2話

「起きろ。蹴落とすぞ」


zzz...


「3秒以内に起きないと蹴落とすからな。さーん、にー、ぜろ」


「いってぇ!?」


「おはよう、どけ」


「3秒嘘じゃねえか!それにほんとに蹴ることないだろ!」


「うるせえ。そこは俺が寝るんだ。邪魔。」


駿太は快眠中の俺を蹴落としてすぐ眠りに付いた。本気で蹴りやがって...こいつと友達辞めようかな...

起きた時刻は11時12分。ちょうど3現が終わったらしい。あれだけ人がいなかった教室も、ほとんど全部埋まっている。自分の席を見ると既に健太はいなかったが、変わりに別のクラスから知らない奴が来て、座っていた。


「誰だあいつ...まあいいか」


この学校では自分の席なんてあってないようなものだ。気づいたら机の中身が変わってることもしばしば。だから誰も机に何もいれない。時折、授業のプリントの余りを全部突っ込んでるごみ屋敷と化した机が存在するが、それも定期的に全て捨てられるため、机綺麗なことが多い。床にはカップラーメンが転がってるのがデフォ。たまに中身が入っていてこぼすと最悪。プリントと消しカス、トランプなんかも落ちていて、踏んで滑るやつが多発する。ゴミ箱は形だけ、実際は周りにゴミが散らばっている場所であり、酷いクラスはゴキブリの巣窟になってたりする。(うちのクラスはその点ましである。せいぜいカップラーメンの残り汁と色んな飲み物の飲み残しが混ざっているだけ)壁には色々なものが張り付いており、変色してたり、なんか崩れて穴が空いてるところもある。ロッカーは基本的にちゃんとしたパーソナルスペースだが、クラスの共同ロッカー(本来は防災グッズの入っているロッカー)だけは、誰のか分からないペットボトルや、いつかの掃除に使われて放置された雑巾、昆虫用ゼリーと虫取り網など、様々なものが入っている。まあとにかく汚い。匂いが酷い。体育の後など、近隣から苦情が来てもおかしくない匂いを発する。こんな所で寝ているのだから、恐らくここの生徒はどんなに臭い所(シュールストレミングだけは例外。もってきたバカを〇してやりたい)でも寝れるだろう。教員も恐らく慣れているのだろう。時折くる実習生も懐かしそうに顔を顰めているし、まあ慣れれば悪くないのだろう() 可哀想なのは外部から来た新任の教員で、女性教員など、来てそうそうホームルームで大掃除を命じるのが定例。精神的にではなく、物理的に匂いに耐えられないらしい。なぜこんな学校に来てしまったんだ...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る