第8話 アクィとの野獣の日08。
もう一度ニヤっと笑ったミチトは「スカロさん、これで何の問題もなくなりましたね」と言うとスカロは脂汗をかきながら「スティエッ…」と言いかけるが、最後まで言わせる前に「ナハトをよろしくお願いしますね。メロが行くから何の問題もありませんよね?ヒノさんとは相思相愛ですもんね」と言い、メロとヒノの圧力を感じたスカロは「…ああ、わかった」と言った。
「ノルアさん、ナハトがパテラさんの相手をしますから大丈夫です。ノルアさんはパテラさんと訓練もしたいし自己を高めたいんですよね?」
「はい。子を授かるとパテラ様と訓練が出来なくなると思ってどうしても子供の事に注力出来ませんでした」
ノルアはもじもじとしながらチラチラとパテラを見ながら話す。
「後進を育てる時期ですよ。それに今のうちに授かれば今日の我が家のような訓練が出来ますよ」
「え?今日みたいな?」
「はい。ノルアさんと子供がパテラさんに立ち向かうんです。パテラさんの育てる能力は半端ないですからね。子供も楽しんで強くなれます。お腹の大きい間に訓練メニューや学ばせたい剣技を考えるんですよ」
ノルアはイメージをしたのだろう。
すぐに顔を真っ赤にして喜んで「パテラ様!」と言う。
パテラは「ノルアが望んでくれれば是非もない。それでは共に最強の子を授かろう」と言った。
円満解決。
周りに人が居る状況で言質まで取れたとあってミチトはドヤ顔で「ロキさん?これで良いですよね?文句あります?」と聞く。
ロキはここで終わらない事を知っているので「え?いや…」と言った瞬間、案の定「ああ、違いますね」と言ってキレたままのミチトはアクィとメロ、ラミィ、フユィ、トゥモ、そしてナハトとナノカを引き連れてキャスパー派の残りカスの前まで行って「俺の兄達になにか文句ありますか?」と睨んだ後で「ああ、これも違うか。ご心配おかけしました。なんなら俺が術でこれでもかと子供を授からせますからご安心ください」と言う。
ナハトとナノカは申し訳なさそうに後ろでビクビクしていたが、トゥモ達はふんぞりかえって腕を組んでいて臨戦体制になっていた。
キャスパー派の残りカス達はすごすごと引き下がって小さくなるがまだミチトの機嫌は悪い。
「エーライさん!厨房貸して!」
「友よ?どうした?」
「スカロさん!ヒノさん!パンケーキ食べたいから作ってきて、ここの人数分!」
「何!?この人数をか!?」
「えぇ!?まあスカロとならやれるけど」
「アクィ、メロ、手伝ってきて!ノルアさんもだよ!」
「ええ!任せなさい!」
「うん!」
「が…頑張ります!」
もう一度ミチトはキャスパー派の残りカスを睨み付けると「あの輪の中に余計な誰かが入れるとでも?」と言う。キャスパー派の残りカスが何も言えないことにようやく気をよくしたミチトが席に戻るとロキが「…今日は荒れてますね…」と話しかける。
ミチトは「疲れました。まだ泥棒来るんですよ?アンチとリミールから追い出したからってどんだけ治安悪いんです?」と言って窓の外に視線を向ける。
「え?君今も泥棒の対処を?」
「してますよ。もうシックさんのお家とか見張るのやめようかな…」
お決まりの流れだが、本気かも知れない事を案じてシックが「それはイケズだよミチト君」と声をかける。
シックに冗談を言っても機嫌の直らないミチトは「んー…、ナハト働いてよ。後パテラさんとトゥモ達もやれる?」と聞く。
「お兄さん?何でしょう?」
「俺か?戦いなら任せろスティエット!」
「パパ?何するの?」
「泥棒が人様の家に忍び込む瞬間に収容所の牢屋に入れてたんだけど入れ食いすぎて疲れたし飽きてきたから、今からは入った瞬間この部屋にするから殺さないように倒して。はい、早速1人目…ナハト」
