第9話 クソゲーに相応しい鬼畜さ《試練のダンジョン》③

 俺が目が覚めると。


「知らない天井だ……」


 俺は誰もいない場所で呟く。


 まぁそりゃそうだよな。


 なんたってダンジョンなんだし。


 でも1度言ってみたかったんだよ。


 やっぱりこう言うテンプレもいいよな。


 俺は起き上がって身体の状態を確かめる。


 身体に異常はないな……こんな時にも耐性が役に立ったみたいだ。


 これは少し想定外だったな。


 本当は次の試練で必要なんだけど。


 まぁ特に何も異常もないし、次の試練に行くか!


 俺は入り口の扉とは反対の扉を開けた。






♦︎♦︎♦︎






 第2の試練に入ると再び頭に機械的な声が響く。


《第2の試練を開始します》


 そのメッセージと共に部屋全体が眩しく光る。


 何秒かして光が収まると、目の前にはマグマが広がっていた。


 ふぅ……やっぱりこのステージだったか……。


 暑いな……【全耐性】を持っていてもこんなに暑いなら、持っていないと死んでいたな……。


 俺はマグマを踏まないように進み見ながら数を数える。


「5……4……3……2……1……0! 今だ!」


 俺は数え終わると同時にしゃがむ。


 すると俺の真上をデカイ魚が通る。


 俺は自分の丁度真上に来た瞬間に。


「ここだ! 【魔闘拳】ッッ!!」


 【魔闘気】を纏った拳で殴る。


「よし、当たった! ……でも熱い熱い! あれ!? 【全耐性】スキル持ってるのにこんなに熱いの!? これちゃんと発動してるの!?」


 俺は拳をふーふーしながら文句を言う。


 だがこれで相手に大分ダメージを与えられたはずだ。


 俺は1度攻撃を躱すだけにして鑑定する。



______________

溶岩魚

level:95

______________


 この世界でもちゃんとした名前つけてもらえなかったんだなお前……。


 このモンスターは、製作陣が適当に名前を考えたと言われており、全モンスターの中で唯一漢字だけのモンスターだ。


 まぁ確かに俺も思いつかないけどさ、もうちょっといい名前なかったのかね?


 俺は回避、アッパーを繰り返して何とか倒す。


「ふぅ……2つの意味であつかった……。でも次は……」


 俺が次のことを言おうとした瞬間に、マグマが凍る。


「うわっ……マグマが凍るってどう言うことだよ。あっでも涼しい……って寒いッ!」


 今度は地球で言う南極の様なステージになる。


 とうとう次のモンスターのお出ましの様だ。


 俺はいつでも回避できる様に警戒を強めた。





☆☆☆







 部屋全体が凍ると、中央部にめっちゃデカい熊が現れた。


 いや、これもゲーム通りだけど思ってた以上にデカいんですけど!?


「か、【鑑定:1】!」


______________

アイスグリズリー

level:97

______________



 覚悟はしていたけどこれは怖い。


 前世では人間が熊に勝てるわけがないと言う常識が俺の体を縛り付ける。


 動かないとやばい……でも体が動いてくれない。


 アイスグリズリーが俺に向かって突進してきた。


「やばいやばいやばいやばい、動け俺の体! 頼むッ!」


 俺の体がギリギリで動き出したので急いで回避する。


「ふぅ……危なかった……。あとちょっとでお陀仏だったな……だがこれで慣れた! 今度はこちらの番だ!」


 【身体強化】と【魔闘気】を発動して今度は俺が突進する。


「シッ!!」


「グルァ!?」


 俺は渾身の体当たりを喰らわす。


 しかし少し怯んだほどで、前足で反撃してきた。


 俺はそれを躱してパンチを放つ。


「はッ!!」


 今度はどうや俺の力が勝ったらしくアイスグリズリーが吹っ飛んだ。


 俺は一旦息を整える。


 やばい……怖すぎて息が上がるんですけど。


 熊ってこんなに怖いものなんだな……。


 それに普通のよりデカいし。


 ……よし、覚悟はできた。


 俺はものすごい怒っているアイスグリズリーを見据える。


「グルァアアアアア!!」


「五月蝿い熊もどきめ! レベル100の力を見せてやる!」


 俺はわざと煽って怖さを紛らわせる。


「シッ!!」


 俺は全速力でアイスグリズリーを殴る。


 しかし相手も前足を振り下ろしてきた。


 お互いの拳と前足がぶつかり、衝撃波が周りの氷を壊す。


「ぐッ!? やっぱり人間とモンスターじゃ基礎能力が違うな! このままでは押し負けてしまうが、これはゲームでは1番のチャンスだった!」


 俺はもう片方の拳に【魔闘気】を発動する。


「はぁあああああ! 【魔闘拳】ッッ!!」


 俺はガラ空きのアイスグリズリーの腹に本気の一撃を繰り出す。


「ガァアアアアアア!!」


 今回は流石にアイスグリズリーも痛かったのか、うめき声を上げていた。


「よし! アイスグリズリーが痛みて叫んだら後少しの合図! ここで一気に決める!」


 俺は更に頭上にジャンプすると、強烈な踵落としを喰らわせる。


 すると頭蓋骨が折れた音と、俺の踵が折れた音がした。


 そのままアイスグリズリーは光に包まれて消え、俺は地面に蹲る。


「痛ったあああ! これは予想外だ……まさかあんなにアイスグリズリーの頭蓋骨が硬いなんて……」


 俺は魔法鞄から、他のダンジョンで手に入れたポージョンを取り出して使う。


 すると一瞬だけ全身が光ったかと思うと、全身の怪我が治っていた。


 おまけに疲れも取れている。


 流石3級ポージョンだな……。


 俺は今回のダンジョン攻略に向けて、レベリングの他にも、アイテムを集めていた。


 因みに今俺が使ったポージョンは上から3番目によく効くポージョンだ。


 比較的簡単に手に入る割には、回復量が多かったため、1級などのものよりも多く使っていた。


 あの時は今みたいにサラを救うために必死になってプレイしていたなぁ……。


 俺はゲームをしていた時のことを思い出して少し感傷に浸る。


「ふぅ……それじゃあ最後の試練に行きますか!」


 俺は最後の部屋へと続く扉を開けて、中に入った。



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 ではではまた次話で。

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