第2話 アクィとの野獣の日02。

メロはパテラを連れてシヅの前まで認識阻害の状態で歩くと勘のいい団員やナハトは「なんか寒気がする」と言ってナノカは「やだ風邪?」と心配する中、イイヒートは「敵襲?なんだこのプレッシャーは…」と言って臨戦体制になり、シヤは「…誰か居る。マスター?でもこの感じは違う」と見破っている。


そんな事も気付かない、気にしないシヅは「今度の休みはどこに行く?」なんてシイ達に話している。


ここでメロが認識阻害を解いて「休み?今休んだからいらないよね?」と言って鬼の形相で睨みつける。


「め…めめめ…メロ…さん?」

「あわわわわ…パテラさん」


「お前達、随分と余裕だな。そんなにイイヒートの訓練が退屈ならサルバンスペシャルコースをご馳走してやろう」


そんな横では臨戦態勢だったシヤが「あ、マスターとアクィさん、スカロさんもいる」と言い、ナハトが「ラミィちゃん達も来たんですね」と声をかけていた。


これが聞き捨てなら無いシヅ達は「え!?マスター!!」「アクィさんまでいる!?」と言って血の気がドンドン引いていく。


シヅの弁明を聞く前にメロは「パテラお兄さん!ノルアお姉ちゃん!ラミィ!ダラけた連中を追いかけ回して追いついたら蹴っても殴っても術でもいいからお仕置き!」と言って追いかけ始める。


パテラは「うはははは!逃げろ逃げろ!」と追いかけ回して、さっさと捕まったヨミはぶん殴られて訓練場を転がる羽目になる。


その他の団員達もこれでもかと殴られて1時間して訓練場に正座させられて反省の弁を述べていた。


情けないものを見る目をしたミチトにアクィが「ミチト、やっぱりチェックの時間帯を変えるべきよ。シヅは小狡いんだからその時だけは必死にやるわよ」と言うとシヤが「マスター、アクィさんの言う通りだ。見る?」と言う。


「やめて!やめろってシヤ!」


シヅの静止を無視してシヤがミチトに伝心術を使うと「お、やべぇ。そろそろマスターチェックだ」と言ったシヅは水の術で適度に汗をかいた感じにするとランニングをしたり素振りをする。


「よくやるよ。俺のチェックを誤魔化すより訓練した方が楽じゃない?」

「はい!その通りです!」


だがシヅは小狡いだけあってポイントは押さえているので模擬戦なんかも成績は悪くない。

それがまたイイヒートを困らせていた。


イイヒートはその事なんかも説明するとミチトは頭を抱えてしまう。

正直ミチトは小狡い相手の対処が苦手で、思い切り叱りつけるにしてもシヅの懐き方と出している結果なんかからすると言いにくかったりする。だらけるのは悪いがシヅの距離感はシヤには真似できない。第三騎士団には必要な存在になっていた。


だがここで真価を発揮したのはラミィだ。

若干10歳の少女が「あり得ませんわ!」と怒り出して「情けない!貴い心は無いの?」と続けた後はオオキーニから来たシヅのお気に入りのオーバイの所に行って「やめてください!オーバイお姉様があんな貴い心も無い男性とお付き合いなんてあり得ませんわ!」と言う。


困惑気味に「そうかな…」と言うオーバイに「そうですわ!じゃあ真面目に走り込みをしていたシヤお兄様と比べたらどっちがいいですか?シーシーお姉様が羨ましくないですか?」と追い討ちをかけるとオーバイはシヤを見て視線をシヅに戻してから「確かにそうかも」と言い出す。

流石のシヅもこれには冷静では居られずに「心を入れ替えるので勘弁してください」と謝っていた。


訓練が始まるとイイヒートはパテラに頭を下げて久しぶりにシゴいてくれと頼む。

ナハトは個別でスカロに剣の使い方を教わる。

シヤ達はノルア主導のサルバン式訓練でメロは今回もミチトに模擬戦を頼む。


メロはまた速く鋭くなるがミチトにはまだ届かない。

今回のミチトは回避せずにメロの攻撃の全てに術で対抗をして十六連斬に対しても同じ数を撃って相殺した。

流石のメロも30分で音を上げるがナハトからすれば信じられないモノを見た気分だった。


「パパ…ありがとう。疲れちゃったよぉ」

「あはは、お疲れ様。スカイタワーのオーバーフローなら単騎攻略できるんじゃない?」


「そうかなぁ…むぅ…パパに追いつけないから強くなった実感がわかないんだよ」

「メロ、ママが付き合ってあげるからやりましょう」


アクィがメロを誘ったところでラミィとトゥモが来てミチトに訓練をせがむがフユィは来ない。

本音は来たいのに遠慮をしている。


ここでメロがミチトとシヤを呼んでお願いをする。

メロのお願いでラミィとトゥモは術ありでシヤと訓練になり、シヤも本気でかからないと2人には負けてしまうと気合を入れるし、ラミィとトゥモも本気で挑める術人間は貴重な訓練相手なので張り切る。


そしてミチトには「パパ、フユィは真式でない事を気にしてるんだよ」と言うとミチトは「なんだ。フユィ、おいで」と言ってフユィを抱っこして「何が気になるんだい?」と聞く。

フユィは「ラミィとトゥモはパパやママの術がわかるし使えるけど、フユィは出来ないの…」と言って泣き出す。


「バカだなぁ、そんなに思い詰めないでいいよ。走り込みはやってるだろ?」

この質問に泣いて答えないフユィの代わりにメロが「パパ、フユィは速いんだよ」と教える。

ミチトが「お、そうなんだ。凄いね」と言うとフユィは泣き止んでミチトの顔を見る。


「イブと二刀剣術の訓練は?」

「教えてもらったよ」


モジモジとするフユィにメロが「ほら、言いなよ。フユィはタシアには勝てないけどシアやジェードみたいに撃てるし、シアよりもバリエーション豊かだよね?」と聞くとフユィは「恥ずかしいもん」と言って更にモジモジとする。


「へえ、パパに見せてくれるかな?」

「いいの?」


「ああ、見せて」

フユィは剣を持つとイブの二刀剣術、ライブの二刀剣術、アクィの二刀剣術、そしてミチトが昔メロに教えた二刀剣術を放つ。

そもそも起点はイブの二刀剣術だったがライブはナイフ用に動きを変えて、アクィはレイピア用に動きを変えていた。

フユィはその全てを放つ。

それはまだ八連斬だったがかなりの出来だったし同じ頃のメロは八が撃てずに困っていた。


「おお。メロ式だけじゃなくてイブ式にライブ式、アクィ式までやれるんだね!」

「うん!」


「じゃあフユィには特別な訓練をしてあげる。昔のメロにはやってあげなかった奴だからメロにヤキモチ妬かれるかな?」

この発言の瞬間にメロが「パパ…ズルい」と言っていじけた顔をする。


ミチトが困り笑顔で「ほら、やる前から言われちゃったよ」と言うとフユィは「ごめんなさいメロお姉様」と謝り、メロが慌てて「ううん!フユィは悪くないよ」と言う。

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