ナハトは驚きながらも「はい!」と返事をすると部屋の出入り口に突然現れたフードにマントと言った盗賊風の男は、突然城の中にいて煌々とした部屋を見て「あ…あれ?俺…留守中の貴族の屋敷…あれ?」と言ってキョロキョロしてる所にナハトが殴りかかって「制圧しました!」と言いながら締め落とす。
ミチトはお茶を飲みながら「エーライさん、どんどん来るから兵士の人に連れて行かせてください」と指示を出すとエーライは国王の顔で「済まない友」と言いかけたが途中でやめて友の顔で「助かるよミチト君」と言った。
「次ー、2人ねー。パテラさん、ラミィ」
「おう!」
「任せてください!」
「パテラナックル!」
「サンダーインパクト!」
「次はフユィとトゥモだよー」
「任せてください!」
「任せてよ!」
暫く賊を倒していたがいい加減疲れたミチトの不機嫌が最高になった所でメロが戻ってきて「パパ、捕まった奴らを王都中に見せて諦めさせようよ、そうしたらもう今日はやらなくて良くなるし、これだけ捕まえたからもう十分だよ」と声をかける。
メロに言われるとコロっと動くミチトが「本当?」と聞くとメロは「うん。エーライ様達も感謝してるよ?」と説明をする。
これは妻達ではそうはいかない。
メロがやるからこそ効果があってミチトは「エーライさん?モバテさん?シックさん、アプラクサスさん?」と声をかける。
「感謝しているよミチト君」
「本当だ、1日で何十人も捕まえてくれてありがとうな」
「本当、王都はまた救われましたよ」
「ありがとう。民達も今日は何の心配もなく眠れるよ」
4人は過剰に反応してみせるとメロが「ほらね。だからパパはそれを王都中に見せて今日はおしまいにしよう?パパはメロのパンケーキを食べてくれるよね?」と畳みかける。
疲労が限界まできたミチトは「うん」と言うと広域伝心術で収容所と今延びている泥棒や盗賊の姿を見せて「えー…、ここに居るのが今日1日で捕まえた泥棒や強盗の人たちです。こうなりたくなければやめてください。以上」と言うと王都は沸くがミチトは知ったことではない。疲労の限界から甘ったれモードになっていてトゥモを抱き抱えて「疲れた。グリグリする」と漏らすとトゥモの頭をグリグリしながら背中に額を当ててグリグリする。
嬉しそうなトゥモを見てヤキモチを妬いたラミィが「パパ、ラミィが優しくしてあげますわ!」と言うとミチトはグリグリのまま「ラミィはメロのパンケーキを切って食べさせて」と言う。
「パパ!私は?」
「フユィはお茶飲ませて」
子供達は甘えるミチトにこれでもかと手を尽くしていく。
ミチトの周囲に漂っていた怒気は段々と薄れていく。
「皆さん、今日はミチト君のおかげで王都は平和になりましたし、沢山の修行が出来ましたよね。ミチト君が疲れてしまったので皆さんで癒して差し上げてくださいね」
このタイミングを見逃さないアプラクサスの言葉に子供達は元気よく返事をする。
ここでメロが「パパ、メロは何をする?」と聞くとミチトは即答で「ぎゅっとしよう」と言う。
メロは周りを見て少し恥ずかしそうに「皆見てるよ?」と返すとミチトは即座に「じゃあ王都の全員を視覚封印にする。それならいいよね?」と言う。
メロが「ええ!?」と驚き、それ以外の全員が「そっちかよ」となっている中、メロは事態の深刻さを理解して顔を真っ赤にして「メロは見られても平気だよ!パパ!」とやるとトゥモを抱いたままのミチトが「メロ!」と言いながら抱きついて「やっぱりメロも居て俺の家族だよ、居なくなったらダメだよ?」と言う。
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