第51話 第2王子が学院に来ました
王城に潜入した次の日。
俺はいつも通り学院に登校していた。
「おはようサラ。それとシューマ」
俺はサラと一応シューマに挨拶する。
「ん。おはようソラ」
「ねぇ、なんで俺後付け?」
「サラ。今日何があるか知っている?」
俺はシューマの質問を取り敢えず無視してサラに聞く。
「ん? 知らない」
「今日は第2王子が来るらしいぜっ☆ まぁあの王子には悪い噂がめちゃくちゃあるけどな!」
「おい! それをこんなところで言うな!」
俺は急いでシューマの口を塞ぐと共に、自前の耳でクラスの全ての会話を聞く。
しかし聞いてみたところ、特に誰も聞いていなかった様だ。
誰も第2王子の話などしていない。
危なかった……取り敢えず聞かれていない様だ。
俺はシューマに耳打ちする。
「お前、クラスの中でそんなことを言うんじゃない」
「ど、どうして……?」
本当によく分からないと言った顔をしている。
こいつたまに世間知らずなんだよな。
「もしここに第2王子の派閥の奴がいるかもしれないだろ? そいつらに聞かれたらお前何されるか分からないぞ?」
「えっ? そんなにやばかったの?」
「当たり前だ。大体の貴族の連中は自分の都合の悪いことはもみ消そうとするからな」
「ひぃぃ、怖いなぁ……わかった、言わない様にするぜ」
そう言って顔を青くしていた。
少々脅しすぎたかもしれないが、あの連中は本当にやるからな。
でもそう言えばなんでシューマは知っているんだ?
まぁ何となく理由はわかるけどさ。
「ソラの友達は知っている?」
「えっ!? い、いや……」
サラがそう聞くと、シューマは突然ピシッと石像の様に固まってしまった。
この反応は俺の予想通りと見てもいいだろう。
まぁわざわざバラす必要もないし、助け舟でも出しておいてやるか。
「まぁよく分からんが、先生が言っていたのか?」
「お、おう、そうだ! 先生がたまたま話していたのを聞いていたのさっ☆」
そう言って俺に話を合わせてきた。
「ふーん。怪しい。ソラ、教えて?」
そう言ってサラが俺に上目遣いをして、首を傾げる。
「えっとね、こいつは元々……」
「ちょっと待てえええい! 何言おうとしてるんだ!? と言うか何で知ってるの!?」
おっと危ない危ない。
サラに頼まれたからつい言ってしまうところだった。
やっぱりサラには勝てないな……。
「むう……。別に知りたいと思わないけど、ソラが知ってるなら知りたい」
そう言って頬を少し膨らませる。
どうやら自分も俺と共有したいと思ってくれている様だ。
な、なんて可愛いんだ……ッ!?
俺はもう既にノックアウトしていますよ!
これ以上可愛いを摂取するとやばいことになっちゃいそう。
サラの可愛さは麻薬と一緒で、禁断症状が出てしまうよ……。
そんなことを思っていると、セリシア先生が入ってきて話し始める。
「これから第2王子殿下がいらっしゃいます。くれぐれも失礼のない様に。それでは皆さん講堂に集まってください!」
そう言って慌ただしく出ていった。
そうか、もうこの学院の中にいるんだな。
俺は密かに拳を握る。
ふぅ……あいつに出会っても感情が爆発しない様にしないとな。
俺達は講堂にすぐ移動する。
講堂に移動すると、既に殆どの生徒が集まっており、どうやら1年が最後の様だ。
俺たちが集まると、学院長が話し出す。
「それでは早速だが、第2王子殿下に登場してもらいましょう!」
そういうと一気にライトが消えて真っ暗になる。
俺は心を落ち着かせる。
さぁそろそろご対面と行こうか……ッ!
--------------------------------
【カクヨム甲子園】用の短編を出しました!
『君を失った俺が、再び君に会いに行くだけの物語』https://kakuyomu.jp/works/16817139557638398973
です!
1話しかないので是非読んでみてください!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます