第31話 トラウマの鍵

 



 明治先生の中身は、ずるずると這いずり私に近づいてくる。


 徐々に加速しながらどこかへ向かうそれを、私は並走して追いかけた。


 もう保健室の近くにはレプリカの姿は無い。


 ではこの死体は、どこに引き寄せられているのか。


 その答えを終えば、“ホームシック”とやらの本体を探すことができる気がした。


 ああ、イライラする。


 こんなに歯がゆい気持ちになったのは始めてだ。


 手が届かなければ諦めもつくのに、目の前で死なれるとこんなにも気分が悪いものなのか。


 “中身”の心臓が動いていれば、ヒーリングで治せるかもしれない――そんな希望を抱くだけ無駄なぐらい、近くで見たそれは、廊下に擦れたせいでぐちゃぐちゃのゴミになっていた。


 だったら何のために? 島川優也は何を望んでこんなものを引き寄せる?


 わかってる、きっと彼を責めたって意味などないことに。


 それでも考えずにはいられなかったのだ。


 きっとこれは、明治先生の死を直視しないための逃避なのだろう。


 だけど時間の経過は、私からその逃避すら奪う。


 加速する臓物は、ついに私の全力疾走の速度を上回ろうとしていたのだ。


 だからといって、このままむざむざと逃して明治先生の死をまったくの無価値にするわけにはいかない。




「やるしかない……!」




 私はその塊に飛びつくと、うねる腸に指を引っ掛け抱くようにしがみついた。


 強烈な生臭さとまだ少し生ぬるいぬめりとした感触が全身に絡みつく。


 ゾンビで慣れてなかったらすぐにでも嘔吐していただろう。


 こうして私がしがみついても、その塊は速度を落とすことはなく、むしろどんどん加速して軽く浮き上がるほどになっていた。


 一方で私の存在が邪魔ではあるのか、臓物は体を揺らして、私を壁や床に押し付ける。


 ズザザザッ、と高速こすれるたびに焼けるような痛みが走った。




「ぐっ……これぐらいで、振り落とせると思ったら大間違いだ……ッ!」




 繰り返すうちに肉が露出し、削れ、ふくらはぎに至っては骨まで露出している。


 だがこんなもの、あとでまとめて治療すればいいだけだ。


 いくら邪魔しようとも無駄だ。


 私はお前についていく。お前の居場所を探ってみせる。


 どこへゆく。どこでこの生命の成れの果てを食らう。


 これは最後のピースの一つだ。


 お前の正体さえわかれば、このフロアから脱出する方法が見つかる。


 だから無駄じゃない。先生が死んだのは無駄じゃない。


 そう自分に言い聞かせる。


 そうしているうちに、そいつは校舎の玄関付近まで到着し――急に方向を変えた。


 振り下ろされないように腕に力を入れる。


 けど引っかかっていた小腸のほうが限界を迎え、ぶちっと千切れてしまった。




「うわっ!? がっ――背中いったぁ……」




 私の体は宙を舞って、壁に叩きつけられる。


 その間に、玄関に並ぶ靴箱の蓋が開き、明治先生の亡骸を吸い込もうとしていた。




「先生ッ!」




 もちろんそれはもはや先生なんかじゃない。


 反射的にそう呼んでしまっただけだ。


 私は強く地面を蹴って靴箱に急接近する、そして全てを呑み込もうとする中身に腕を突っ込んだ。


 明らかに深い。


 普通は肘まで入るはずなんかない。


 さらに肩まで突っ込むと、指先が布のようなものに触れた。


 掴むと、それが誰かの腕であることがわかる。




「このまま引きずり出してやるッ!」




 しかし、私が手に力を入れた次の瞬間、靴箱内部の上下から突如として鋭い牙が生え、腕を噛みちぎった。




「くぅぅっ……くそっ、あとちょっとだったのに!」




 牙は睨みつけているうちに消え、そして靴箱自体も正常な状態に戻ってしまう。


 私はヒーリングで腕と傷をまるごと回復する。


 ダメージを受けすぎたからか全回復とはいかないけど、動くのに問題は無い。


 ああもうっ、冷や汗で制服が張り付いて気持ち悪い!


