第15話 ライブとの野獣の日06。

ライブとの3日目は訓練で第一騎士団を鍛え直しに向かう。

とりあえず気になっていた事としてミチトが繋がる事でジェードとベリルに術を使わせてみるとやはりインフェルノフレイムも氷結結界も放つ事が出来た。


「単純な術量の問題だな…。言い換えればジェードの方がトゥモより凶悪なのを放つな…」

このミチトの言葉にアプラクサス達は「会議で説明する事になるので一般の魔術師でも可能かどうかを…」「後は放つのに必要な人数を教えてくれないかい?」と聞いてきた。


「んー。一般的かー、難しいなぁ…。ジェード、質問に答えてくれる?ファイヤーボールでインフェルノフレイムごっことかしてたの?」

「うん!ラミィのやつを見て俺ならってやってたよ!」


「イメージしてたから撃てたか…。第三騎士団呼ばなきゃダメだな、こう言う時に呼びやすいから特別感出ちゃうんだよなぁ」

ミチトが呼んだのはシイ、シヅ、ヨミ。


3人を呼ぶとシヅとシイで組ませてシイの直結術で氷結結界を撃たせてみると威力も弱く「一発が限界」とシイが言う。


「術人間達は皆バロッテスくらいは撃てるから今の氷結結界なら4人くらいですね」

この説明にアプラクサス達は参考になると言う。


「マスター、俺は?」

「じゃあシイにインフェルノフレイムを授けるからヨミと繋がって撃ってごらん」

これでシイが放つが火柱が出たのは一瞬でヨミはその場に倒れ込んでしまう。


ミチトはヨミを助けながら「まあそうなるよね」と言い、「インフェルノフレイムは術量を込めただけ燃焼するから加減しないとこうなる」と続けた。

ヨミは「酷い目に遭ったよ」と言って延びている。


ミチトは復活したヨミに「じゃあヨミにも氷結結界を教えるから放ってごらん」と言うとヨミは楽しそうに氷結結界を放つ。


「さっきのインフェルノフレイムの直結術と比較してどう?」

「あっちは無理矢理術を奪われて死ぬかと思ったけど自分で撃つのは加減できるからうまく行くね」

訓練場の中央に出来た氷の塊を見てヨミは満足そうに言う。


「じゃあこれが他人の氷結結界の肩代わりなら?」

「起点が凍っても範囲は凍らないんじゃないかな?」

ヨミの読みは間違っていないのでミチトは「いい読みだね。ありがとう」と言い、そのままをシックとアプラクサスに伝えると2人とも城に戻っていく。


ここでウシローノ達が術をくれ!と言うのでサンダーデストラクションを含めた術を授けたが「これは散々ウシローノさんが欲しがっていた、シヅ達に渡したのと違う俺オリジナルの術だからここからシヤみたいに魔水晶に適した範囲と術量に変えないと放てませんからね。練習です」と説明をした。


「シヅ君達のは?」

「あれはシヤが考えた奴です。でもウシローノさんが昔シヤから教わりかけながら「これではありません」って嫌がったから俺オリジナルです」


「マスターって優しいのにここ1番で厳しいっすよね」

「本当、きっとマスターならイイーヨサンダーデストラクションとか作れるのになー」


これで今度こそ訓練に入れるかと思ったのだがライブが思い出したかのように「ミチト、ジェードとベリルをよろしく」と言い出した。


「ライブ?」

「いやー、忘れてたよ」


参った参ったと頭をかいたライブは怖い目になるとシイ達を見て「シイ、シヅ、ヨミ、第三騎士団の訓練場まで逃げな。サボってた罰を忘れてたよ。追いつくたびにサンダーインパクトだよ」と言って殺気を放つ。


「え!?」

「ライブさん?」

「俺達メロやパテラさんに…」


「問答無用。逃げて…みなさい!」

ライブは滑走術で「しかも私が先に着いたら30分のお仕置きタイム!」と言いながらヨミを沈めて走っていった。




ベリルの訓練を先にウシローノとイシホに任せて、イイーヨとイイダーロには術を考えさせるとミチトはジェードの前に立つ。


「さあ、やろうか?」

「何するの?術は教えてもらったよ?」


ジェードは先程放ったミチトの術で満足そうにしていたがミチトに「ジェードができる子だからパパは色々教えてみたくなったんだ。とりあえず20人抜きは出来るよね?」と聞かれると第一騎士団の面子を見て「…うん」と言った。


わずか8歳の男の子に20人抜きと言われた第一騎士団は面白くない。


ミチトも「俺の子供だと言っても大怪我さえなければ不問です。頼めます?」と言うと我先に20人が集まってきた。


ジェードは臆する事なく「よろしくお願いします」と言って剣を構えるとミチトが手を出す。


伝心術で指示を出すとジェードは少ない誤差で行動して流れるように対戦相手を倒していく。


10人を越えた所で「後は好きに動いて見せて」と言うとジェードの動きはガラリと変わる。

中でも凄かったのはライブがやるようなナイフ攻撃に近い動きを剣でやって見せた事と、本気でジェードを狙った剣をファイヤーインパクトを重ねた六連斬でへし折った事だった。


「パパ、やったよ」

「お疲れ様、本当強いね」


必死に喜びを悟らせないように歩いてくるジェードはミチトに褒められて照れている。

そこに「ジェード!やるね!」と言って現れたのはメロで「お待たせ〜」と言ってミチトの横に立つと「ライブお姉ちゃんがシヅ達を痛めつけると思って第三騎士団に行ったらパパ達来ないしライブお姉ちゃんが怖い顔で走ってきたから一緒になって第三騎士団を痛めつけてきたから遅くなっちゃったよ〜」と言って笑う。

メロに聞くとライブはまだ痛めつけたりないと言って第三騎士団を追い回している。


妙齢になって貴族達からはお茶会やパーティーのお誘いの手紙すら届くようになったメロなので第一騎士団員、貴族のボンボン達はメロを見て色めき立つ。


当然それが面白くないミチトはその中からメロにいい所を見せたいとか愚かな事を考える輩を10人選んでジェードに「特別訓練だよ。俺が繋がるから思いのままに戦ってごらん。ただ殺すような術はなしだ」と言う。


ジェードはフユィと同じで夢見た戦い方があったのだろう。滑走術で駆け出すとアクィのように剣に軽身術をかけた上に身体強化をして十連斬を連続して放っていく。


途中で繋がる事をやめてみたがジェードはその事に気付かずにやり切ってしまう。

才能と同時に自分は真式ではないからと言う思い込みの壁が邪魔をしていると思った。


だが最後にジェードはやらかしてミチトに怒られる。

先に無力化して訓練場を転がした対戦相手に向かい流れるように「喰らえ!サンダーデストラクション!」と唱えていた。

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