第9話. カエルの子
金色の髪、金色の瞳、肌もどこか金色がかっている美少年だ。
あれ? コイツひょっとして……。
「仲間を紹介するぜ。ゴールディーエルレオンだ。アタシは“キン”って呼んでるけどな!」
笑いながらソイツの頭にポンと手を置くと、ソイツは明白に嫌ぁな顔してライリーを睨んでいた。
だよなぁ……ま、察しはついたぜ。
そしてオイラに向き直り、ペコリと頭を下げた。
「初めまして。“エル”って呼んで下さい」
「あぁ。オイラはラディッツ。呼ぶときゃ“ラディ”で良いぜ。オメェひょっとしてだが……」
「はい。御察しとは存じますが、“キンエニガエル”の形質を得ています」
「じゃあ成りたてか。訓練や教育はどうした?」
「言葉は少し学びましたが、戦闘は実戦で直に学ぶ事になりそうです」
「ファッ?! ふっざけんなっアイツらめっ!!」
オイラは怒りで拳を震わせていた。
何の為の頭脳だっ!
今までだって即戦力と過信してどれだけ犠牲が出たと思ってやがるっ!
オイラ達半獣人と人間は対等であるべきだ。
決してSub-humanraceじゃあ無ぇんだぜっ! オイラ達は!!
だから命を無駄に投じる様な、それでも構わないというその傲慢な判断に、オイラは無性に腹が立ったんだ。
「まあまあ……なかなかのポテンシャルだよコイツは。何せ材料が他と違う。そこはアタシが保証する」
「だ、だがなぁっ!」
「だからアタシを教官に付けたんだ。アンタを探していたのもそう言う事さ。まー無理にとは言わねーが?」
「……」
エルの顔を見る。
ケッ! 幼いくせして必死に恐怖を隠そうとしてやがる。
……だが、何がコイツをそう奮い立たせていやがるんだ?
はぁ……仕方無ぇなぁ。
するとライリーが俺の耳元で囁いた。
(それにさ、この子。ほら、結構美形だろ? 実はアタシ好みでさー。なるべく傷つけたくねーんだよ。そーいうのはアンタの方が向いてるだろ?)
デ、デリカシーが無ぇぇぇーーっっ!!
コイツ、絶対ぇ自分の立場利用して良からぬ事考えてるだろ!
オメェが本気で抱き締めたら、コイツは大怪我するぜ! いや、マジで!
段々オメェが一番危険なんじゃ無ぇかって気がしてきたぜ……。
「分かった、仲間に入れてくれ。オイラもきっと役立つと思うぜエル!」
よろしくな、と交わした握手。
本気を出したら潰しちまいそうな小っちぇ手だ。
はぁ、と溜息すると今度はエルがそっと耳元で囁いた。
(実はライリーさんと二人だと時々、ヘビに睨まれた感じがするんです。ラディさんが入ってくれてホッとしました)
はぁ……。
仕様も無ぇなぁ。
(続く)
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