 それから私は、先生の亡骸が吸い込まれた場所を蹴ったり、ドリーマーで斬りつけたりしたけれど、傷一つ付けることはできなかった。


 見た目は普通だけど、明らかにこれは普通の物体じゃない。




「どうせ一人で入ったって倒せるかわかんない……か。一旦戻ってみんなを呼ばないと」




 まあ、これではわかった。


 確証と呼ぶには弱いけど、全てが繋がっているのなら2階への道も開ける。


 そう伝えれば――少しは令愛たちの悲しみも晴れるだろうか。




 ◇◇◇




 保健室に戻った私を待っていたのは、予想通りの凍りついた空気だった。


 部屋には少女の嗚咽が響く。


 令愛と牛沢さんは、比較的平然としているギィにしがみつき、涙を流していた。


 しかし令愛は扉を開く音を聞くなり顔をあげ、私に駆け寄ってくる。




「依里花あぁあああっ!」




 胸に飛び込む彼女を私は抱きしめた。


 血で汚れていることなど気にする余地もなかった。




「う、うぅうっ、先生が……明治先生があぁっ……!」




 彼女の背中をぽんぽんとさする。


 視界の端に、膝を抱えてうつむく巳剣さんと、壁にもたれて床を見つめる島川くんの姿が映った。


 また、床の一部に血が飛び散っていること、そしてギィの手が赤く汚れていることにも気づく。


 しかしどこにも明治先生の死体は無い。


 閉じられたカーテン――その中にあるベッド、亡骸はそこに寝かせてあるのだろうか。


 いや、今はそれどころじゃない。


 まずは令愛の心を癒やすのが最優先だ。




「守りきれなかった、ごめん」


「依里花のせいじゃないよぉ……ないの……でも、でもぉ……っ」




 目を赤く腫らした泣き顔が、私を見つめる。


 責めるわけじゃない。


 ただ、このあまりに理不尽な死の怒りをどこにぶつければいいのかわからない――そんな目をしていた。


 現状、私にできることはそう多くない。


 少しでも令愛の傷が癒えるよう、苦しみを肯定して、受け止め、優しく抱きしめるだけだ。




 ◇◇◇




 それからしばらくして――ようやく令愛の気持ちが落ち着きはじめる。


 といっても、比較的落ち着いたというだけで、まだ心は嘆きの渦の中にあったが。




「っく……うぅ……ごめんね。依里花は……先生のために、戦ってきた、のに……っ」


「……気休めになるかはわからないけど、ここから脱出する手がかりは掴んできたよ」




「え……?」と驚いた様子で目を見開く令愛。


 巳剣さんや牛沢さんも顔をあげ、島川くんもこちらに視線を向けた。




「間違いなく逃げられるんか?」


「100%とは言えない。けど、二階への階段を塞いでいるのが化物になった島川優也なら、その当人を倒せば一階からは脱出できる可能性はある」


「その言い方やと、あの肉の塊はほんまに兄貴やったんか」


「本体から生み出された複製品だったけどね」




 明治先生だけを執拗に狙ったのも、ひょっとすると偶然ではなかったのかもしれない。


 憎しむ対象を殺し尽くした彼の中に残るのは、両親を失った寂しさ。


 それを埋めるために、悪気なく見知った人間を引き寄せた――と考えれば筋は通る。




「グゥ……じゃあ本体はどこにいる?」




 戻ってきてはじめて口を開いたギィだけど、私が思っていたよりその声色は暗かった。


 明治先生との付き合いはあまり長くないと思うけど、彼女にも思うところがあるのだろうか。




「玄関。私と令愛が迷い込んだ赤い廊下――その出口とは逆方向にいるんじゃないかって予想してる」




 この校舎に閉じ込められてから数日が経つけれど、あんな異空間に迷い込んだのは“最初”と“さっき”だけだ。


 ホームシックと名付けられた化物――その能力の一つに、異空間の生成があるのかもしれない。




「でも依里花、逆方向に行ったら化物の大群に襲われるんじゃない?」


「化物が、どうしてあそこまで必死に私たちを追い出そうとしたのか――それがこのフロアの主を守るためだとしたら、納得いかない?」


「確かに……でもどうやってあそこに入るの? あのときは、急に化物に襲われて、わけがわかんないうちに飛ばされたけど」


「夕方を思わせる赤い廊下。寄ってたかって暴力を振るう化物たち。そして彼らから逃げた先にあるのは保健室」


