第3話 スキル
男性職員に促されるままに列に並んでから約15分ほどで僕の番が回ってきた。
黒い箱の中に入るように言われ、黒い箱に数秒とどまるよう言われ、黒い箱から出るように言われ、少しの間待つように言われ…
どうやら、測定に掛かる時間はたった数秒のようだった。
なんか待たされた時間に対して用件が済む時間の方が少ないと妙にイラっと来るよね。解る人多いと思います、ハイ。
「では、皆さん列を作ってこの機械の前に並んでください。この機械にご自身のスマホをかざすと自分のスキルが表示されます。また、スキルは個人情報ですので他人に話すことのないようにしてください。」
ようやく、自分のスキルを確認できるようだ。
抑えながら順番を待ち遂に自分のスキルをお目にかかることができた。
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ステータス
名前 「水谷 明」 年齢 「14」 種族 「地球人」
性別 「男」
ユニークスキル 「レスキュー:Lv-」
派生スキル ――
基礎スキル 「ステータス:Lv-」 「地球言語:LvMax」
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「……………………………………………………………………………………………」
(うおおぉおおおおぉー-、良かぁあったぁー。スキルがある!)
おっと、いけない興奮で我を忘れてしまうところだった。 (ここでは気持ちを抑えて家ではしゃぎまくr....ん?) ステータスを確認し、そのまま家に帰ろうとした僕をスマホが表示した次の画面が引き留める。
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この度、貴方は大変、特殊なスキルを入手することができました 。ですので、スキルについての説明を個別に行いたいと思います。ご足労をお掛けしますが7階の708号室まで来てください。
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(もしかしなくても面倒ごとだよな...帰りてぇ)
( ――と、708号室だからここか)
コンコンッと軽くノックして...
(ノックって二回だとトイレで人がいるか確認するときになってしまうんだっけ?やっちまったなぁ)
「扉は開いてるから入ってくれ」
と中からこえがしたのでとりあえずはいり、
「やぁ、さっきぶりだね」
と中にいる人、というかさっき僕がスキル測定の列に並べずオロオロしてたときに声をかけてきた男性職員に軽く挨拶された。
「まずは自己紹介からかな?私の名前は黒部 夕でこの協会で将来を期待できる新人ハンターの教育を仕事にさせてもらっているものだ。あぁ、とりあえず椅子に座ってくれ。それと、ノックは部屋に入るときは3回だぞ。2回だとトイレになってしまう」
「あー、えーと、自分の名前は…「あ、自己紹介はしなくていいよ。君はあまりそういういうの得意じゃないだろ?」
「そう…ですけれど。何で知ってるんですか……………」
「僕には人を視るスキルがあるんだよ」
(スキルなら仕方ない…のか?なんかダメな気がするような?)
「それよりも、だ。明君、君のスキルは特別なものなんだ。だから、僕たち協会が君に教えるべきことと提案があって呼んだんだ」
「まず、スキルについて話そうか」
「スキルなら誰でも知ってると思いますが?」
「基本情報のおさらいだよ」
と、微笑みながら黒部は話し始めた。
「まず、スキルは大きく二種類に分けられるのは分かるね?一つは個人が生まれたときから持っている才能スキル。二つ目は生まれた後も努力次第で獲得できる基礎スキル、という風に分けているんだけどこれは人間が便宜的に呼んでるだけなんだよね。才能スキルのほうはステータスではノーマルスキルと君が持っているユニークスキルとして表されるんだ。これを、世間一般ではスキルと呼んでるわけだ。」
(ん?でも…派生スキルっていうのもあったような?)
「そうだね、派生スキルもあるね」
「ぼっ僕、声に出してませんでしたよね?」
「これも人を視るスキルのうちだよ。それよりも、派生スキルというのはね、才能スキルから名前どうり派生してくるスキルのことだよ。スキルツリーのようなものだと考えてくれれば良いかな。才能スキルが基本のスキルとなってそこから関連のあるスキルが枝分かれしているんだ。」
と、一旦息をつき、
「ノーマルスキルとユニークスキルが才能スキルと呼ばれる由縁は此処にあるんだ。というのもね、才能スキルは一人の人間が一つ持って生まれてくるかそれとも持って生まれてくることができないかなんだよ。さらに、才能スキルや其処から派生する派生スキルは基本的に基礎スキルよりも強力なんだよ」
「次に、基礎スキルの説明だね。基礎スキルは才能スキルと違って努力で獲得することができるんだ。けれど、その効果はあくまで補助的なものなんだ。スキルの説明はこんなもんかな。」
「あっ、あのぉ、スキルの横についているLvってそのままレベルってことなんですか?」
(スキル測定に夢中になりすぎてあんまりスキルについて詳しく調べてないんだよなぁ)
黒部は少し笑いを漏らし、
「あぁ、それであってるよ。ちなみにレベルのあげ方は何度もスキルを使ってスキルについて習熟していくしかないから強いスキルを手に入れたからといって胡坐をかいている訳にはいかないよ」
そこで、言葉を切り黒部は今までより真剣な顔つきになり、
「ここで最初に言った提案の話になるんだけど、君はとても珍しく、特別なスキルを持っているんだ。だから、君が良ければなんだけどハンター協会が経営する高校に入ってもらえないかい?あぁ、もちろん優遇措置はあるよ」
と、提案してきた。
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