第13話 個人戦三回戦開幕

 あの、なんであなたなんでしょうか?

 この前パーフェイトの店に行くときにぶつかったあの人だよね⁉

 まさかの?


「わー!!!!ほんとにもう一回会えるなんて運命だよね⁉」と当の本人もワクワクしているらしい。

 そんなことしないで欲しいのだが……。変に目立っちゃっているから。周りからの視線が地味に痛いから。

 私は戦う前ながら気が重いのだ。

 だって、いま目の前で滅茶苦茶再会を喜んでいる無邪気っぽいのが、ダイアナ・ウェルスー【五芒星ペンタグラム】の中で一番強いかもしれない少女、だよね?

 間違えてないよね?合っているよね?

 あの四人が近くにいるから、間違っていないんだろうけど、この子武器もってないね........。

 どうやって戦うんだろうね?

 もう知ってるんでしょって?

 うん、知ってるよ。彼女は精霊術師、らしい。

 どんな精霊と契約しているのかまでは知らないけれど........。

 っていうのも、他のメンバーが教えてくれたから。


『そうだ。一つ、嬢ちゃんにアドバイスしてやる。ダイアナは精霊使いだ。だから、嬢ちゃんが今まで相手にしてきた奴らよりは、格段に強いぞ。』

『うん、確かに!!!ミクちゃんここで脱落かな?』

 それ笑って言う内容じゃないから。とは思ったけど、なんでダイアナが滅茶苦茶人気ー期待されているのか周りの人たちの会話をしっかり聞いていると自然と分かった。

 彼女は近所のギルドに所属しているらしいんだけど、そこのギルドで時々行われる、バトルロワイヤルで入会以来ずっと一位なんだって。つまり今まで負けなしと。

 そりゃあ、ボット出で、初心者に毛が生えたくらいのひよっこ魔法師には見向きもされんわけだよね。

 裏で行われているらしい賭け事では、掛け金はあっちの方が多いし、オッズも高いらしい。(さっき、ゴエが教えてくれた。)


 ということは?

 ここで私が番狂わせしちゃえば楽しいことが起こるよねぇ。

 あぁ、なんか滅茶苦茶ワクワクしてきた!!!

 どうやってダイアナを倒そうかぁ。

 私意外と性格悪な方なので、ルンルンしていることに突っ込みは無しでお願いします。


 精霊術師だから、精霊で攻撃させつつ自分自身でも攻撃できるってことだよね?

 うーん、便利だけど。負かしたい側としたら面倒だよな。

 しかも、彼女が使役している精霊がなんなのかまだ分からないからな。

 いつもは、その人の得意攻撃とか見ただけで分かるんだけどなぁ?

 戦う・戦わない関係なしでよ?

 なのになぁ……。

 あー、そういや。ダイアナ以外にも、エプソン、ランスロットさん、リョウさんは分からなかったし。

 他の人と、この四人の差は何なんだ?うーん、分からないけど。


 兎にも角にも、ドタバタで始まった個人戦第三回戦で皆をあっと言わせんとする大番狂わせをご覧に入れて差し上げましょう!!!


 -----------


 等と大見得を張って会場に出てきたまでは良かったわけさ?

 でもさ、よーくよく考えてみれば、私何の策も考えずに出てきちゃったね。

 どうしよう。これじゃあ、あっさり負けちゃうね。

 うーん。


『ニャア!!!』


 えっ?今、猫の泣き声がした気がするんだけど?気のせい?

「ちょっと!!!フィル?勝手に出てこないでよー!!!ミクを驚かそうと思ったのに!!!」

 妖精、フィル.......

 まさか、この子の精霊ってフィルギャ?

 うーん、フィルギャって猫の姿だったっけ?知らないけど、なんか有名な死に戻り系のラノベに出てくるヒロインのペットっぽいネコ型精霊の見た目にそっくりですね。


 えっと、たしかフィルギャって……

 何の精霊だっけ?

 あーっと、ワルキューレの元だっけ?武装した少女。人の霊魂が動物の形を取るのが本来の姿......。じゃあ、猫型でもいいのか。

 にしても、武芸関係か。勝ち目ないよ。どうしよう。

 でも、元守護霊でしょ?そんなに強いのかな。


「ミクチャ!!!」ミクチャ?私の事?一応返事しとこ

「はい。何?」タメ語で答えたら、観客がざわめき始めた。

 同い年っぽいし、タメ語で良いじゃん。

「うちのフィルと私とのコンビネーション見ててよね!」そうにこやかに言う。

「分かった。」なんかフツーに真顔になっている気がするな。

「そんで、ミクチャを倒して!決勝に行くぞー♪みんなも応援よろしくね。」

 くるっとまわり、可愛くポーズを決める。そして観客が大いに沸く。

 ここでファンサするな。勝利宣言はまだいいけど。

「はぁ、無駄に観客を沸かせないでくれる?」

「あれ?ミクチャはこういうのキライ?」そのキラキラした視線を向けないで。なんか私が悪者っぽくなるから。

「好きではない。うるさいから。」そういい、持ち場に着く。

「あっ、そうだ。これだけは言わせて。この戦いに勝って決勝に行くのは貴方じゃなくて、この私だから。覚えておいて、ダイアナ・ウェルス。」振り向きざまに軽めに睨む。

 これやってみたかったんだよね。でも勝つ気なのは本当。


 何か知らないけど、この子に勝てるように思えてきたし。

 そういう自信が出た。

 結果はどうなるのか分からないけど。


「本戦、第三回戦。ダイアナ・ウェルスVS.ミク・ニシノ 開始!」

 審判がそう言い、女同士の生き残りをかけた戦いが幕を開けた!!!

(ちょっと言い過ぎかなぁ……)


「まぁ、ともかく!あんたには勝つから!」

「かかってこーい!ミクチャ!!!」

『ニャア!!!』



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自殺した女子高生が転移したら魔力多量の最強魔術師になりました~目立ちたくないので陰ながら悪を倒す~ 紫泉 翠 @sorai_4572_

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