「会衣……それを聞いて、七瀬さんの話を思い出した」


「兄貴のトラウマを反映しとるっちゅうことか」




 島川くんの言う通り。


 そう考えると、何がトリガーになって私と令愛が島川優也の領域に引きずり込まれたのかも想像がつく。




「あ――もしかして、あの場所に入れたのってあたしが叫んだから?」




 私はうなずく。


 七瀬さんの助けを求める叫び声。


 おそらくそれが、脳にこびりついて離れないのだろう。


 トラウマの喚起がトリガーとなって、私たちは彼の領域に呼び込まれる。




「ギィ! 入る方法もわかってるなら、あとは倒すだけ!」


「そうだね、すぐにでも真恋と日屋見さんを呼ぼうと思う。それとあと二人、パーティに入れて連れていきたいんだけど」




 パーティに入れられるメンバーの数は、レベル10につき一人ずつ増える。


 現在の私のレベルは41なので四人まで連れていけるというわけだ。


 ギィと令愛は固定として、残る二人を島川くん、牛沢さん、巳剣さんの中から選ぶ必要がある。




「兄貴のとこに行くんやろ、俺が行かへん理由は無い」


「わかった、まずは島川くんが一人目。あとは――」




 牛沢さんと巳剣さんに視線を向ける。


 二人とも明治先生の死のショックもあって、とてもではないが戦える表情には見えない。


 いや、それに関しては令愛や島川くんも同じなのだが、令愛は私の力になりたいと望んでいてくれるし、島川くんにも従兄弟に会いたいという強い理由がある。


 その点、牛沢さんと巳剣さんには、このフロアで積極的に戦う理由が無いのだ。


 仮にここで勇んで『戦える』と強がってみたところで、実際にゾンビを切り刻む姿を見て身動きが取れなければ何の意味もない。


 経験値が分散することを考えると、むしろ足手まといになるだけだ。




「戦うのが無理なら、二人はここに残っててもいいよ。あの肉塊のこともあるし、一人よりは二人のほうが安心だと思うからね」


「会衣は……頑張れば、戦うことぐらいは……」


「明治先生みたいな死に方をする可能性だってあるんでしょう?」


「パーティに入れば、死んで生き返らせることはできる。と言っても、MP消費が激しいから死体のまましばらく放置される可能性もあるけどね」


「死体のまま……会衣は、会衣は……っ」




 牛沢さんは体をガタガタと震わせ恐怖した。


 彼女の脳裏には、明治先生の死に際の姿が焼き付いているに違いない。




「牛沢さん、倉金さんもああ言ってるんだし、無理してついていく必要はないわ。私たちのどちらかだけパーティに入れてもらって、ここに残りましょう。それでいいのよね」


「もちろん」




 下手にいい人ぶらずに、そういうことをはっきり言ってくれるのは巳剣さんの美点だと思う。


 その後、二人に軽く話し合ってもらい、ひとまずは友人に会いたがっている牛沢さんをパーティに入れ、ここに残ってもらうことにした。


 ついでに島川くんもパーティに入れておく。


 彼は急に軽くなった体と、突如として手元に現れた槍に驚いていた。




「これが俺の武器っちゅうわけか。槍なんて使ったことあらへんのにな」


「でも手に馴染むでしょ?」


「ああ、不思議なもんや。俺はこれで……兄貴のことを殺すかもしれへんのやな」


「それは、島川優也はもう死んでるって受け入れたときだと思うよ」


「……せやな。完全に化物になった姿を見れば諦めも付くやろ」




 彼が真っ先に手をあげたのは、自らを諦めさせるためでもあるのかもしれない。


 すでに壁にへばりついた、死体よりもひどい姿を見ているのだ。


 しかも島川優也は明治先生の命まで奪っている。


 生存を諦めるだけの材料は十分に揃っているはずである。




「あたし……ちゃんと戦えるかな」




 令愛は胸に手を当て、緊張した面持ちで不安を口にする。




「無理して前に出る必要はないよ」


「でも、せっかく一緒に行くなら依里花の役に立ちたい……!」


「気持ちはうれしい。けど最初のうちはレベルも低い状態だから、しばらくは後ろで見ててもらうことになると思う。もちろんギィと島川くんもね。私と真恋と日屋見さんが戦ってるうちにレベルが上がって、自分たちも戦えるって自信が付いたら参加して」


