fileⅠ赤い悪魔《レッドフード》⑤
「こっち側に引っ張り出すってどうやって……?」
「簡単な事よ。釣り餌は既に蒔いておいた。後は釣り上げるだけ。」
「釣り餌?」
「………私がこういう時のための切り札を用意していないと思って?念のためアレに魔術をぶつけた時に、魔力の粉末を付けておいたの。それでさっき掛けた
────あとは、解るわね?」
「魔力の粒をたっぷり付けられたレッドフードがさっきの魔術に引き寄せられるってことか!!」
「そういうコト!さあお出ましですわ!今回の事件の『実行犯』!!紅き呪いのレッドフードが!!!」
『A゛aaaaaaaaaaaaaa!!!?』
ヴィヴィアスが高らかに宣言すると、巨大な人形と蜘蛛が合わさったような、あの時の怪物レッドフードが猛々しい悲鳴を上げながら、魔法陣に引き寄せられるように勢いよく滑り落ちて土煙を上げる。
「そ、空から降ってきた!?」
「監視代わりに利用して、呪いによる空襲でもさせようとしたのかしらね。それにしても………」
『赤ハ灯は
「だめね、完全にジャンクが無理やり動かされてる感じ。美しさの欠片もないわ。……有栖くん。ここは私に任せて、貴方は計画犯を。」
「えっ…?でも、俺一人じゃあ魔術師には太刀打ちできないだろ!?」
「大丈夫よ、貴方なら。」
「……?」
「とにかくさっさとお行きなさい!」
「あ、ああ!じゃあここは任せた!!!」
俺は痕跡を追ってこの場を去る。
「ええ、大丈夫よ。貴方は死なない。……それにしても見下げ果てたものね。噂以上になろうとした貴女が噂以下のただの怪物に成り果てるなんて。」
「───いいわ、赤頭巾さん。二人きりでワルツを踊りましょう?」
『U゛uuuu………Aaaaa!!!』
怪物を見上げた魔術師は、ニヤリと笑って手に持つ薔薇を騎士の剣に見立てて突き出した。
ヴィヴィアスの魔術のお陰で俺の目にも見えるようになった魔力の粒を辿って走っていくと、俺はとある場所にたどり着く。
だが、その場所がどこか、それを確定させる情報だけでも俺を驚愕させるのに十分過ぎた。
「………なんで、なんで病院にたどり着くんだよ!!?」
目の前に見えたのはなんと、千葉がレッドフードのせいで入院して、さらに愛知が千葉の見舞いのためにまだ残っているはずの病院だったのだ。
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