第4話 アクィとの野獣の日04。

局地的大災害。


これでもかと第三騎士団の訓練場に降り注ぐ雷。その全てを土の槍で相殺していくミチト。


「メロも入るの!?そこまでするか!?」

「するわ!」

「するよ!」

「いたしますわ!」


「ママ!ラミィ!息を整えながら剣撃!パパの連斬を上回るよ!」

「任せなさい!収納術!練習用のレイピア!軽身術!魔術!身体強化!二刀剣術…十八連斬!」

「やってみますわ!魔術!身体強化!二刀剣術十連斬!」

「身体強化!二刀剣術!十八連斬!」


「ちっ!甘い!二刀剣術!四十六連斬!」

ミチトは全員の二刀剣術を完封すると「惜しかったねメロ。俺はイブを抱えて片手で三十連斬するんだよ?サンダーデストラクションにしても後1人いればよかったけど女だけの戦いにトゥモは出せないね」と声をかけた。


無茶が祟って肩で息をするメロは悔しそうに「くそっ…、ママ!もう一段引き上げたら連斬はいくつ!?」

「反撃無視で二十よ…」


「メロもだよ、ラミィ?」

「ごめんなさい、ラミィは十二ですわ」


「残念だったね、五十二なら俺は返せるよ」

不敵に笑うミチトを見てラミィもメロも…アクィも苦々しい顔をした。


フユィはそれを苦々しい顔で見ていると横にいるトゥモが「フユィ、準備はいい?」と聞く。フユィは突然の事に「トゥモ?」と聞き返す。


「さっきはオーバイさんから貰っていたよね?連斬は?反撃無視で撃つといくつ?」

「メロ姉様のやり方で十二」


「よし、64になった。パパはイブママを抱っこして30は撃てたから両手で60は撃てるんだ。でも64ならイケるかも。サンダーデストラクションも俺と手を繋ぐんだ」


「いいの?」

「うん」


フユィが手を繋いだところでトゥモが「メロ姉様!もう一度だ!」と声をかけると「パパ!次で決めるよ!一撃でも入れたら今晩はモバテ様達のご招待を受けるんだよ!」と言った後で「ママ!ラミィ!サンダーデストラクション!」と言った。再び降り注ぐ雷の中、フユィも「サンダーデストラクション!」と言った。


フユィのサンダーデストラクションはトゥモが放つのと遜色なくミチトに向かって降り注ぐ。


ミチトはそれを辛そうに受け止めていると前に出たメロが二十連斬を放ち、間を埋めるようにラミィ、アクィと続くとトゥモが「フユィ!いくんだ!」と言ってフユィが前に出て十二連斬を叩き込むとミチトは六十二まで打ち返して残り二発のうち一発はかわしたが最後の一撃が腕を掠った。


「入った…」

この瞬間、訓練場は沸きに沸く。


「フユィ!凄いよ!」

「ありがとうフユィ!」

「見事ですわ!」


「え?あ…ありがとう」

フユィは自分が役立ったことに驚いて真っ赤な顔で喜ぶとトゥモが来て「術量が無いだけなんだね。二刀剣術も俺より撃てるしフユィも強いね」と褒める。


そんな中、背後から「見事だぞ」「ええ、素晴らしかったですよ」「流石はサルバン嬢と子供達だね」と声がかかる。


「あれ?モバテ様」

「アプラクサスおじさん」

「シックおじさんもいる」


子供達は背後で見ていたモバテ達に驚いているとメロが「気づかなかったの?」と言いながらモバテ達にお辞儀をした後でミチトに向かって「それはそれで、パパ、夜ご飯はお招きいただくからね〜」と言って笑った。


「えぇ…本当に行くの?」

「だって優しいパパはフユィの為とは言えやったんだから受け入れてよねー」


「…バレたか。でもメロもアクィもだろ?」

「へへ、まあね〜。メロは最大二十四連斬だよぉ。後はママとラミィの事も良かったね」


そう、全員が子供達にあわせた内容で限界点に関して嘘をついていた。

そしてミチトはフユィの為に回避をせずに攻撃を受けていた。


ミチトは「メロが居てくれるからさ」と言うと横に居たアクィも「本当、ありがとうメロ」と言って微笑みかける。メロの一番は何年経ってもミチトとアクィなので嬉しそうに「ママ〜」と言って抱きついていた。



