☆第十九話 鍛錬の最後に☆
ショタ王子の母星である惑星サンサー・ラランドへと、予定時刻の通りに到着。
惑星時間で午前七時、ステーションへと到着の通信を送ると、管制官ではなく、アレンショターリュ第二王子の兄であるアランプラマリージュ第一王子が、応答に出た。
『ああ、アレンよ、そして眉目麗しきホワイトフロールのお二人よ…。無事な到着、嬉しく思います』
と、労いのお言葉よりも、誘惑のお言葉を賜る優王子様だ。
「勿体なきお言葉にございます」
またやんわりとお断りをするユキ。
『ははは。美しき白鳥には、中央宇宙港への着陸を許可いたしましょう。それでは、王城にて お待ちしております』
とウインクをくれて、通信が終えられる。
「つくづく、女性が好きだよね。アラン王子様」
軽く呆れるマコトに比して。
「私の白鳥の美しさを、ご理解されていらっしゃるなんて…♪」
と、一見すると篭絡されたかのような喜び笑顔なユキであった。
白鳥が大気圏突入をして、指定された宇宙港へと到着をすると、出迎えの大型高級車両が出迎えへとやって来る。
黒塗りの大型車は、メーカーこそ高級車だけど、外見に派手さは無く、この惑星人たちの質実剛健さを外見で物語っていた。
ずっと密かに付き添っていた宇宙での護衛部隊は、その任務を地上部隊へと引き継いだので、今頃はステーション入りをしているだろう。
出迎えた人たちは和正装だけど、護衛部隊である。
正装が窮屈そうな筋肉スキンヘッドの隊長が、背筋を伸ばして三人を出迎える。
「ご帰星、おめでとう御座います アレンショターリュ王子様っ!!
ちょっと珍しい挨拶だけど、現場主義の叩き上げ部隊の人たちは、地球本星でもこういう感じである。
「お出迎え、ご苦労様です。ガットーラー部隊長殿」
「はっ! 勿体なきお心遣い、この上なき誉でありますっ!」
王家の和正装に身を包んだ美少年王子による、心からの感謝の笑顔に、大柄な強面スキンヘッド隊長も、更に気合が入る様子。
背後に控える若い護衛隊員たちは、ショタ王子に緊張の敬意を示しつつ、映像ではない本物のホワイトフロールたちに、強い興味を示していた。
中性的で美しい王子様のような、黒いネコ耳ネコ尻尾のマコトと、無垢でおだやかなお姫様のような、純白のウサ耳ウサ尻尾のユキ。
魅惑的なケモ耳美少女たちが、しかも巨乳と括れと巨尻の起伏ボディーを惜しげもなくメカビキニで包み、魅せ付けているのである。
特に男性の隊員たちは、瞬きも惜しいと突き刺してくる視線から、強い熱量まで感じられたり。
(ボクたちの事は 護衛しなくても良いのに)
(皆さん、マコトのボディーに釘付けなのですわ♪)
とか、同じく見つめられているユキは、まるで他人事のように楽しそうだ。
この惑星に於いては必要ないであろう万が一の護衛でもある大型迎賓車に乗せられて、三人はショタ王子の実家でもある首都の王城へと到着。
「到着いたしましたっ!」
三人が降りると、特に女性の護衛隊員たちは、ショタ王子の進化した美しさに、敏感だ。
以前よりも、美女の間で慌てふためかずにおいでだわ。
ちょっとした変化だけど、兄王子による今回の精神修行の結果なのだと、女性たちも納得をして、僅かだけど逞しくなった少年王子に萌えたり。
大きな白い首都王城は、やはり和風。
謁見室へと通されると、アレン王子や父王や母王妃だけでなく、多くの政府関係者や従者たちが、待っていた。
「父上、母上、兄上…そして多くの皆様。アレンショターリュ ただいま戻りました…!」
元気に、しかし品性溢れる綺麗な声に、女性の従者たちは特に安心をした様子だ。
「お帰り、アレン。この度の職務、如何であった?」
「はい、兄上。とても有意義な 鍛錬の旅でした!」
あのハレンチ三昧ともいえる旅を、真面目に鍛錬と言い切れるのが、ショタ王子の生真面目な性格をよく表している。
「それは何よりだ。して…?」
鍛錬の成果を、皆の前で証明せしめよ。
と、兄弟の間に、無言の会話が為された。
「………」
ショタ王子は、黙ったままの愛らしい決意の表情で意思を固めると、背後の左右に控えるマコトとユキへと、踵を返す。
「「?」」
振り向いたショタ王子は、顔を真っ赤に染めながら、二人を強い決意で見上げていた。
(何か するのだろうね)
(そのようですわ)
マコトもユキも、ショタ王子が何をしようとしているのかは解らないけれど、何かしようと決意をしている事は、よく解る。
「………」
頬も耳も真っ赤になっている少年王子が、これからの行動に躊躇いを感じているのだと、鍛錬にお付き合いをした二人にも、伝わっていた。