「う、うん……できるだけ早く自信付けるねっ」


「ふふっ、慌てないでいいよ」


「レアが無茶しないよう、アタシが見ておく。エリカは存分に暴れる!」


「ありがと、ギィ。頼りになるね」




 ギィの頭をぽんぽんと撫でると、彼女は笑いながら気持ちよさそうに目を細めた。


 人間の魂とか食べてたおかげか、グロテスクな光景にも耐性がありそうだし、はっきり言ってギィの存在はかなり頼もしい。


 すでに真恋には呼び出しの連絡をしている。


 細かい説明までは終わっていないが、明治先生の死も含めて、それは合流してからでいいだろう。


 廊下に出て様子を見てみたが、なぜか今日は化物の数が少ない。


 途中にグールマザーやスケルトン系の化物の姿は見えるのだが、あの二人なら問題なく倒して保健室にたどり着くはずだ。


 都合がいい――というよりは、不気味さを感じる。


 このタイミングで敵の数が減る理由は、一つぐらいしか思いつかない。


 だが不安を抱いていても仕方ない。


 フロアの主を倒す以外に道は無いのだから、大量に化物が現れたのなら、それをすべて倒す他無いのだ。




 廊下の偵察を終え、部屋に戻ってきた私は、その足で閉じられたカーテンの前に向かった。


 近くに立つだけで、濃い血の匂いが漂ってくる。


 その様子を見た令愛が「あ……」と小さく声をあげた。


 別に後回しにしていたわけじゃない。


 ただ、触れられる空気感じゃなかっただけだ。


 死体を帳の向こうに寝かせることで、みんなの心はギリギリで平静を保っている――そんな張り詰めた状況だったから。


 けど今なら行ける。


 できるだけカーテンを開かぬよう、私は体を滑り込ませるように中に入った。


 ベッドの上には、それが人の死体とは思えないような、無惨な姿になった明治先生が置かれていた。


 近い例えは、屠殺された後の牛だろうか。


 顔面は左右に割れ、肋骨も開き、綺麗に脳や眼球、内臓だけが取り除かれている。


 太ももから下だけが綺麗に残されているのが、余計に“人間”を感じさせて気持ち悪かった。


 心の準備が出来ていた私ですら気分が悪くなるのだ、それをリアルタイムで目撃した令愛たちは、どれほどショックだったことか。


 私はしゃがみこむと、頭らしき部分に顔を近づけ、声をかけた。




「どうして先生みたいな良い人に限って背負っちゃうんだろうね。悪い連中は罪悪感なんて微塵も感じてないのに」




 明治先生は、自分が島川優也を引き寄せたと言っていた。


 確かに、二度も続けて明治先生だけが狙われるのは不自然だ。


 けどあれは先生の願望だったに違いない。


 養護教諭という特殊な立場だったからか、戒世教とは関係ない人間が、この学校に入ってしまった――それが全ての不幸の始まりだったのだ。




「この学校にいるそういうやつらは、私ができるだけ殺すから。先生はいい人だからそれで喜ぶかはわかんないけど、ちょっとは笑ってくれると嬉しいな」




 喋りながら、こんなの自分らしくないと思う。


 ただ、ほんの数日の付き合いだったとしても、感傷的にならずにはいられなかった。


 立ち上がって振り返ると、カーテンの隙間からギィがこちらを観察している。




「覗き見は趣味が悪いよ、ギィ」


「……グゥ」




