第5話 アクィとの野獣の日05。
ようやく話がまとまって始まる殴り合いの訓練。
ミチトからすればまあぬるい。
そして「人妻を殴るのはなぁ」とノルア相手に遠慮をしたらノルアとパテラに怒られたのでノルア相手にしてはわりかし本気で殴り飛ばして訓練場の端まで殴り飛ばす。だがルール上ミチトからのノックアウトは認められていないのでメロの回復でノルアはもう一度突っ込んできて参ったと言うまで乱打戦を繰り広げる事になった。
その点シヅ達は言い方は悪いが殴りやすい。
容赦なく叩き込めば3分で参ったと聞こえてくる。
だが、ここで驚いたのはナハトだった。
「ナハト!?その動き…」
「この前、クラシさんの所に来たソリードさんに仕込んでもらいました!」
ナハトの動きはソリード…自分の立ち回りに酷似していたのだった。
「くそっ、俺の動き…やりにくい!」
「くっ、ソリードさんと動作は同じなのに速さと重さが違う!」
シヅ達は3分でダウンしたのにナハトは10分耐えた。
この事にパテラは目を丸くしてナハトという存在に喜び、スカロに訓練内容を聞くとスカロも褒める始末にパテラはシックとアプラクサスに「彼を是非サルバン送りにしてください!朝から晩までみっちりと!」と談判を始めて「みっちりと?」「それは対ミチト君用の訓練がしたいのかい?」と笑顔で突っ込まれている。
メロとアクィもこっそりとソリードに教わっていて動きが段違いだったがミチトは威力を引き上げて10分でダウンさせていた。
一通り戦ったところでわざと最後にシヤが出てきて「マスター、最後は俺だよ」と言う。
ミチトは困り笑顔で「また嫌なのが最後に残るなぁ」と言うとシヤも「へへ、ナハトと訓練してるし、思い切り動きたいからよろしくね」と言って向かってきた。
シヤはナハトとの訓練でミチトの動きを前以上に把握していて隙がない。
そして無意識に身体強化をする癖は消えていないのでシヤ曰く「カッとなってやった」状態で身体強化をして殴りかかって来る。
シヤはどうしても頭一つ出てしまうので同じ仲間達とは本気で訓練が出来ない部分もある。なので殴りながら「やっぱりマスターとやると楽しい。これからもよろしくね」と言って溌剌とした笑顔になり、ミチトは釣られるように「ったく…、いいよ」と言いながら殴り返す。
いつの間にかギャラリーにシーシーと2人の子供達も居てシヤに手を振っている。
シヤが本気で動けてシーシーは嬉しそうに姿を見て、子供達も本気のシヤを見れて感動している。
そんな中、「お腹すいた。マスターありがとう。参った」と言ってシヤは手を止めるとミチトも「まあ泥試合だからこんなもんだね」と言って手を下してシヤの頭を撫でた。
昼食はシックがご馳走してくれて大人数で食べる事になる。
食席に着ていたカメリアが「マスター…鳥さんが帰っちゃうからやり過ぎはダメだよぉ」と不満を口にするとシナバーも「本当、読み聞かせで折角寝た治癒院の子供達が雷怖いって泣いてたよ?」と言う。
「…ごめん。でも俺撃ってない…」
そう言っても何故か皆してアクィ達には言わない。そしてアクィ達も名乗り出ない。
ミチトだけが怒られ続けていた。
珍しいメンバーで夕飯までの散歩。
スカロとパテラはのんびりと王都を歩くのは久しぶりだと喜び、ノルアはカラーガ邸に顔を出す。アクィ達の採寸は済んでいるので後は生地に合わせて超特急で服を仕上げるだけになる。
「そう言えばラミィはよくメロを呼んだね」
ミチトの言葉にラミィが「真式様がメロ姉様を呼ぶと楽しいよって教えてくれました」と答えるとミチトは真式の館の方を睨んで「あの野郎…」と怒る。
そんな時、アクィは「でも良かったわ」と言って自分と手を繋ぐラミィ、2人で手を繋ぐフユィとトゥモを見て目を潤ませる。
多分、今日は家族の転機になっただろう。
ラミィは母の実力を知って心を開き、フユィは術人間とそうでない者の壁を取り払い、トゥモも変わった姉達を見て穏やかな気持ちになっていた。
のんびりと散歩をしていると「ねえパパ、質問してもいい?」とトゥモが言い出した。
「どうしたのトゥモ?」
「仮にフユィが俺の力でサンダーデストラクションを放ったらパパは乗っ取れる?」
ミチトが渋い表情で「まだ言うの?トゥモってしつこいよね」と言うとアクィとメロが「ミチトに似たのね」「パパ似だね」と言って笑っている。
「答えてよ」
「んー…、本当は試すのがいいんだけどカメリアに怒られるからなぁ、イメージでやるか…。フユィ、イメージしてご覧?パパがトゥモのサンダーデストラクションを乗っ取ったのは見たことあるよね?」
「うん」
「よし、フユィが撃つイメージをパパに見せて」
フユィは自分が撃つならとイメージをしてサンダーデストラクションを放つとミチトは嬉しそうに「フユィは凄いね」と褒める。
トゥモは何が何かわからずに「パパ?」と聞くとミチトは「トゥモのサンダーデストラクションよりは乗っ取りにくいかな?言うならトゥモのサンダーデストラクションはシヤがやり方をわかれば乗っ取れるけどフユィのはシヤでも半分くらいだね」と答えた。
「えぇ…何が違うの?」
「ふふ、トゥモは考えずに撃てるからね、フユィは考えて撃つからその違いだよ」
今までのトゥモならいじけていたと思うし、言葉を信用しなかったと思うが今は「フユィ、後で教えて」と言い、フユィは嬉しそうに「!うん!!」と返事をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます