第11話 ライブとの野獣の日02。

のんびりとした事もあり、昼食時を過ぎていてベリル、ジェードの順番で食べたいものを聞くと「パパとママのご飯」と言われる。


「いいの?俺、よく作ってるよね?」

「いいのー!」


「じゃあ、ベリルは魚派だし、ジェードは野菜、ライブはお肉好きだから沢山作ろうかな!」

「ミチト!私も手伝うよ!」


「じゃあライブにはハンバーグと串焼き肉の仕込みを頼もうかな。ジェードには蒸し野菜にしてあげてソースは四種類作って、ベリルの魚は煮魚と揚げ魚だね」


このメニューに子供達はニコニコと笑顔で「わ!凄い!」「お魚はトマト入れてね!」と言って喜び、それを見たライブも目を潤ませて喜ぶ。


「ライブ、これが俺たちの家だね」

「…うん。家族全員も楽しいけどこの4人の形が私の家だよ」


買い物にしても買い過ぎだと思ってもミチトは止めずに買えるだけ買って別荘に戻ると調理を始める。


出来上がった順に食べるように勧めたが全員がミチトを待った。


4人での食事、「どうかな?」と聞くミチトを見ながらライブは串焼き肉を食べて、ジェードは蒸し野菜に生姜を利かせたソースをつけて食べる。ベリルはミチトに魚を食べさせて貰うと「美味しいよパパ!」と言った。


それに続くようにライブも「ん〜、美味しい!」と喜び、ジェードも「パパ、このソース美味しい!パパのオススメはどれ?」と喜ぶ。


「美味しいって言ってくれてありがとう」

ミチトも自分で作った料理を食べて「うん。イメージ通りで良かった」と笑う。


空腹もあったがジェードがガッつこうとするのをライブがとめて「ママのお願い、今日はのんびり食べよう?」と言うとジェードは「パパ?」と聞く。


「俺?いいんだよ?今日はトゥモ、ロゼ、コードも居ないから落ち着いて食べられるよ」

ミチトは微笑みながらフライをベリルの口に運んで「はい、お茶も飲んでね」とやる。


トゥモはローサの講習以外でもサルバンに帰省した時なんかに受けるアクィの躾もあって男の子供達の中ではテーブルマナーは1番ちゃんとしているが大鍋亭に居る時は悪ガキのように歳の近い男兄弟達と奪い合うように食事をしている。

ジェードはタシアの次にお兄さんなので奪い合いに参加しつつも兄の立場を守って譲ったりしていた。


「落ち着いて…、できるかな?」

「平気だよ。ローサさんの所でご飯の練習をするみたいに落ち着いて食べてご覧。それに足りなければおかわりも作るよ。まあデザートは俺もライブもアクィやスカロさんみたいには作れないから買ってきたフルーツだけどね」


この説明でジェードは「本当?」と聞いてからゆっくりと串焼き肉を食べてお茶を飲むと「ママお茶おかわり」と言った。


ライブはライブでどうしてもベリルに手がかかったり、ジェードをメロやタシアに任せてしまっていた事に気付いて「うん。いつも淹れてなくてごめんね」と言うとお茶を淹れて「はい」と渡すとお茶を受け取ったジェードは顔を真っ赤にして喜ぶ。そこからは急に甘えるように「パパ、塩のソースも胡椒のソースも生姜のソースも美味しいけどトマトのソースが酸っぱいよ」と注文をつける。


「あー、王都のトマトはディヴァントより甘くないよね。ディヴァントのトマトのつもりで作ったからだね。教えてくれてありがとうジェード。ベリルは嫌かな?」

「私平気!」


「パパ、イブママがやるみたいなクリームのソースは作れる?」

「んー…材料の事があるからマヨネーズでもいい?」


立て続けて注文をつけるジェードにライブが「こら、甘ったれて」と優しく注意をすると「えー…、3日しか甘えられないからいいじゃん。ちゃんとママの分もパパを残しておくよ」と言い返される。


