五話 初めての教会!新田の最強ステータス公開!?
僕は死んだのか……?
この世界で死んだら……次は何処に行くんだ?
本当に死ぬのか……?死にたくない、死にたくない……僕はまだ、なんかやっちゃってない……のに……
嫌だ……死にたくない……
「わぁあああああ‼︎」
叫びながら目を覚ました新田は、何処かの室内にいた。
かなり広い空間だ。観衆席が均一に立ち並び、極彩色のステンドグラスを通り抜けた陽光が床に敷き詰められたタイルに鮮やかな彩色を施している。どうやらここは教会のようだ。
イムに受けた説明によればこの世界はゲームに酷似している。そこから推察するに、新田は某ゲームのようにゲームオーバー……ではなく死亡し、教会で復活を遂げた、と言う可能性が高いだろう。
とにかく、ここなら魔物や先程のトラック等に命を狙われる心配は無用だ。新田は一つ大きくため息をついて、胡座をかき床に座り込んだ。
「……ハァ」
またまたため息が出てしまう。外傷は見当たらず、イムから受けた攻撃の痛みも無いので肉体は回復しているのだろうが、先程の一件で精神的にはかなり疲弊しているのだから当然だろう。どうせならこれも回復して欲しかった。
一人となった今、特にこれと言ってやる事もないので新田は胡座をかいたまま、暫く物思いに耽っていた。そして二つ、ある事に気付いた。
一つは小林がいない事だ。辺りにはそれらしい人物の姿はない。と言うかこの場所で視認できる人物は今の所自分しかいない。
まさかとは思うがあの攻撃を耐え抜いたのだろうか?それとも小林と新田は別々の教会に飛ばされたのだろうか?
……考えた所で自身の知識だけでは答えを導き出すのは不可能。そう悟った新田はそれについて思考するのをやめた。
新田の思索はもう一つの事柄へと移る……イムの話が本当なら、小林とトラック同様自分にもチート並の能力が備わっている、という事についてだ。
トラックとの一戦で小林が新田の魔力(あれが魔力だったのかどうかは正確には分からないが)を引き出した時、火球は小林一人で放つよりも遥かに強力な物となった。これにより新田自身の能力が現実世界にいた頃とは比較にならない程向上している事は明確な事実であり、イムが嘘をついていないのはすぐに分かる。
しかし、何がどう強いのかは全く知らされていない。この世界で生きるならば戦闘は避けられないのは確実であるにも関わらず、長所、短所を知らなければ自らの戦闘スタイルさえも決められなくなってしまう。どうにかして能力値等の数値を確認する事は出来ないのだろうか?
……そう言えば、ライトノベルでは異世界に飛ばされた後、ステータスを視認する事が出来るような描写があった気がする。この場所も結構滅茶苦茶な世界観なのだからそれが出来る可能性は大いにあるだろう。
新田は昔読んだライトノベルの主人公がそうしていたように、片手を天に掲げ、少々顔を赤らめ、彼の言葉を思い出しながら、こう叫んだ。
「ステータス、オープン!」
……しかし何も起こらない。そこで新田はもう一度叫ぼうとしたが、何者かにそれを阻まれた。
「ねーよ」
「……えっ!?」
「そーゆうのやろうとするって事はアンタ転生者だろ?なら覚えとけ、ねーよアンタらにんなもん。ったく、どいつもこいつもステータスステータスって……どーせ見たって全部カンストしてんだろーがよ」
ぶっきらぼうにそう言い放ったのは、物陰から現れた青年だった。
彼を前にした新田は怒りよりも恥ずかしさが勝り、赤みがかっていた顔を更に赤く染め、まるで赤提灯のような顔色をする事しか出来なかった。
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