ライブとの野獣の日。

第10話 ライブとの野獣の日01。

4日目の朝、ライブの日の1日目、トウテに帰りながらライブを迎えるとメロが「メロは最終日の朝に行くからよろしくね」と言う。


寝耳に水のミチトは驚いて「え?なんで?」と聞くとメロはニコニコ笑顔で「ジェードと話して決めたんだよぉ」と言うと横で待ちきれない顔をしているジェードを見て「ね、ジェード?」と声をかける。


ジェードが「うん!」と返事をした所で色々と諦めたミチトは「わかったけどメロが来ないと王都の人間は全員左耳が聞こえなくなるからね」と釘を刺すと困り笑顔のメロは「もう、わかってるよぉ」と言った。



このやり取りの後で別荘に移動するとミチトはジェードに何がしたいのかを聞く。

ジェードは考える事もなく「訓練は3日目にメロが来た時だから、今日はお買い物!」と言う。

ここでジェードの一存で決めるのもよろしくないので娘のベリルと妻のライブにも何がしたいのかを聞く。


「ベリル?」

「お買い物!」


「ライブは?」

「私はミチトと居られるだけで何でもいいよ」


この言葉を聞いたジェードはさっさと別荘を出ると「パパ!ベリルを抱っこね。俺はママとパパと手を繋ぐ!」と仕切る。


それは世界の根…ミチトの好きな呼び名は大地の根に自分を降ろしてからメロとラミィを連れてパンケーキを食べに来た日に近い姿だった。


ここで先程の話して決めたの意味がわかったミチトは「メロに聞いたんだね?」と確認をするとジェードは「うん!」と返事をした。

話がわからなかったライブが「ミチト?」と声をかけるとミチトは「ライブも何かあったら言うんだよ。ベリルもね」と言った。



ミチトは王都をのんびりと手を繋いで歩く。

「ここは?」

「んー。可愛すぎ」


「ここは?」

「なんか違う」


「ミチト?ジェード?」

「いいから、歩くのが辛くなければ付き合ってあげてよ」


暫く歩くとジェードはようやく気に入った店を見つけて中に入る。

予定と違っていたのはオーナーは泥棒から店を守ってくれてありがとうとミチトに感謝をしていた事で、ライブは「メロから聞いたよ。泥棒をパテラの前に出したり牢屋に入れたんだよね?」と笑う。


「疲れたよ本当…」と言ったミチトは横に座るライブに微笑みかけた後でジェードとベリルに「決まった?」と聞くと「フルーツオレ!」「ミックスジュース!」と言う。


ミチトはパンケーキと紅茶、子供達の飲み物を頼むとライブに「アクィが両親としていて、メロがラミィと4人できた時にしていたんだ」と説明をするとパンケーキの話は何回か聞いていたライブは「ああ、懐かしいね。もう随分前だね」と答えた。



出てきたパンケーキをライブが切ってジェードとベリルに渡すと2人とも熱さを物ともせず食べる。


「パパにもひと口くれるかい?」

ミチトは儀礼のように言って2人から貰って食べると「ママにもいいかな?」と言う。


ライブは「ミチト?」と言いながらそれを食べるとハッとしたライブが「美味しいね。家族4人で来たね」と言って嬉しそうな顔をする。


「ジェード、ありがとう。メロからこれを聞いていてメロを3日目にしたんだね?」

「うん!4人家族を楽しんでこいってお母さんやメロやイブママに言われたよ!」


ミチトは優しく微笑んで「じゃあ沢山楽しもうね」と言うと娘のベリルが「ベリルも!」と言い、ミチトはベリルにも優しく微笑んで「ああ、そうだよ」と行った。



暫くティータイムを楽しんだ4人は王都を散策する。今度はベリルと手を繋ぎ、ジェードを抱き抱える。


ジェードは照れて「パパ、俺はもう8歳だよ!」と言うが「まだ8歳。俺が抱けなくなるまではいいだろ?」と言われると口では照れるが嬉しそうにミチトを独り占めするジェード。

それを見てライブが嬉しそうにする。


「ライブ、何かある?」

「指輪買って、今日の記念のヤツ!」


「良いけど、作るよ?」

「それも欲しい。でもローサさんの書状で買って自慢したいの!」

そう言ったライブはジェードに「男は待つのも仕事だよ」と言ってモンアードまで連れて行く。


ベリルは立派に少女で「ベリルも欲しい!」と言う。


ジェードだけは「俺ここで何してればいいの?」とブツブツと言いながら待ちぼうけている。


そんな中、泥棒退治をしていた事で店長からは感謝を告げられるし、珍しくリサーチに来ていたモンアード本人に「よう、泥棒退治ありがとな。店では初めて会ったな」と声をかけられる。


「ミチト?誰?」

「モンアードのアクセサリーを作ってるモンアードさん。俺に指輪作りを教えてくれた人だよ」


ライブは慌てて立ち上がると「ライブ・スティエットです。主人がお世話になりました」と挨拶をする。


「こちらこそ。闘神は面白いから楽しかったよ」


モンアードはミチトを見て「なあ、指輪作りはやってるのか?」と聞くと「んー、隠れてコソコソはやってますがあんまりなんですよ」と言ってミチトは困り笑顔になる。


何も知らなかったライブは「え?ミチト作ってるの?」と聞くと、ミチトはごく普通に「うん。上手くいったら見せようと思ってさ」と返す。


「見せて」

「えぇ…」


「見せてみろ」

「えぇ…」


ライブとモンアードに言われたミチトが渋々出した指輪はシンプルながらキチンと装飾された指輪で、前に作った結婚指輪より更に上手に出来ていた。

手に取ったモンアードは細部を確認すると「これの何が嫌なんだ?前も言ったが地方都市なら売れるぞ?」と意見をする。「んー…怒りません?いやぁ、先に理想の完成形を作ってしまったので上手くいってなくてイライラするんですよ」と言って取り出した指輪は更に見事な出来だった。


2つの指輪を並べて「ほら、ここ…比べると歪んでますよね?」と説明をするとモンアードは「お前…術で楽するなって教えただろ?」と言う。


怒り顔のモンアードにミチトは「術は術でも違いますよ!見ます?」と言うと銀の塊を取り出して術で熱すると、単純な術の塊でそれを叩いて伸ばして削って成形していく。

そして完璧に冷めてから術の塊で磨き上げると「ほら、これがこの指輪の理想系なんですけど、ここのところが手でやると歪むんですよ」と説明をする。言いつけは守っていた事で怒れないモンアードは「…まあ、それは修練だな。頑張れよ」とだけ言った。


ライブはモンアード自身のおすすめとミチトのおすすめ、そして自分の欲しいものを合わせて買うとベリルも欲しがりミチトは一緒にネックレスを買うとそれに指輪をつけて身につけさせた。

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