4話

 笹栗の言葉に三笠は一瞬理解できなかったが、詳しく説明してもらって納得することができた。

 現状、各艦隊が個々の判断で対空戦闘を行っている状態である。それを纏めなければ効果的な対空戦闘にならない。

 だが、それをすべき本部は奇襲によって機能不全に陥っている。

 ならばどうすべきか?

 幸いなことに笹栗の旗下には艦嬢達から特別な敬意を払われる三笠がいる。その三笠が艦嬢達の気持ちを纏める。

(しかし、この時代においても総旗艦の真似事をするとはな)

 そう思いながら三笠は日本海軍のオープン回線を開く。

「聞け! 勇壮なる日本艦隊の勇士達よ! 我は戦艦・三笠である!」

 聞こえているかはわからない。だが、三笠は言葉を続ける。

「我々は敵の卑劣なる奇襲によって大きな被害を被った。だが、それが敗北を意味するのか」

 そして三笠は怒気も込めながら叫ぶ。

「否! 断じて否である!」

 叫ぶ叫ぶ。三笠は思いのたけを艦嬢や特装艦に乗り込んでいる乗組員たちに告げる。

「我らは負けぬ! 我ら日本海軍はこの程度で折れるものかよ!」

 そして三笠は呵々大笑する。

「勇士達よ勇め! 真の『もののふ』になる時は今ぞ!」

 そして三笠は信号旗を操って一個の信号旗を掲揚する。

 三笠のZ旗である。

「このZ旗をみよ! 三笠はここにいる! 不退転の決意を持って我はここにZ旗を掲げよう!」

 その時、レイン・クロイン艦載機が三笠を爆撃してくる。

 振動する三笠、炎上する艦装。

 だが、三笠は笑った。緋色に染まった瞳を持ちながら不適に笑った。

「沈まぬ! この三笠は決して沈まぬ! さぁ! 行くぞ勇士達よ!」

 そして三笠は高らかに宣言する。

「皇国の興廃この一戦にあり! 各員一層奮励努力せよ!」

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