第20話 悲劇と喜劇の境界線
私は犬塚さんを連れて、保健室に戻ってくる。
彼女は体が綺麗になった途端に強気になって私に指図してきたけど、帰り道で急にケルベロスが現れたときは悲鳴を上げて泣き出して面白かった。
そういえばいつも近くにいた取り巻きの姿が見えないけど、もしかして死んじゃったのかな。
三人組だと相手が面倒だったから、一人で良かった。
部屋に入ると、さっそく令愛がお迎えしてくれた。
そして島川くんや牛沢さんが新たな生存者に喜ぶ。
しかし巳剣さんだけは驚いた様子で犬塚さんを見たあと、不安そうに私に視線を向けた。
微笑み返すと、巳剣さんは気まずそうに目をそらした。
「犬塚さん、よろしくねっ」
令愛が人懐こく犬塚さんに声をかける。
しかし彼女は「ふん」と不機嫌そうににらみつけると、
「疲れた。あのベッド使うわよ、あと食べ物用意してよ倉金」
ベッド周辺にいた牛沢さんを高圧的に追い払い、偉そうにベッドに腰掛ける。
すると、そんな犬塚さんに島川くんが近づいた。
「あら、あなたが取ってきてくれるの? 気が利くわね」
「ここには先輩も後輩もあらへん。自分で取ってきいや」
「はぁ? そんなこと言うために私の前に来たの? 面倒くさ……おい倉金、早くもってこいっつってんだろ!」
保健室に犬塚さんの声が響き渡る。
他の人が黙り込んでしまったので、余計に大きく聞こえた。
私は無視して、洗面台で魔法を使って手を洗う。
「無視すんなよ倉金ッ! チッ、調子に乗って……もう巳剣でいいや、パン持ってきてよ」
「……」
巳剣さんは目を背け、何も言わなかった。
クラスにおけるカーストとしては、犬塚さんの方が上だ。
私が知らないだけで、普段からああいう扱いを受けていたんだろう。
「巳剣ぃ、あんたまで無視するわけ? いつからそこまで偉くなったのよ!」
「もうやめてよっ!」
巳剣さんに詰め寄ろうとする犬塚さんの前に、令愛が立ちはだかる。
「誰あんた」
「人がいっぱい死んでるんだよ? みんなで協力しないと!」
「は? うざ。優等生気取りとか面倒くさいんですけど」
「依里花に助けてもらったんでしょ? なんでそんな態度取れるの!」
「あいつが私のこと助けるのとか当然じゃない? つか今の今まで何してたわけ? 他の人間が死んでるのに、何であいつは先に死んでないのよッ!」
「いい加減にしてっ!」
ちょうど手を洗い終えたところで、パチンと乾いた音が響き渡った。
令愛が犬塚さんの頬を叩いている。
びっくりした……まさかそこまでしてくれるなんて。
令愛、本気で怒ってる。
けどそれで黙っている犬塚さんじゃない。
彼女は鬼のような形相になり、手を振り上げた。
「何様のつもりで私に触ってんのよ優等生気取りが――っ!?」
私は速やかに彼女に近づくと、その手首をつかむ。
「調子に乗るのもそこまでだよ犬塚さん」
「倉金えぇぇぇ……! 離しなさいよ、あっちが先に手ぇ出してきたんでしょうが!」
「先に口を出したのは犬塚さんなんだから。大人げないよ、落ち着いて」
「倉金ェッ!」
いくら凄まれても怖くもなんともない。
そもそも、犬塚海珠という人間は、取り巻きがいて始めて強さを発揮できるタイプだ。
集堂くんや浅沼くんと仲良くしていたのは、その力を得るため。
たったひとりじゃ、ただのか弱い女の子。
ほら、ぐいってちょっと手に力を入れただけで、後ろによろめいていく。
「ちょっ、待ちなさいよ……離しなさい! 離せえぇぇっ!」
そのままふらふらと後退して、ごつんと壁に後頭部をぶつける。
「いった……ふざけんなよ倉金っ!」
