同級生の相談事(その6)

「では、玲子さんの頼み事を引き受けるのですね」

可不可は言った。。

「そうは言ってない。とりあえず、やるだけのことはやってみる。君がバディーになってくれればね」

「バディー?」

「相棒のことさ」

「私に、その相棒とやらが務まるものでしょうか?」

「君には感情というものがない。だから、激情に駆られずに曇りのない目で的確に判断できる」

「私も感情がほしいです」

「それはないものねだりだろう」

可不可は首をひねった。

これは、承服しかねるというサインだ。


「ともかくやってみることだ」

「やる前に成算を考えてみてはどうです」

これは、気に障る言いかただ。

「では、可不可は、玲子さんは殺人を目撃したと思うかね?」

「玲子さんの視力はどうです?」

「入学したときは分厚い眼鏡をしていたが、すぐにコンタクトに変えた」

「馬鹿ですか?嘘をつきますか?」

「それは失礼だろう。真面目な優等生で知性は相当高い。嘘はつかない」

「なら、殺人を見たのにまちがいはありません」

「では、どうして死体がない」

「殺人が演技だった可能性があります。それか、死体を隠したか」

「確率は?」

「50対50」

「それ以外の可能性は?」

「ゼロです」

可不可はきっぱりと言った。

「では、警察が事件はないと言ったのはどうだ?」

「いい加減に調べたのでしょう」

「おいおい、警察の悪口はいかんよ。では、三日前に引っ越したというのは?」

「本人でなくとも、代理人でも引っ越しはできます。あるいは犯人でも」

「その確率は?」

「100%」

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