 悪いことだとわかっていたのか、反省したっぽい返事をするギィ。


 さらに彼女は、私に問いかけた。




「エリカは明治先生のこと好きだった?」


「ん? わかんないかな。好きってはっきり言えるほどの関係でもないし……いい人だとは思うけどね」


「死んで悲しい?」


「……うん、悲しい」


「そっか、ならいい」


「ギィはどう感じたの? 先生とそんなに付き合いなかったと思うけど」




 ギィは少し考え込んで、こう答えた。




「すごく悲しい」




 それは意外な答えだった。


 人間の生き死になんて興味が無さそうなのに。




「アタシではないアタシが、すごく悲しいって言ってる」


「何それ」


「わからない。たぶんアタシはアタシになる前、明治先生のことが好きだった」


「……そっか」




 よくわからない。


 ただ、ギィが先生に何らかの特別な感情を抱いているのは事実のようだ。


 犬塚さんの感情? いや、彼女が先生と親しいはずがない。


 だったら誰がそう思っているんだろう。


 まだまだ、ギィは謎が多い存在だ。




 ◇◇◇




 それから一時間後、私たちは校舎の玄関にいた。


 保健室に残った牛沢さんと巳剣さんを除いた全員がここに揃っている。




「不気味なほどに平和だな」




 靴箱の様子を観察しながら、真恋が言った。




「まさかここまで化物と遭遇しないとはねえ。ひょっとして、あちらも私たちが攻め込んでくることに気づいたのかな?」




 日屋見さんが不吉なことを言う。


 けど残念なことに、私も同意見だった。




「相手も決戦のつもりならちょうどいいよ。力ずくで蹴散らしてやろう」


「私も同意見だな。余計なことを考えるより、無心で戦うほうが性に合っている」




 日屋見さんはともかく、真恋と考えが一致するのはやっぱ嫌だ。


 戦意をみなぎらせる真恋と日屋見さんとは対象的に、令愛と島川くんは緊張からかガチガチに体をこわばらせていた。




「つ、ついに始まるんだね……」


「どないな結末になっても俺は後悔せえへん。とにかく兄貴に会うんや……!」


「気合を入れるのはいいけど、前のめりにならないようにね。最初はとにかく私たちが戦ってるのを見てるだけでいいから」




 そう言うと、令愛は「うんっ!」と力強くうなずいた。


 不安だ……でもギィが二人を落ち着かせてくれるだろう。




「じゃあ行くよ」




 言い出しっぺは私。


 だから、叫ぶ役も私である。


 できるだけ島川優也のトラウマを刺激できるよう、“慣れた”声で叫ぶ――




「きゃあぁぁあああああああッ!」




 私の甲高い声が廊下に響き渡る。


 するとガシャンッ、と靴箱の蓋が一斉に開いた。


 そしてバタバタと開閉を繰り返し、そこからウォォォォン! というサイレンじみた音を鳴らす。


 ライトの明滅。


 赤く染まる廊下。


 そして遠くから近づいてくる地鳴り。




「始まったようだな」


「みんな、行こうッ!」




 私たちは廊下に向かって駆け出す。


 視線の先には、廊下を埋め尽くす魑魅魍魎の群れが見えた。



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