「でかい声で恫喝してればみんな言うこときくと思った?」
「な……」
「犬塚さんの言う通り、今の私は調子に乗ってる。でもそれに従うしかないんだよ。犬塚さんにはあの化物と戦う力は無いんだから」
「あんた……私を脅すつもりなの?」
「ただの事実が脅しになるぐらい犬塚さんが追い詰められてるってこと」
何も言い返せずに、悔しさにギリ……と歯を鳴らす犬塚さん。
かわいい。
思わず笑っちゃいそう。
そんな私の口の端に出た笑みに気づき、彼女はさらに顔を真っ赤にして激高した。
「ふざけんなぁぁぁああっ!」
でもできるのは、叫ぶことだけ。
小動物の威嚇みたいでプリティだ。
私の手から解放されると、犬塚さんはしばしこちらを睨みつけたあと、大股早足で逃げた。
そしてテーブルに置かれたパンを握りつぶすように取ると、椅子に陣取り乱暴に袋を開ける。
みんなはしばらく黙って彼女を見つめていたけれど、そんな空気を払拭するためか、明治先生が私に話しかけてきた。
「倉金さん、あっちの教室はどうだったのぉ?」
このあたりはさすが先生といったところか。
最初は何を考えてるかわからない人だったけど、最近は割とちゃんとした大人なんだなと思う。
「みんな無事に生きてたよ。体調はあんまり良くなさそうだったけど、こっちと同じ聖域展開で化物に襲われる心配無いみたい」
「合流はしないのかなって、会衣は疑問に思ってるんだけど」
「とりあえず別行動かな。スマホで連絡は取れるみたいだから、それで連携してくつもり」
「連絡取れるんだ……」
「同じ校内にいたらね。あとで令愛の連絡先も教えてよ」
「う、うんっ」
……ん? 何か返事が不穏だったような。
もしかして私に連絡先は教えたくない、とか?
いや、もしかしたら別に不安なことでもあるのかも。
後で相談に乗ろう。そうしよう。
「教室の状況以外に、何か新情報は無いんか? あっちは二人組なんやし、脱出の手がかりとかは掴んでそうなもんやけど」
「ああ、それなんだけど……」
よりによって島川くんに聞かれるなんて。
さて、どう伝えたものかな。
「なんや、浮かへん表情しとるな」
「あっちは二階への階段を見つけてた」
「じゃああたしたち、ここから脱出できるの!?」
「でも簡単に通れるならぁ、とっくにあの二人は逃げてるはずよねぇ」
「壁に塞がれてて、どんな攻撃でも壊れないんだ。強くなれば壊せるのか、特別な手段が必要なのか、とりあえずその方法を探そうってことになってる」
「会衣が思うに、普通の壁は日屋見さんが壊せてたから、そこだけ特別な壁だったのかな」
……まあ、言うしかないか。
島川くんはずっと従兄弟を探してたわけだし、知らないままでいるのも残酷だ。
「特別な壁、ではあったかな……」
「なんやずいぶんもったいぶるやないか」
「人間、だったんだ。人間を開いて、引き伸ばして、壁にしてあった」
「そんなことって……」
令愛の声が震える。
これだけでも十分にショッキングではあるが、ゾンビが徘徊し、死体が埋まるこの校舎では十分ありうることだ。
問題はそこじゃない。
「その人間ってぇ、誰だったのぉ?」
明治先生の問いかけに、胃がきゅっと痛くなる。
私は関係者じゃないのに、何でここまで苦しくなんなきゃいけないんだか。
「島川優也」
そう私が告げると、先生は息を呑み、島川くんは「な……」とわずかに声を発したあと絶句した。
緊張感のある沈黙が満ち、犬塚さんがパンのビニールをくしゃっと握る音だけが聞こえる。
「それって……島川くんの、従兄弟だよね……」
最初に声を発したのは令愛だった。
助かる、ああいう沈黙は苦手だから。
