第4話 最強魔術師決定戦 開幕

『私って魔力多いんですか?だから、この異世界に呼ばれたのでしょうか?』


 それは知らないけど、そのことが原因で少し面倒なことになってしまった。

 それは何かというと、私が今いる国:エルグランドの魔術師の中で誰が一番強い魔術師なのかを決める催し:最強魔術師決定戦トーナメルトが近頃あるらしく、それに参加しないかというものだった。


 エルグランドは、とある神レベルの最強魔術師が昔あった戦争の時に国を守ってくれたということで、その話にあやかり、その魔術師をたたえるために4年に一度開催されるそうだ。

 地球で言うオリンピックのような行事だ。王族が主催で運営しているようである。決勝は王族の前で行われ、そこに出ると、なしかしかの特権を得ることができるという噂である。

 でも、前の時の直後に当時の王様が若くして亡くなり、子供がいなかったので、彼の弟が後を継ぎ、今回が初なので何が起こるのか分からないのだというのだ。

 なので魔力が多いらしい私を送り込もうというらしい。

 なんで?


「あのー。私、魔力が多いみたいですけど、魔法を使い始めたのは一週間前なので、何戦あるのか知りませんが、多分初戦敗退ですよ。」と言った。

「これは、個人競技もあるけど、団体競技もあるんだ。だから、ミクにはメンバーの一人として参加してほしいってことなんだ。」とこの話を持ち出した張本人のエプソンが何でもないように笑っていった。

「あっ、なるほど…。って、えー⁉私が入っても大丈夫なんですか⁉」つい、声を荒げてしまった。

「うん、ミクは筋がいいから、少し教えれば、すぐ使えるようになるでしょ?だから、試合前にどうするのかを、だいたい決めておけば、3回戦まではいけるんじゃないかな?」

「そんなものなのですか?」

「うん、3回戦までは予選からね!ミクよりも下手な奴がごろごろいるよ!」


 えっ、私よりもひどいの?

 私は火・水・風・土の基本の四属性とあまり使い手がいない光と闇の二つも含めた全属性の初級魔法をようやく昨日、完全に使えるようになったばっかりなのに…

 この国の魔術師どうなってるねん!


「あと、個人戦は団体戦の後に行われるから、興味あったら新たにエントリーしたらいいよ。」

 はぁ、そうですか。

 ............................................


 そんなやり取りから一か月後

 街の中央にある、大きな競技場の前にいた。ここで最強魔術師決定戦トーナメルトが行われるのだそうだ。

 そして、ここに来るまでの一か月間に工房のみんなからのスパルタ特訓を受け、全属性を上級魔法まで一応使えるようになった。

 …なったが、ちゃんと安定して使えるのは中級まで。こんなんで大丈夫かな?ともかく、もう始まっちゃう。気を引き締めていくしかない。


 いざ、最強魔術師決定戦   開幕!

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