第12話 五芒星

 えー、どうも。前回も厄介な相手と当たりましてギリギリながら勝つことができました。

 なんですけど、隣の会場がどうも賑わっているようなので、少し様子見に行ってまいりたいと思います。


 ということで来ました。隣の第2競技場。今私がいるのは二階の観戦エリア。

 本当に観客の歓声が私のと比べて凄いことになっている。

 それほど期待されている人っていうこと?

 どんな人なんだろ?

 うーん........。

 見たいんだけど、前の人たちがめっちゃ暴れていて、見えないんだけど……。



「ねぇ、ノルウェイ、アーサー、それとステラ。退いてあげて。後ろの少女の邪魔になっているから。」困っていたのを察してくれたのか、私の隣にいた私と同い年、若しくは少し上の少女が言った。

「おう?ああ、ゴメン。お嬢ちゃん」と言って退いたのはエプソンと同じく金髪のおっさんだった……。後ろ姿だと年近いのかと思ったんだけど。まあ、いいかな。


 そういや、私は周りの人たちと比べると背が小さいようでよく年を間違えられる。

 現実ではそこまで背が低かったというわけではなかったんだけどな?

 確かに同い年であるエプソンも、クラスメートの男子や幼馴染だった冬馬とうまよりも高いもんなぁ……。


「えっと、私はお嬢ちゃんというには年と取っていますよ? 一応成人してますので…」

「ハハハ、そうか!それはごめんね!視界を邪魔しちゃったのもね。俺はアーサー・レノエル。アーサーと呼んでくれてもいいよ。」と先ほどの金髪の…闘士ウォーリアかな?の人が答えた。

「相変わらず、豪快な笑い方ね。鼓膜が割れちゃうわ。こんにちは、私はステラ・ド・ノクタール。それでこちらが……」

「ノルウェイ・マリワムドルです。どうぞよろしく、レディ。」

 麗しい緑髪の槍使いランサーの少女ーステラと氷のような透き通った銀髪の持ち主である剣士セイバーのノルウェイに挨拶された。


「どうぞよろしくお願い致します!えっと、私は……」

「ニシノ・ミクでしょ?違う?」とあいさつし返そうとした言葉を受け継いだのは、先ほど三人に声をかけていた少女であった。彼女もそういえば黒髪だ。

 にしても、優しそうな雰囲気なのに私を見ている黄色い双眸だけは有無を言わせぬ無言の圧を与えている。少し……怖い。


「あっ……はいっ……そうですね」と彼女の圧の影響であろうが、声が滅茶苦茶上ずってしまった。

「リョウ!彼女、ミクちゃんが怯えているでしょう?やめてあげて」とステラが宥める。

「あぁ、ごめんなさい。悪気はなかったの許して。」と半べそをかくのは、リョウと呼ばれた少女。彼女は狙撃手スナイパーだろうか?


 っていうか、なんでそんなことわかるの私⁉ おまけを言うと、彼女たちが得意としていると思われる技が映像で思い描かれているという異例っぷりである。


「にしても、何で彼女の名前が分かったんだ、リョウ?」と疑問を呈すのはアーサーだ。

「もしかして、あなた達知らないの?今決勝トーナメントに残っている中で興味の的になっている少女よ?」

「どういうこと?」ととぼけているように見えるのは、ノルウェイ。

「確か、前の戦いで快勝で次にコマを進めたって子だっけ?」と答えたのがステラ。

「そう、決勝トーナメントの中では彼女とダイアナしか女子いないからね。どちらが決勝に行くのかみんな気になっているのよ。」

 ふーん……みんな男子なんだ。ということは……。

「じゃあ。そのダイアナっていう子が、今戦って勝った子なんですか?」と口から思っていたことがそのまま出ていた。

「ええ、そうね。ダイアナ・ウェルスー私たち【五芒星ペンタグラム】の中で一番強いかもしれない少女。そして、次のあなたの対戦相手ね?」となぜか探られるような視線を伴って彼女は言った。


 へぇー……。

 ……えっ!?

 そのペンタグラム?だとかいうグループの中で一番強い?かもしれない少女が、次の私の対戦相手?

 他のメンバー様も今の私からしたら倒せないような人物達なのですが?

 その人達よりも強いってどうゆうことよ?

 これ絶対に次で負ける……。


 次は負け戦をさらすこととなりそうですが、どうぞお願いします。

 もう今回で辞めたい……。

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