鹿みたいに滑走術で滑りながら十連斬を放っていく。

ウシローノは本格的に剣を止めた事で問題だった腕力と膂力の無さを補っていた。


「じゃあさ!そのナイフも腰につけなよ!滑走しながら剣をしまってナイフを抜いて二刀剣術の練習しようよ!」

「…はい!それですね!」


「でもさ、敵が居るよね誰にする?」

この言葉に第三騎士団は青くなる。


それこそ普段の自分達なら休憩をするタイミングでもニコニコと訓練をするジェードとウシローノに恐怖すら覚えているとウシローノが「やはりシヅ君ですかね?」と言い、ジェードも「じゃあ俺はシイさん!」と言って指名する。


なかなか立ち上がらない2人を見てウシローノは「お願いします!」と駆け寄って、ジェードはグローキに「お願いしていいよね?」と聞く。


グローキの返事でお手伝いが確定したシヅとシイは地獄をみる。

「防げるなら防いでね!逃げるのは禁止ね!」と言ったジェードとウシローノの何回にも及ぶ十連斬をモロに喰らって苦しむと捕まらなかったヨミが捕まって「早くヒールして!」「ヒールですよヨミ君!」と巻き込まれてこの世の終わりのような顔でヒール治療を行う。

第三騎士団の残りのメンバーは武装解除して端にキチンと座り込んで見学中の顔をしている。


ヨミは何回目か数えるのもやめたヒール治療を行いながら「シイ、シヅ、ヒールが辛いから食らわないでよ」と言う。


2人が「無理言うなって」「代わる?」と言うとヨミが丁重に断る。

そして再開される訓練はウシローノの剣術になる。


ジェードの夢物語みたいな動きでもウシローノは指示通りに動いていく。


「ウシローノさん!剣でいつもみたいに攻め込んで!シヅさんは反撃だよ!」


シヅは喰らいたくない気持ちから本気で反撃をすると膂力の差でウシローノは飛ばされるがジェードは「チャンスだ!滑走術から納刀!ナイフに持ち替えて!」と言う。


今までのウシローノであればムキになって剣で戦おうとしたが素直に納刀するとナイフを抜く。


「遅いよ!もっと速く抜かないと!」

「はい!」


滑走十連斬でシヅを沈めると「休まないで!シイさんも倒すんだ!シイさんに行くまでにナイフしまって剣だよ!」と言うと「はい!ありがとうございます!」と言ってウシローノは飛び出す。


シイは「ワンパターン!」と言ってウシローノを蹴り飛ばすが「飛ばされたらチャンスだ!」とジェードの声で一気に体制を整えながら加速してシイを斬りきざんだ。


理想の戦い方でシイを吹き飛ばしたウシローノはジェードに飛びつくと「出来ましたよ!ジェード君!」と言う。

ジェードが「やったね!」と返したが話は終わらずに「さあ!そのまま次です!サンダーデストラクションを教えてください!」とウシローノは言う。


「え…」と言って一気に顔が暗くなるジェードにウシローノは「恐れる事はありません!力を求めて力に溺れる事は僕にもありました!皆僕を叱りつけてくれました!ジェード君も叱られて良くない事がわかったではありませんか!さあ!切り替えて僕のサンダーデストラクションを一緒に考えてください!」と力技でジェードを抑え込む。


困惑するジェードだったがウシローノの圧には勝てずに遂には一緒にサンダーデストラクションを考えることになる。


「そう言えばジェード君はミチトさんのサンダーフォールは撃てますか?」

「試した事ないよ。フォールを撃ててもトゥモ達はデストラクションを撃てるんだもん」

ジェードが打ちたいのはサンダーデストラクションでサンダーフォールではない。

だからやろうなんて思ったこともなかった。

実際ウシローノも剣以外を考えずにいたのにジェード相手では「勿体無い!全部試すべきです!」と言い出す。


「ファイヤーボールでのインフェルノフレイムも是非見せてください!」

「ええぇぇぇ…」


ジェードは諦めながらファイヤーボールを出すと形を変えてミチトの放つインフェルノフレイムに酷似した形状に変化をさせると横で見ていたシヅが「げ…ジェードすげぇ」と言う。

ジェードが不思議そうに「シヅさん?」と聞くとシヅの返答を遮るようにウシローノは「形状変化!ジェード君!君はミチトさんの訓練をやれますか!?」と言い出した。


「訓練?何それ?」

「クラシ君が教えてもらって居ました!指先にファイヤーボール、ウォーターボール、アースボール、アイスボール、サンダーボールを小型化して作るんです!手のひらは小型の竜巻でした!」



ジェードは「やってみればいいの?」と言うと竜巻こそ作れなかったがそれ以外はやってのける。


「凄い…同時小型生成…。ミチトさんは毎日それで訓練をしてサンダーデストラクションにたどり着きました!ジェード君ならきっと撃てますよ!」


この言葉に自信を貰ったジェードはシヤのサンダーデストラクションを授かったシヅからヒントも貰ってサンダーフォールから独自のサンダーデストラクションを思いついてウシローノ用のサンダーデストラクションを思いつく。


それはシヤの放つものよりは精度は低いが範囲はミチトに近いサンダーデストラクションだった。ウシローノは念願のサンダーデストラクションに目を潤ませてジェードに感謝を告げる。


「これをミチトさんに見せましょう!意見を貰うんです!」

「え?今…?俺怒られて逃げてきたから会いにくいよ…」


「ダメです!今です!謝りましょう!微力ながら僕も横に居ます!行きましょう!」

結局ウシローノの圧に勝てなかったジェードは「うぅ…はい」と言うしかなかった。

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