「へ?」

「ママだって、アクィママがパパと出かけてる間ずっと待ってたじゃん」


2人の会話を見ていたミチトは「平気だよジェード。俺は嬉しいよ。もっと甘ったれておいで」と言うと、ジェードはすぐに「いいの?」と聞いてくる。


「いいよ。何かある?」

「…横で食べていい?」


「いいよ。丸テーブルだから近づいておいで、狭いのは我慢するんだよ?」

「うん」



ミチトはわざとライブに伝心術を使うとライブは立ち上がってジェードの横に行くと「もう、口の周りソースまみれだよ」と言って拭く。

それだけでジェードは嬉しそうな顔をするし、ライブはその顔を見て「普段は自分で拭いてて偉いけど4人の日はママがやってあげるよ」と言う。


食事が終わったのは夕方で「夜ご飯はお腹減ったら言いなね」とミチトが言って、「ジェード、お風呂掃除頼める?お皿をママと洗う間頼んでいいよね?」と続けると「うん!ベリルとやるよ!お風呂って4人で入れるよね?」と言う。


「狭くていいならね」

「平気!狭かったらパパとママがくっ付いてくれれば俺とベリルは狭くないよ!」


ジェードはベリルの手をとってお風呂場に行くと一生懸命お風呂掃除をしていく。


張り切る子供達の声を聞きながらライブが「ミチト、ありがとう」と言う。


「ううん、俺こそごめんね。こんな日こそが大事なのにバタバタしてて気付けなかったよ。ジェードはお兄さんをしてて、ロゼ達が一個下だからライブがイブにするみたいに我慢をしてたんだね」

「うん。それに私なら無理矢理やる事もジェードはミチトに似たから我慢してたんだね」


「思い切り甘えさせてあげよう」

「うん。そうだね」

皿を洗い終わる頃に風呂掃除を終えた子供達が戻ってくる。


「パパ、お風呂の前にメロが双六をするように教えてくれたんだ!前にお母さんとパパとやったって言ってたよ」

「ああ、アレだけはメロが捨てないでと言うから孤児院やロード達にもあげなかったね。ベリルも双六やるかな?」

「うん!」



メロのお気に入りの双六をミチトが持ってくると止まるマス目を見てジェードが座り順に悩む。


「何悩んでんの?」

「お礼とかパパにもママにも言いたい」


「アンタ…」

「ありがとうジェード、メロは我慢できなくて俺とリナさんに言ってたよ」


「え?マス目…」

「メロは我慢できなかったってさ」


この言葉でジェードは「じゃあいいや」と言って座る。


感謝を言うマスでは「俺のパパとママでありがとう。今日はすごく楽しいよ」と言い、謝りたい事のマスではトゥモのような真式ではない事を気にして謝って「何言ってんだか、ジェードは簡単な術なら撃てるじゃないか。フユィみたいな事を気にしないんだよ」と言われて「本当?」と言う。


その顔は真剣でそれが気になったミチトは「あれ?フユィもだけど何を気にしてるの?」と聞くとジェードは「パパは神様って言われるくらい強いのに子供の俺が弱いとダメかなって…」と言って下を向く。


少し困ったミチトは「3日目に色々みてあげるから安心するんだよ」と声をかけるとジェードは「うん」と言って真剣な表情をやめていた。


ベリルは好きな人に握手をするマスなのにミチト、ライブ、ジェードに向かって抱き着いて「大好き!」と言っていた。


双六はズルも何もなくライブが1番にゴールをして「やったぁぁ!!」と喜ぶライブを見て「ママ、大人気ないよね」「ママは子供だね」と子供達から言われる。

ミチトは何故か生きる事に直結していない為かビリになると「…メロとやった時もビリだったんだよね」と言って落ち込んでいた。


4人でのお風呂、流石に浴槽は4人で入るのには向いてない大きさで「…別荘の建て替えって言ったら建ててくれたモバテさん達嫌がるかな?」とミチトが呟く。


「平気じゃない?横の空き地も家にしてもらおうよ」

「そうだよね。15人で寝泊まりするのは少し狭くなってきたよね」


そんな事を話しながら風呂に入るとベリルはニコニコクネクネしていてどうしたのか聞くとかつてのメロのように「パパとママが仲良しだと嬉しいのぉ」と言って照れる。

まあ狭くて仕方ないがミチト、ライブ、ジェードとベリルと並んで浴槽に浸かっていればミチトとライブは密着をしていて、ライブがアクィならかつてのメロは喜んでいた。

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