第14話 Result
「———うん? 待てゼオユーラン、お前レベルは上がったのか?」
治療を終えると、何故か目が光った状態のガルフさんがこちらに来て、そんなことを尋ねてくる。
「そういえば上がってませんね。ドラゴンを倒したのに……」
ドラゴンほどの強敵を倒して、レベルが上がらないはずがないのだが……まさか!
「「まだヤツは生きている!?」」
ガルフさんと言葉が被り、ドラゴンの方を見た時———ヤツは近くの冒険者の頭上に前足を振り上げていた。
「チィッ!」
だが、俺は咄嗟に風魔法を使ってその冒険者を退避させる。
その間にドラゴンとの距離を詰めたガルフが跳び上がり、上段から頭に大剣を振り落とした一撃は見事に不意を突いて、ドラゴンの頭を割った。
すると、レベルが一気に上がるのが感じられた。
今度こそ倒せたみたいだな……
経験値は討伐の貢献度に依存する。
そのため、《成長促進》を持つ俺は勿論、数名の冒険者たちがレベルアップ酔い———数段上へのレベルアップによる感覚のズレ———により気絶してその場に倒れた……
♢
「———うん? どこだ、ここは……」
「おっ、起きたか! 英雄!」
「……何ふざけたこと言ってんだよ、ウォルク」
俺が目を覚ますと、ウォルクとサラが俺の横たわっているベッドの脇にいた。
「……あっ、起きたんだね! ゼオンくん!」
「ああ」
俺と同じく寝ていたが、俺たちの声で目を覚ましたサラが話しかけてくる。
俺が倒れた後のことを尋ねた結果、俺は今ギルドの2階の客室にいて、他のレベルアップ酔いで倒れた冒険者たちはもう起きていることを知った。
「あー、あとな……」
「なんだ?」
「俺とサラさ、ガルフさんに誘われて、『夜明けの君主』に入れてもらえることになったんだ……」
「おー、良かったじゃねーか?」
「あ、別にゼオンを無視したんじゃなくて、ゼオンの方が強いから下には付かせられないってガルフさんが言ってたよ」
「なるほど?」
ガルフさん、俺のこと過大評価しすぎじゃないか?
俺たちが客室から出て、階段を降りていると、一階が喧騒で溢れているのが分かった。
「おおっ、今日の主役が来たぜ!」
「ゼオユーランさん、一緒に飲みましょうぜ!」
「おい、未成年に酒を飲まそうとするなよ!」
一階に降りると、ギルドの中が冒険者たちで埋め尽くされていて、俺に気付いた者が俺に話しかけてきた。
「あなたはAランク冒険者の僕より魔法が上手かったですね……」
「うん? え!? クルトさん、そんなことないですよ!」
「いや、少なくとも、ドラゴン討伐に魔法を一番使いこなせていたのは君だ。だから、君はAランク冒険者になる資格がある!!」
「え、えーと?」
「つまり、クルトはギルドにお前をAランク冒険者に推薦しておいたってことだぜ。勿論、俺もな」
ガルフがゼオンとクルトの話に入ってくる。
二人以上のAランク冒険者が推薦した場合は、試験無しにAランク冒険者になれる。
つまり、俺はもうAランク冒険者ってことか。やったね! レベル的には基準に達していたけど、ドラゴン討伐前は実績が無かったからな……
あ、そういえば、今のレベルを確認して無かったな。
「———ステータス」
~~~~~
ゼオユーラン・ルクーツド(男)
種族 : 人間 称号 : なし
Lv : 56
魔力 : 1320/1320
スキル
剣術(上級)
格闘術(中級)
気配察知(中級)
魔力感知(中級)
魔力操作(上級)
火魔法(中級)
水魔法(初級)
地魔法(中級)
風魔法(上級)
光魔法(超級)
威圧
固有スキル
時空間魔法
成長促進
~~~~~
うおっ、20レベルも上がってる! ドラゴン凄え! この世界でトップクラスのレベルじゃないか? 知らんけど。
光魔法は全力で使う機会が多かったからか、超級になってる。これ俺が女だったら立派な聖女だな……
教会に聖女として担ぎ上げられる際、光魔法が超級って条件があるらしいし……そもそも超級のスキル持ってる人なんてこの世界で数人しかいないらしいし。
「よし、これで全員揃ったな」
ギルドマスターのロッカスが受付の脇から出てきた。
「これから、ドラゴン討伐依頼の報酬を発表する!」
「「「「「オオオーーーッ」」」」」
その言葉を聞き、冒険者たちが色めき立つ。
「まず、討伐の参加者全員に金貨3枚を約束しよう!」
「「「「「おおっ」」」」」
「そして、残念ながら今回の討伐で死亡した者の場合、その遺族には金貨5枚を渡すことにした……」
皆んなが沈痛な表情になる。
「悲しい犠牲だったが、その犠牲者の意志を継ぎ、ドラゴン討伐を成し遂げるのに特に貢献した者に追加で特別報酬を与える! なお、これにはドラゴンの素材分の値段も含んでいる。 クルト、ハンク、グラーンに大金貨2枚、ゼオユーラン、ガルフに大金貨4枚を与える! また、ゼオユーランはAランク冒険者二人の推薦により、Aランク冒険者に昇格とする!」
「あの年齢で!?」
「ゼオユーランさん、凄えー!」
「流石です、ゼオユーランさん!」
もう知っていたが、改めてAランク冒険者になったことを実感する。
「ゼオン、報酬を受け取ったら、俺たちは先に宿に戻ってノーラさんに報告してくるぜ」
「ゼオンくんはゆっくりしてくるといいよっ!」
「お、おう? 分かったよ、ウォルク、サラ」
そう言ってウォルクとサラは足早にギルドを出ていった。
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