「名札があったから、たぶん間違いないと思う。同じクラスに似た名前の人がいたら、別人の可能性もあるけど」
「そんな人はいないわぁ。あのクラスに、島川は一人だけだものぉ」
明治先生が目を細め、寂しげにそう言うと、島川くんは膝から崩れ落ちた。
「なんでや……なんで兄貴ばっかりそんな目に合わなあかんのや……っ! おかしいやろそんなんッ! ただ苦しんでる人を助けただけなのに、両親も死んで、自分もそないな目に合って! なんで神様は兄貴にそんなことするんやあぁぁああっ!」
彼は悲痛な叫びとともに、握りこぶしを何度も床に叩きつける。
明治先生はそんな島川くんに寄り添うと、背中をさすった。
「手がかりは名札だけだったようだけどぉ……それは、優也くんで間違いないのねぇ?」
「一応、写真は取ってきたけど……」
「見せてもらってもいいかしらぁ」
「本当に見ていいの?」
「見て確かめないと納得できそうにないわぁ」
私はスマホに入った画像データを明治先生に見せた。
彼女はそれを見た途端に強めに目を閉じて、「ああ……」と涙声で嘆く。
「そうね……これは優也くんだわぁ。顔が……顔の一部が、一緒だものねぇ……」
「倉金先輩、俺も……見てええか?」
「島川くんはやめたほうが――」
「俺も納得したいんや! 自分の目で見とかんと、心のどこかで兄貴が生きてるんやないかって、そう思ってまうんや」
明治先生でもああなってしまったのに、島川くんが見て本当に耐えられるのか――その疑問は合ったけれど、スマホを傾け画面を彼に見せる。
すると彼は目を見開き、手を口に当てた。
そしてそのまま手洗い場に駆け込み、嘔吐する。
……ほら、やっぱりこうなった。
私がため息をつくと、たまたま龍岡先輩と目が合う。
気のせいか、彼はずいぶんリラックスしているように見えた。
けど私の視線に気づくと、すぐに険しい表情を作る。
いやなやつ。
心からそう思った。
そのとき、手洗い場に顔を突っ込んだままで、島川くんが私に問いかけた。
「はぁ……はぁ……なあ倉金先輩、それ……治せへんのか? 魔法で、なんとかできへんのか?」
「無理だよ」
試したわけではないけれど、例えばゾンビは腐敗した状態が正常だ。
ゾンビウルフはあの犬のような姿が正しいし、そこに治癒魔法を使ったところで、元の人間に戻るわけじゃない。
だから確実とは言えないけれど、はっきり否定することにした。
下手に希望を抱かせると、島川くんは余計に苦しむだけだから。
「そうか……無理なんかぁ……う、うぅ……兄貴……兄貴いいぃぃ……っ!」
そのまま彼は、嗚咽して涙を流す。
悪人には死よりも辛い目にあってほしいと思う。
けれど世界の摂理はそうはできてなくて、世界の自然な流れに任せれば、いつだって苦しむのは弱い人間だ。
この場所も例に漏れず。
偶然にも私に力が与えられただけで、世界の摂理までが完全に変わったわけではないのだろう。
◇◇◇
重苦しい空気が保健室に流れる。
私は令愛と並んでタオルを敷いた床に座り込むと、何を話すでもなくただ寄り添い合っていた。
あ、でも最初にお礼は言っておいた。
私のために怒ってくれてありがとう、って。
素直にお礼を言うのって恥ずかしいけど、令愛のはにかんだ笑顔が見れたので言ってよかったと思う。
だからこそ、令愛の抱いてる不安ってのが気になるんだけど――そう思っていると、ふいに彼女の視線がこちらを向いた。
私も見つめ返すと、その口が開き――
「あの、依里花さ」
「倉金さん、ちょっといい?」
そして間の悪いことに、巳剣さんも同時に話しかけてきた。
二人は「あ」と気まずそうに顔を見合わせる。
「さ、先にどうぞ巳剣さん。あたしは後でもいいから」
「別にいいわよ、急ぎじゃないもの」
「でもどうせ、私は依里花とずっと一緒にいるから」
話そうと思えばいつでも話せる、そんな惚気にも聞こえないでもない。
令愛は気づいてないけど、私はちょっと恥ずかしかった。
「仲良いのね」
巳剣さんは珍しく柔らかなほほえみを見せると、「じゃあ少し借りていくわ」と私を別の場所へと連れていく。
そこはちょうど、犬塚さんから見えない物陰だった。
「どうしたの巳剣さん。自分から私に話しかけてくるなんて珍しいね」
「あなたが犬塚を連れてきたりするからよ」
先ほどとは打って変わって、真剣な表情で私に向き合う。
ああ、その話か。
確かに事情を知ってる巳剣さんからすると、不思議かもしれない。
「1年E組からの帰り道、たまたま見つけただけ。生きてる人がいたら助けるのは当然でしょ?」
「でも相手はあの犬塚海珠よ? タチの悪さは私なんかとは比べ物にならないわ」
巳剣さん自身にタチが悪い自覚があることに、私は軽く噴き出してしまう。
「何で笑ってるのよ……まさか、ここで犬塚を……」
「大丈夫、私は直に危害を加えたりはしないよ。吉岡さんや浅沼くんだって、ゾンビになったから殺しただけだもん」
「だったらどういうつもりで……」
「犬塚さんが望む限りは、できる限り命を守る。それ以上でもそれ以下でもないかな」
私は一切嘘や誤魔化しをしていない。
これは純粋な本心だった。
「現に私はこうして巳剣さんの命を守ってる。それは巳剣さんが折れて、私に従ってくれたから」
「じゃあ、もし――」
巳剣さんが何かを言いかけたところで、背後からぬっと犬塚さんが現れる。
彼女は巳剣さんの肩にぽんと手を置くと、悪意しか感じられない笑みと共に囁く。
「仲がいいのね」
先ほど聞いたようなセリフだが、そこに込められた意味はまるで違っていた。
「い、犬塚……さん」
巳剣さんは頬を引きつらせながら、犬塚さんとは一切目を合わせようとはしなかった。
「まさかこのゴミ金を人間として扱ってるの? 巳剣さぁん?」
犬塚さんはねっとりと言いながら、巳剣さんの足をぐりぐりと踏みつけた。
「巳剣さん、話は終わったからもういいよ。戻ってて」
「え……あ、わかったわ」
助け舟――のつもりじゃないけど、面倒なことになりそうだったので巳剣さんを帰す。
すると犬塚さんは心底不快そうにこちらを見てきた。
「気遣いなんてゴミに必要ないわ」
「通じる言葉で喋ってほしいな」
「私をコケにするつもり?」
「そっちの言動レベルに合わせて喋ってるだけだよ」
すぐに彼女の顔は真っ赤になった。
自分が煽られる側になると沸点が低い。
ヒステリーで叫ばれても困るので、私はさっさと話題を変えることにした。
「で、何の用事?」
「あんた、その化物と戦う力……スマホが重要なんでしょう?」
「そうだね」
「そのスマホ、私によこしなさいよ。力をもらうわ」
そう言って、一切悪びれることもなく手を差し出す犬塚さん。
その欲望への忠実さは、ゾンビも真っ青になるほどだ。
「嫌だ」
「拒否権があると思ってるの? “嫌”ってことは、力の譲渡自体は可能なんでしょう?」
「たぶんね」
本当にできるかは知らないけど。
「だったら渡すのが筋でしょう。倉金みたいなゴミが持ってるなんて宝の持ち腐れだわ。ただでさえ、この状況で倉金が生き残ってること自体、命の持ち腐れだっていうのに」
「性根が腐ってる人は言うことが違うね」
「倉金ェッ!」
ははっ、それしか言う事ないの?
大声じゃ脅しにもならないっていうのに。
「あんた、本当に自分の立場がわかってないみたいね」
すると犬塚さんは、保健室に置いてあったカッターナイフを取り出した。
「前は切れ目を入れただけだったけど、今日は耳全部切り落としてあげるわ」
彼女の視線は、髪で隠れた私の耳に向けられている。
右耳の上部には、裂けたような傷跡がある。
言うまでもなく、椅子に縛り付けられた状態で、犬塚さんに切られたものだった。
その再現をしようというのだ。
確かにドリーマーは今、テーブルの上に置いてあるので、私は素手だ。
だとしても、あんなひ弱なカッターナイフで傷が付くとは思えないけど――そもそも、武器が何も無いわけじゃないんだよね。
どうも、あの武器は私たちの心の鏡らしい。
つまり一心同体。
「じっとしてなさい。逆らえば耳だけじゃ済まないんだから!」
日屋見さんのを見て思ったんだ、どうして何もない場所から武器を取り出せるんだろうって。
そしたら本人曰く、『どこに置いてても呼べば来てくれるよ』ということらしい。
やっぱりチュートリアルが無いのはクソゲーだ。
『来て、ドリーマー!』
そう念じるとナイフはテーブルの上から消え、私の手のひらに移動する。
そのままカッターナイフを切断――しようと思ったけど、数の限られた文具だからもったいない。
なので柄で手首を殴って叩き落とす。
「いっつぅ……!」と痛みに顔を歪める様を見て満足しすつ、その首筋に歪曲した刃を突きつける。
その冷たさを肌に感じたのか、「はひっ」と犬塚さんは引きつった声をあげる。
「私、犬塚さんのことを殺そうと思えば、いつだって殺せるんだよ?」
「は……?」
「これは力の有無の問題じゃない。私は犬塚さんのこと、めった刺しにして殺したいって思うぐらい恨んでる。はは、恨まれてる側もそれぐらいわかってるよね?」
「く、倉金……あんた、そんなこと言って……」
「何も問題は無いね。だって犬塚さんを守ってくれる人はみんな死んじゃったんだから。ひょっとすると、犬塚さんが自分でそうしたのかもしれないけど」
彼女の表情が凍りつく。
やっぱりそうだ。
犬塚さんは、常に一緒に行動している取り巻きを囮にしてあのトイレに逃げ込んだに違いない。
だから一人だったんだ。
「外にいたら、犬塚さんの取り巻きがゾンビになって殺しにくるかもね。それが望みならこっから出ていってもいいよ」
「う……うぅ……」
「できないよねえ、だって自分の命は惜しいから。じゃあ私に従わないと。化物と戦えるのは私だけなんだから、ね?」
「おかしいわ……そんなの、どう考えても……」
「仲良くしようね、犬塚さん」
私はぽんと彼女の肩に手を置いた。
それだけで体がびくっと震える。
「く、くううぅぅぅ……倉金えぇぇぇぇ……!」
面白いぐらい、感情を弄んでいる。
自分から攻撃しておいて、こっぴどくやり返されて、私が去ったあとも呆然と立ち尽くす犬塚さん。
その小さく弱々しい背中を見て、私は鑑定家のように、顎に手を当て満足気に「うんうん」とうなずく。
そんな私に、巳剣さんがこっそり近づいてきて、小声で話しかけてきた。
「あんなことして平気なの? 犬塚、何するかわからないわよ」
確かに、犬塚さんは損得勘定よりも、自分の感情を優先するタイプの人間だ。
急に爆発して暴走しかねない。
でも、だからなんだって言うんだろう。
「勝手にしたらいい」
いや、この場合は
怯えるな。
日和るな。
世界が終わっても、貴女にどこまでも愚かであってほしい。
犬塚さんから下衆成分を抜いたら何も残らないんだから。
今は私に脅されて落ち込んでるけど、その感情はいずれ私への憎しみとなって、爆ぜてくれる。
今日かな。明日かな。早ければ早いほどいい。
私がやるんじゃない。
犬塚さんが自ら破滅を手繰り寄せてくれる瞬間が、今から楽しみでしょうがない。
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