第7話 破壊神デビュー?
何だかよく分からないまま、僕達は地球侵攻を企てていた宇宙帝国を滅亡させてしまった。
再生の神様か何か分からない存在が、世界を救うか問いかけてきているけれど、果たしてどうすればいいものだろうか。
「そういえば、私、さっき変な声を聴きました」
と、魔央。
変な声? ダーク・ベーカリーの一味の声のこと?
「そうではなくて、好感度が3200を超えたから新しい特技を得たとかどうとか」
新しい特技? えっ、特技って何なの?
「えーっと、セパレート・デストラクションってありますね。本世界と分離している異世界のみを破壊することができる、ってあります」
何だって!? 異世界だけ破壊する?
ということは、この場合、宇宙帝国のある世界あるいは銀河のみを魔央は破壊したということなのか?
それなら、宇宙帝国を見捨てても、こちらの世界には影響を受けないのかな。
『宇宙帝国を救いますか?』
『はい ▶いいえ』
し、しかし。
これでいいのだろうか?
ダーク・ベーカリーは確かに酷い奴だったが、宇宙帝国にも普通の人達がいるかもしれない。それだけではなく、生き残った者達が復讐のために僕達を狙ってくるなんていうことがないだろうか?
というよりも、これ、滅ぼした魔央より、最終的に助けなかった僕の方が責任が大きくなりそうな気がして、何だか納得がいかないんだけれど。
『制限時間はあと30秒です。早く選択してください。早く選択してください』
うわ、再生の神? が痺れを切らし始めたぞ。
ううう、仕方がない。こちらのストックは一回しかないから、無駄に使いたくない。
そもそも、銀河帝国が滅亡させられるようなことをするから悪いんだ。皆、安らかに眠ってくれ。
『はい ▶いいえ』
いいえ、だ!
『そんな、ひどい……』
知るか!
『もう一度聞きます。宇宙帝国を救いますか?』
『はい ▶いいえ』
これ、もしかして、救う以外の選択肢選ぶと無限ループになるの?
その場合は仕方ないか。とりあえずもう一回だけ『いいえ』を選択する。
『……銀河帝国は完全に滅亡しました』
終わったらしい。
何だかどっと疲れてきた。
こちらの世界への影響は、ないようだ。
しかし、魔央の特技というのは一体何なんだ?
「分かりません。800の時と、さっき3200を超えたということで説明がありました」
「どういうことなんだ、武羅夫?」
正直、意味が分からないから聞いてみるしかない。
「俺も分からん。ただ、おまえの好感度が増えると、救える回数が増えるわけだから、魔央ちゃんの好感度があがることで特技が増えるということなのかもしれない」
ふうむ、なるほどね。
確かに最初の首相の説明だと、僕の好感度だけが問題だったけれど、一応カップルなわけだし、魔央の好感度も意味があるということか。
「ちなみに800の時は何なの?」
「ディレイ・デストラクションと言いまして、滅亡の効果を三日遅らせることができるという説明がありました」
滅亡の効果が三日遅れる?
何だ、それは? 意味があるのか?
「……つまり、救う回数ゼロの状態でやってしまっても、三日間の猶予があるということじゃないか? その間にラブラブ度を増やして後から救うことも可能であると」
なるほど……。〇になっても僅かながらチャンスはあるわけね。
「まあ、その場合はアレだな。ラブホテルに放り込んで世界中が凝視することになるだろうな」
ゾッとなってしまった。「あと何時間以内に好感度を幾ら上げろ」とかそういう強迫観念の中で缶詰状態……
嫌だー!
そんな、パンダみたいな扱いは絶対に嫌だー!
と、武羅夫の電話が鳴った。
「……NASAの連中が、宇宙からの反応が消えたと慌てているようだ。地球のどこかに潜入されてしまったのではないかと。うん? ノー、ノー。アイ、キャント、スピーク、イングリッシュ。ソーリー、ソーリー」
何だ? 電話口にNASAの担当者が出てきたのか? 武羅夫が露骨に慌てて下手な英語を口にしている。
「代わりなさい」
川神先輩が電話をひったくって、英語で説明を始めている。一部のせいでダメ人間だけどそれ以外は本当に高スペックなんだよな。何となくでしか理解できないけど、大体、僕達の話していたことを理解しているようだ。
【ええ、宇宙帝国は彼らが滅ぼしたわ。この世界への影響はゼロみたい。は? 滅ぼしたってどういうことかって? そんなことはオタクのジョー(ジェイデン大統領)にでも聞きなさい。ミスター・ユウ・トキカタが銀河帝国を滅ぼしましたと言っていますが本当ですかってね】
何か物騒なことを言っているような気がするぞ。
【知らないわよ。あんた達の国の情報の周知状況までフォローしきれないわ。疑問があるならジョーに聞きなさい。だからジョーに聞けっての】
ジョー、ジョーって人の国の大統領を犬みたいに……
しかし、救うだけかと思いきや、まさか滅亡の選択までしなければならないとは……。
封印の刻印、重すぎるよ。
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