1-1その6
恐竜センターの観察基地は、ジャングルの真ん中にあり恐竜の生息地のより近くで、恐竜の生態を観察、研究しています。ここには世界中の研究者がやってくるので、多くの人が寝とまりできる立派な合宿所もそなわっています。ケイタやソウタたち島の四年生は、ここに泊まり込んで、迷子のあかちゃん恐竜をさがすのです。
恐竜センターの観察基地に到着したケイタとソウタたちは、まずは、ロビーに集合しました。そして、花山先生から、部屋の割り当てと合宿所での注意事項を聞きました。
「
見回すと、ロビーの向こうでは、別の学校の子どもたちが、ケイタやソウタたちと同じように、先生から話を聞いていました。ユウトはソウタに話しかけました。
「あっちは
「残念、知り合いはいないね。」
「となりの
「
「例えば、だよ!例えば!」
相変わらず、二人の会話はヒートアップしていきます。当然、花山先生も気が付きました。
「こら!二人!ちゃんと話を聞いてください!これから大切な話をしますからね。」
花山先生の大切な話とは、合宿所での決まり事でした。
「他の利用者の迷惑になるので、所内では静かに行動しましょう。」
「部屋でも騒がないようにしましょう。」
「世界中の人が集まっているので、マナーには十分注意しましょう。」
「ゴミは出来るだけ持ち帰るようにしましょう。」
「食事は残さず食べましょう。」
以上が重要な点でした。観察基地には長期間滞在する人もいますし、夜に観察して昼に寝ている人もいます。さらには、研究のため世界中の人がやってきます。みなさんの仕事を邪魔しないのは当然です。そもそも、恐竜探検は学校行事の一環なので、遊び気分ではいけません。また、ジャングルの真ん中なので環境への配慮も大切です。ゴミ一つとっても注意しないと、長い目でみれば環境破壊につながります。ここは恐竜の世界です。外では当たり前でもここでは特に気をつけなければいけません。ケイタやソウタたちは神妙な気持ちで、各部屋に移動しました。
部屋へ行き荷物を下ろした後、今度は小会議室に集まって、恐竜の先生から恐竜探検についての授業がありました。恐竜の先生とは、島中の小学校を巡回して特別授業をしてくれる先生で、恐竜探検では恐竜探しの引率もしてくれます。普段は恐竜センターを中心に活動をしていますが、秋は島中の四年生が恐竜探検にやってくるので、観察基地に常駐しています。
ケイタやソウタのクラスを担当する恐竜の先生は、以前にも何回か授業を受けたことがある遠山先生でした。
「今から、ジャングルに入るにあたって、注意点をお話しします。ジャングルの自然環境を守るため、また、みなさんの安全を守るために、絶対守らなければならないことですので、真面目に聞いてくださいね。」
遠山先生は、ジャングルで気をつけることをいろいろ教えてくれました。
「ジャングルにものを残してこないこと。」
ゴミは当然の事ですが、忘れ物や落とし物も野生の動物たちには脅威になりかねません。動物たちが食べ物と間違えて食べてしまって死んでしまうこともありますし、人間には便利なものでも動物たちには怪我や病気の原因になるかもしれません。
「恐竜にかぎらず、ジャングルの生き物は勝手に捕まえないこと。」
ジャングルには、人間が持ち込んだネズミはともかく、恐竜や鳥、ワニそして魚がたくさん住んでいます。そしてそのバランスがくずれてしまうと、恐竜も生きていけなくなってしまいます。そして、今やネズミも肉食の恐竜などの大切な食料ですから、そのバランスをくずしてはいけません。
「動物はおこらせないこと。」
ジャングルの動物の多くは人をおそったりはしません。しかし、子どもや卵をまもっている時は予想外の行動をします。その場合、自分の命を顧みず戦いを挑んでくる事もあるので、なるべく刺激しないほうが身のためです。
「底なし沼にはまったら、本当に生きて帰れません。」
ジャングルはジメジメしており、大小の沼がたくさんあります。木々におおわれた沼地も多いので、決められた場所から勝手に飛び出さないよう、特に注意しなければなりません。
「沼にはワニもいます。食べられて骨だけになってしまいます。」
みんな、「たいへんなところに来てしまった。」と不安でいっぱいになってしまいました。しかし、それは当然なことです、ここは人間の世界ではないのですから。みんなが安全に恐竜探検をするためには、注意事項はちゃんとまもらなければなりません。
恐竜の授業を終えて、ケイタとソウタたちは自分の部屋に戻りました。今日の残りの予定は、夕食をとったあと、身支度をして就寝するだけでした。恐竜探しは明日からです。みんなしっかり睡眠を取るよう、遠山先生に言われました。が、恐竜好きなケイタやソウタたちにそれはあまり期待出来ない様でした。
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