アースランスとサンダーデストラクションで台無しになった訓練場をならすとパテラが「スティエット!俺も訓練してくれ!」と言い出す。


「えぇ…何ですか?誘ったから良いけど…」

「まずは超重術の中で走り込みと筋トレだ!」


「まずは」と言ったがミチトはそこには追求せずに「あ、じゃあラミィとトゥモとフユィに超重術を教えるかな」と言って子供達にさっさと術を授けると、そのままミチトは「術量足りないからフユィはパパが手を繋ぐから術の発動と制御をやってご覧」と言う。


初見でメロが失敗した超重術。

やはり力加減が難しくサンダーデストラクションのように好き勝手に放てばいい術とは違っていてラミィ達は苦戦してシヅ達を殺しかける。


アクィとメロが奪術術で防ぐとラミィは今朝までとは打って変わって「ママ!メロ姉様!ありがとう!」と言い、アクィはそれだけで目が潤む。


本当に約7年近く辛かったのだろう。

母として甘い部分や未熟な部分があることは認識しているが、トゥモとフユィとはうまく付き合えている。

その事は妻たち全員が理解していたし、メロも気にしていた。

だからこそメロは「良かったねママ!」と声をかけるとアクィは「ええ、ありがとうメロ!」と言った。


そんな中、ミチトがズルをしているのではないかというくらいフユィの超重術は細かい制御が出来ていて、恐らく模式にしたらアクィ並の究極の無限術人間になる可能性すら感じてしまう。


「うおぅ!これはたぎる!うはははは!逃げろイイヒート!追いついたら鉄拳制裁だ!安心しろ!歯は折らん!」

パテラは意気揚々と訓練場を走り回って追いつくたびに団員達を殴り飛ばしていく。


そこにはノルアもいて、パテラは男女平等!と言ってノルアも殴る。

殴り飛ばされたノルアも「ありがとうございます!」と喜んで走り出す始末でアプラクサス達はドン引きでそれを見る。


結局、軽身術と滑走術で逃げ切ったシヤ以外は皆スカロとパテラに一度ずつ殴られて訓練が終わるとミチトはフユィと繋がってフユィにヒールを使わせていた。



「次だスティエット!」

「え?まだやるの?」


「おう!無手対無手!スティエットから沈めるのはなし!このメンバー全員と戦って全員から参ったをもぎ取るんだ!」

「マジか、よく思いつきますね」


「寝る前に訓練メニューをよく考えている!スティエットが来たら何をしてもらうか考えるだけでたぎる!」

「アンタ横で眠る奥さんの事を考えて寝てくださいよ」


このコメントにノルアは「いえ!楽しそうに笑うパテラ様の笑い声を聞きながら寝てるから平気ですよ!」と返してきてミチトは渋い表情で「イカレテヤガル」とだけ言った。



ミチトはルールの確認で「…それってメロ達も?」と聞くとパテラは胸を張って「当然だ!男女差別をするな!」と言う。


「男女は平気なんですよ。家族は分けたいんです」

こういう時のミチトは頑固で譲らない。


ここでスカロが「スティエット、今晩の晩餐はメロとラミィとフユィのドレスをお前好みにしてやろう」と言い、パテラも「まあそれもこれも全てお前の頑張り次第だぞ」と続ける。


「マジか」と言ったミチトは「メロ?」と聞くとメロは「うん!ありがとうパパ!」と言う、その流れで「ラミィ?」と聞けば「今日のラミィは紫の気分ですわ」とくる。


「フユィ?」

「うん!やるよ!」


3人の娘の返事に「マジか、やりますよ」と言った瞬間にパテラが「よぉぉっし!1人ずつだ!行けイイヒート!」と言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る