第14話 ライブとの野獣の日05。
4人のスレイブ達の顔を見て満足そうに「ほらね。そっちの連中は何かある?」と言ったライブの言葉に貴族達は若輩者にそんな大事な仕事を与えるなんてと年齢を理由にしてくる。
「だから修行すんだって、明日から全部じゃなくてお手伝いして代わりにやれる事増やすんだよ。それにさ…」
そう言ったライブは妖艶な笑みを浮かべてエーライを見て「陛下、モブロン達は私の部下、主人のスレイブです。部下が困れば上司の私、私の主人が現れるのは当然の事、試すだけでもお得で御座います。勿論我が母と公言してくださるディヴァントの魔女も健在、なんの問題ありません。ご安心ください」と申し出る。
普段の奔放なライブのイメージが急に女帝のようになり、ジェードは身震いをしながら母を見た。
「悪くない。他の者もいつ出番が来て良いように備えるがいい」
この言葉に恭しく頭を下げたライブはウシローノ達を見て「だいぶ昔に言った言葉を覚えているよね?私が取りまとめるのなら貴方達は下に就くと言った。やり切りなさい」と言う。
姿勢を正して「はい!」と気持ちの良い返事をする4人を見たライブは改めてモバテ達を見て「勝手に進めてごめんなさい、ですが私の部下は有能です。どんな雑務もこなします。大船に乗ったつもりでいてください」と言うとモバテ達も紅潮した顔で「おうおうおう、やってくれたな」「助かります」「これで楽ができるよ」と言った。
完全に蚊帳の外のミチトは「マジか」と事態を見ることしかできずにいる。
「ふふ、あなた。ひとつお願いを聞いてください」
「ライブ?」
「私に恨みを抱いて私を謀殺しようとする輩が居るかも知れません。それがどれだけ無駄な事かを見せたいのです。泥棒…居ますよね?」
「…居るよ、出すの?」
「はい」
「じゃあお庭借りよう」
ミチトはライブ達を連れて庭に向かうと「えーっと…王都だと少人数であまり意味が無いのでリミールで徒党を組んでた山賊さん達です」と言って15人の荒くれどもを出す。
「ライブ、そのままで倒してね」
「ええ、余裕よ」
急に王城に連れて来られた山賊達は狼狽えるがミチトが前に出て「えーっと…、ここはリミールではなく王都です。捕まえます」と言うとライブが「武器を構えなさい」と言って前に出る。
そのまま駆け出すとよそ行きのドレス姿で蹴りを放つライブ。
ミチトは慌ててスカートの中が見えないように認識阻害術をかけたりとヒヤヒヤしてしまうがライブのハイキックで吹き飛んだ山賊は仲間の山賊を巻き込んで庭を転がる。
そこに容赦なくサンダーデストラクションを放って山賊を黒焦げにして「殺してないよ」と言って笑うと残りの山賊は練習用のダガーナイフでなます斬りする。
そして山賊が動かなくなったところで「陛下、母にはない戦闘力まで兼ね備えております。お任せください」と言った。
それを見てエーライも「腕は衰えていないなライブ・スティエット。見事だった。だが謀殺ならどうなる?」とわざと聞く。
「ふふ、主人の検知範囲には劣りますのでチャズ様のお屋敷より先から狙われれば危ないですが、チャズ様のお屋敷まででしたら備えられますわ。私もラージポットクラスのオーバーフローでしたら無傷での単騎制圧くらいは出来ると主人からお墨付きを頂きました」
この話で輩どもは何も言えなくなる。
モバテは気分良く「闘神、君の検知範囲は?」と聞くとミチトは「寝てる時で王都中、本気で備えればこの国の端までならなんとかですね」と返す。
「それでは今もトウテのご家族は?」
「はい。見守ってます。虫1匹許しませんよ」
「おお、それでは不在を狙う輩なんかは…」
シックの意地の悪い笑顔にエーライが「目の前に呼び出して黒焦げと言うわけだな?」と合わせる。
「ええ、それに出所も突き止めてキチンと後腐れなくしますよ」
ミチトもここぞと圧を放って言い、これにより皆大人しく引き下がる事になる。
ウシローノを除いて。
ウシローノは初日にシヅが理由があったとは言えサンダーデストラクションを授かった事を知っていてミチトに求める。
以前も好きにしていいと言ったのだが、ウシローノの問題で覚えることが出来ずにいた。
「あー…言われたよ。要ります?」
「勿論です!」
「あー……明日の訓練の時に考えます」
ミチトは捕まえることをやめて、治療した山賊に改心を促してからリミールに返す。その後でモバテ邸に戻るとカメリアとシナバーが来ていて「マスター!また雷!鳥さん起きちゃう!」「治癒院の子達もだよ!」とクレームを入れてくる。
「俺じゃない…ライブ…」
「言い訳ダメ!」
「そうだよ!」
問答無用で怒られたミチトは「王都やだ」とボヤくと「そう言うなって、助かったよ」「本当です。ありがとうございます」「4人にも助けてもらう事になるね」とモバテ達から言われた。
ミチトは4人の事を聞いて「あ、忘れてた。セルースさんがよく使うありがたい言葉を聞かせます。俺の言葉だと思って頑張ってください」と言い、術を使うと「俺に面倒かけんな。働け…キチンと働け、飯の面倒とか見てやるからバカみたいに働け、わかったな?サボるとどうなるかわかるよな?」とセルースの声が聞こえてくる。
セルースは面倒見が良くトウテに流れ着いた冒険者もダンジョン管理の仕事に就けて働かせている。その際に口癖のようにこの言葉を使っている。
「4人とも、俺とライブに出番が来ないように頑張ってくださいね」
ミチトの言葉に4人は「はい!」と気持ちのいい返事をした。
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