修行の内容から考えても、きっと、ショタ王子には恥ずかしい行為なのだろう。
「ショタ王子様…私たちは」
「どこまでも、ショタ王子のお手伝いを させて頂きます」
と、小声でお伝えをする。
「! で、では…っ!」
ショタ王子が。キツく目を閉じて、両掌を上げた。
精いっぱいに拡げたその両掌の高さは、たしかに。
(あ バスト)
マコトもユキも、年下王子が二人のバストへタッチしようとしているのだと、解った。
ショタ王子にとっては、たとえ三人きりだとしても、自ら女性に触れるのは、相当に恥ずかしいだろう。
現に旅の間、この少年が自ら二人へとタッチするなんて、一度たりとも無かった。
それを、鍛錬の成果として、大切な国民を護王る族として、一歩でも前へ進んだ証を、自ら示そうとしているのだ。
「「「「「………」」」」」
誰よりも弟を気にしている優王子のアランブラマリージュ王子も、父王も、母后も、ショタ王子の覚悟を静かに見守る。
執事長も、外務大臣も、女性の従者たちも、謁見の間にいる全ての人々が、ショタ王子の行動を注視していた。
「……うぅ…」
しかしやはり、まだ恥ずかしさと葛藤には勝利できずにいる、十歳の美少年。
「「………」」
マコトもユキも、少年の行動をジっとして見守る。
「………っ!」
逡巡をする少年王子が、少し弱気に二人を見上げると、ケモ耳美少女捜査官たちは揃って、美しく無垢な、全てを信じて包み込むような優しい微笑みで、勇気づけてくれている。
「………っうぅ…っ!」
静かに深く、キツく決心で目を閉じて、小さく息を飲んで、二人の応援とお許しを貰って。
そして。
–ぷに…。
目一杯に拡げられた美少年王子の、右掌がマコトの右バスト、左掌がユキの左バストへと、下から優しく押し付けられた。
指までピンと力一杯に広げているから、バストには、手の平だけが押し付けられている感じ。
それでも、恥ずかしがりな少年王子は、みんなの前で、美少女捜査官たちのバストへタッチが出来たのだ。
「「「「「「っ–っぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」」
その瞬間、謁見の間だけでなく、いつの間にか始まっていた「ショタ王子様 ご無事にご帰星!」の惑星中継で観ていた全ての国民が、盛大な喝采を上げていた。
「ショ、ショタ王子様が…っ!」
「自ら女性のバストに、タッチを…っ!」
「なんとご立派になられて…ううぅっ!」
執事たちは感涙し、女性の従者たちも喜びの涙。
父王や母后も涙を流し、兄のアランプラマリージュ王子も、涙を潤ませていた。
「アランよ…お前の成長、しかと確かめたぞ…っ!」
「はぃ…」
精いっぱいの勇気で、マコトとユキへのバストタッチを果たした少年王子は、恥ずかしさと達成感で、真っ赤なままフラフラだ。
「ぁの…す、すみません、でした…」
あらためて振り返り、女性のバストへ触れた失礼を詫びる、ショタ王子。
上気しながらシュンとしている愛顔も、やはり可愛い。
ケモ耳美少女捜査官たちは、王子の前で、左右に跪く。
「勿体ないお言葉にございます。ショタ王子様♪」
「ショタ王子の勇気。ボクたちは、感無量でございます」
美少女お姉様たちにお褒めの言葉を戴いて、少年王子はまた恥ずかしそうに、しかしとても嬉しそうに、俯いた。
「ショタ王子様。せめてもの祝福を」
というユキの言葉で、マコトはパートナーが何をする気なのか、解る。
そしてそれは、マコトも同じ想いだ。
なので、黙って従う事にする。
「「ちゅ…」」
ショタ王子の左右の頬へと、二人は祝福のキスを捧げた。
「! ふあぁ…っ!」
中性的で美しい王子様のようなマコトと、純真無垢なお姫様のように愛らしいユキの二人からキスを貰ったショタ王子は、全身が真っ赤になるほどの恥ずかしさで、その場に倒れてしまった。
「あら」
「ショタ王子」
ただの頬キスではなく、精いっぱいの勇気の直後で、しかも皆の目の前である。
恥ずかしさが頂点に達してしまったのだろう。
「うぅ~ん…」
受け止めて抱きすくめる二人のバストに挟まれて、ショタ王子はまだ、目を回している。
そんな弟王子に、兄王子はヤレヤレと苦笑い。
「おやおや。まだまだ先は、長そうですね」
謁見の間は、暖かい笑顔で満たされていた。
ショタ王子が目を覚まし、王族とホワイトフロールたちで昼食会となって、そしてお別れの時がやって来た。
~第十九話 終わり~
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